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5-1 異常事態発生の際の通報基準及び緊急事態判断基準

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「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会
第5章 災害応急対策の実施のための指針

5-1 異常事態発生の際の通報基準及び緊急事態判断基準



(1) 基本的考え方

原災法においては、原子力事業者に対して、原子力事業所の区域の境界付近での一定の水準以上の放射線量の検出その他の事象の発生について、通報義務を課す事象(以下「通報基準に該当する事象」という。)を規定するとともに、原子力緊急事態に該当する事象を規定しているところである(付属資料5付属資料6(未作成)参照)。

上記通報基準に該当する事象については、初動の迅速性を確保するためのものであるため、その事態の発生が客観的に特定できることが重要であることから、放射線量については、推定方法による不確定要素のある予測線量ではなく、実測値で得られる空間放射線量率をベースとした規定とし、その他の事象についても、可能な限り具体・定量化が図られているところである。また、同様に、原子力緊急事態に該当する事象についても、空間放射線量率と、可能な限り具体・定量化された事象が規定されている。なお、現実的には、敷地境界付近の異常な空間放射線量率よりも施設内の異常な事象の発生が先に検知されることが想定され、この観点からも、原子力事業者は施設内の異常な事象を確実に検知し、迅速に通報することに留意する必要がある。

(2) 通報基準に該当する事象が発生した場合の対応


[1]原子力事業者の対応

原子力事業者は、国、都道府県知事及び市町村長等に迅速に通報するとともに、周辺住民等への影響に関する情報の把握や原子力災害の発生又は拡大防止のために必要な応急対策を実施し、さらに、事故の経過を的確にこれらの機関に連絡することが必要である。

[2]国の対応

国は、原子力防災専門官等を通じて原子力事業所における事故情報等を迅速に収集するとともに、職員や日本原子力研究開発機構等の専門家を現地に派遣することが必要である。また、事故の進展状況に応じて、関係省庁間での事故対策連絡会議を開催するなどにより関係者間での情報の共有化を図りつつ、対応策について検討を行うなど警戒態勢を整えていく必要がある。


[3]地方公共団体の対応

都道府県及び市町村は、原子力防災専門官の協力も得つつ情報収集を行い、事故の進展状況に応じて警戒態勢を整える必要がある。また、周辺への影響の把握という観点から、平常時のモニタリングを強化するとともに、緊急時モニタリングの準備を開始する。

なお、この段階は、前述のとおり、あくまで原子力災害の発生又は拡大の防止のために必要な初動の迅速性を確保するために設定した段階であり、関係機関においては、住民に無用な不安、混乱を与えることがないよう、適切に対応することが重要である。また、初期段階における現地対応として、原子力防災専門官の役割は重要であり、あらかじめ業務内容等について定めておく必要がある。


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