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2-1 原子力防災対策の特殊性等

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2-1 原子力防災対策の特殊性等


原子力施設における事故により、放射性物質又は放射線の異常な放出あるいはそのおそれがある場合、防災活動の内容としては、施設における異常事態の検知及び関係機関への情報の連絡に始まり、緊急時環境放射線モニタリング(以下「緊急時モニタリング」という。定義は第4章に記載)の開始、災害対策本部の設置、住民への情報伝達を含む連絡体制の確立、関係諸機関の所定の行動、災害の低減化のための住民の行動に関する指示等が挙げられる。これらの防災活動を含む原子力防災対策には、一般的な防災対策活動に共通あるいは類似のものに加えて原子力に特有なものがある。原子力に特有なものとして以下のことが考えられる。

  1. 放射性物質又は放射線の存在は、放射線測定器を用いることにより、健康への影響が考えられない微量でも検知できる。しかし、その存在を、五感で直接感じることができず、被ばくの程度を自ら判断できないこと。
  2. 一般的な災害と異なり、自らの判断で対処するためには、放射線等に関する基本的な知識を必要とすること。
  3. 原子力災害は原子力事業者の活動によって発生するため、原子力事業者がその予防対策、応急対策について、大きな責務を有すること。
  4. 原子力防災には、原子力に関する専門的知識を有する機関の役割や指示、助言等が重要であること。

一方、通報連絡、住民の屋内退避・避難、飲食物の摂取制限等の防災対策の実施については、一般的な防災対策との共通性あるいは類似性があるので、専門知識に基づく適切な指示があれば、これを活用した対応が可能である。

したがって万一、放射性物質又は放射線の異常な放出あるいはそのおそれのある場合には、前述の特殊性、類似性等を勘案して、適切な対策を講じることにより、周辺住民等の心理的な動揺あるいは混乱を防止し、異常事態による影響をできる限り低くすることが重要である。また災害発生時のみならず中期的な対策として、周辺住民、原子力施設従事者及び防災業務関係者等に対するメンタルヘルスに関する対策を実施することが重要である。

前述の防護対策の目的に基づき実施される、これらの対策を適切に行うためには、災対法、原災法等に基づいて原子力防災に係る計画の作成、防災資機材の整備、防災訓練の実施等により、緊急時の活動が円滑かつ有効に行われるよう普段から準備する必要がある。



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