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2-6 諸設備の整備

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2-6 諸設備の整備



原子力防災対策を円滑に実施するためには、あらかじめ緊急通報連絡網、防災業務関係者が必要とする防災資機材等、緊急時モニタリングに関する設備及び機器並びに緊急被ばく医療設備等の整備が必要である。

(1) 周辺住民等に対する緊急時の情報伝達網

緊急時において、周辺住民等の行動に関する指示が迅速かつ正確に伝達されるような体制及び設備が必要である。特に原子力防災対策においては、周辺住民等の混乱と動揺を避けることが重要であって、そのためにも正確な情報の迅速な伝達が重要である。

体制としては、地域防災計画あるいは実施細目等において、情報伝達に関する責任者及び実施者をあらかじめ定め、同様にして定めたある区域あるいは集落の責任者や周辺住民等に迅速かつ正確な情報が伝達されるよう配慮されることが必要である。

情報の伝達に必要な設備としては、通常の電話のほかに、防災無線網、有線放送、広報車等が挙げられる。また、テレビ及びラジオ等のニュースメディアに対し積極的に情報伝達に関する協力を求めることも重要である。さらに、周辺海域の船舶への情報伝達に関しては、漁業無線、船舶通信の活用が考えられるが、同様に海上保安庁の船舶等による情報の伝達も考慮すべきである。

周辺住民等に対する情報としては、下記の項目について最新の情報を単純かつ理解しやすい表現とすることに加え、心理的不安感を除去するために定期的に繰り返し伝達することが必要である。

(イ) 異常事態が生じた施設名及び発生時刻
(ロ) 異常事態の状況と今後の予測
(ハ) 各区域あるいは集落別の住民のとるべき行動についての指示

また、これらの情報伝達に関して、高齢者、障害者、外国人、乳幼児その他のいわゆる災害時要援護者及び一時滞在者に対する十分な配慮が重要である。

(2) 防災業務関係機関相互の情報連絡設備

緊急時においては、原子力事業者、国、地方公共団体等の関係機関の情報連絡に支障が生じることが考えられる。このため、これらの機関等の情報連絡網については、専用回線の設置など多様な手段を用意し、緊急時に必要な通信連絡が迅速かつ的確に行えるようにしておくことが必要である。

また、原子力事業者、国、地方公共団体等の関係機関相互の情報連絡は、技術的あるいは専門的な事項が多く、口頭による連絡では正確性に欠ける場合があることや図面、地図及び表を用いての情報伝達が必須と予想されることから、ファクシミリの整備が必要である。さらに、より効果的な情報伝達のために、テレビ会議システム等の技術の進歩に応じた情報機器も導入していく必要がある。

(3) 防災業務関係者が必要とする防災資機材等

緊急時において、緊急時モニタリング及び周辺住民の避難誘導等に従事する防災業務関係者が必要とする資機材については、個人の被ばく線量を正しく把握するための直読式個人線量計(ポケット線量計、アラームメータ等)、被ばくを低減するための防護マスク及び安定ヨウ素剤等が必要である。

また、屋外活動を円滑かつ有効なものとするため携帯電話をはじめとする無線機器及び輸送手段の確保が必要である。

(4) 緊急時モニタリングに関する設備及び機器

緊急時において周辺環境の放射性物質又は放射線の放出に関する情報を得るためには、緊急時モニタリングに関する体制、設備及び機器の整備が必要である。詳細については、「環境放射線モニタリング指針」(平成20年原子力安全委員会)によるものとするが、緊急時モニタリングの円滑な実施のためには、体制及び実施計画の整備のほか、モニタリングポスト等の各種計測機器、連絡手段としての携帯電話等の整備が必要である。

(5) 緊急時予測支援システムの整備・維持

気象情報と放出源情報を入力することによって、迅速に放射能の影響が予測できる緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDIネットワークシステム:System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)、原子力事業者から送られる施設の運転情報等をもとに、施設の状態予測等を行う緊急時対策支援システム(ERSS:Emergency Response Support System)等の整備を進めることが重要である。また、あらかじめ、国、地方公共団体、原子力事業者等の間で十分に協議し、平常時から各種システムのネットワーク化や、緊急時の際の協力体制を整えておくことが必要である。

(6) 緊急被ばく医療設備、資機材等

緊急被ばく医療設備、資機材等については、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成13年6月原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会)等によるものとする(付属資料1)が、整備すべきものとして、一般的な救急医療に関する適切な施設及び設備の確保のほかに、汚染の程度や被ばく線量を測定するための放射線測定器、除染、被ばく管理及び汚染拡大を防止するための設備、資機材等が必要である。




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