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実例その1:週刊ポスト記事『「放射能と人体」本当の話』

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間違った情報に惑わされないようにしよう!

実例その1:週刊ポスト記事『「放射能と人体」本当の話』」





匿名の記事だが、筆者はかなりの専門家か勉強家らしい。そうでなければ、これほどの詭弁は書けない。

もちろん慎重に読めば、文章自体が自己撞着・自己矛盾に満ち満ちていることはわかる。しかし、通勤の途中の電車の中でつり革に掴まって読んだのでは、なかなか気づけないかもしれない。

それなのに、私たちにとっても筆者にとっても全く不幸な現実が迫っている。渾身の力で弄した詭弁が描いた楽観を、「たまり水」「足ひたり」「プルトニウム」「トレンチ」「海水汚染」・・・といった連日次々と明らかになる現実が、詭弁という『欺瞞堤防』を木っ端微塵に打ち砕いているからだ。 

以下、ACのCMで、猪木おじさんが呼びかける
間違った情報に惑わされないようにしよう!
その典型的な対象として緊急転載しておこう。読者のみなさんは、これへの批判を書く便宜として御利用ください。(3/31 22:20記)
巻末にコメント欄を設けました。週刊ポスト記事への批判をお寄せください。(4/25 13:42記)



週刊ポスト 2011.4.8号 P32~
〔不都合な真実〕
新聞・テレビも間違いだらけ 「放射能と人体」本当の話

【リード】

  • 国民を慄かせた食品汚染の「危険ライン」
  • 広島、長崎でも「遺伝子異常」は全くなかった
  • 「決死隊」より宇宙飛行士のほうが被曝していた

放射能は目に見えないから恐怖が高まる――などと、それらしい解説をつけるメディアや政治家には猛省をうながしたい。目に見えないというなら、良薬だって大気汚染だって同じではないか。実際、そちらのほうがずっと大きな健康被害を起こしているのだ。こういう時こそ、生半可な知識で恐怖心を煽ることを慎むべきだ。放射能をどれくらい恐れるべきか、恐れなくていいのか、わかりやすくレポートする。

【本文】

結論から先にいうと、今のところ、今回の原発事故により、一般市民に重大な健康被害が生じる可能性は、種々の研究成果、疫学調査から判断するならば、低いということになる。その理由、根拠は後に述べる。

前号でも報じたが、原子力や放射能について、政府関係者やメディアが、あまりにも無知すぎることが不安を広めている。"見えないから怖い。のではなく、"知らないから怖いのだ。発表・報道する側が知らないから、当然、国民にも本当のことが伝わらない。

  • (引用者注)国民に「伝えられなかった」ホントのこととは「レベル7」。チェルノブイリの1/10の放射能を既に放出した大惨事だということです。

これも前号の繰り返しになるが、まず「放射能」「放射線」「放射性物質」の違いを理解しておく必要がある。原発などで起きる核分裂によって、中性子や電磁波などが飛び出す。これを総称して「放射線」と呼ぶ。

その放射線を出す能力を「放射能」といい、放射能を持つ物質が「放射性物質」だ。従って、よく使われる「放射能が漏れる」という表現は正確ではない。「放射能を持つ放射性物質が漏れる」というべきであり、それとは別に遠くにある放射性物質(例えぱ福島原発の炉内にあるもの)から直接、放射される放射線もある。

  • (引用者注)「天才」というのは「天賦の才能」でもあり「天賦の才能をもつ人」でもあります。放射性物質のことを「放射能」ということは、日本語として決して間違いでは有りません。因みに私は、放射線という実体と、放射性物質という実体の、両者の総称として「放射能」という言葉を便利に用いています。庶民が使う「放射能」という言葉はきわめて適切な言葉です。文部科学省も公文書で「放射能」という言葉を用いています。

放射線の一部は非常に透過性が高く、厚いコンクリート壁などで覆っていても、ごく微量は外部に漏れる。だから通常運転の場合でも、原発周辺はほんのわずかだけ放射線量が多くなる。

  • (引用者注)その通常運転時の「わずか」とは、年間トータルで50マイクロシーベルトです。1時間あたりですと、50÷24÷365=0.0057マイクロシーベルトです。これに比べたら、現在の浪江町、飯舘村、そして福島市内の小学校校庭での空間線量率は、3桁から4桁も高い値です。

今回の事故では、原子炉の崩壌を防ぐ目的で、内部の放射性物質の一部を蒸気などの形で環境中に出してしまったため、それらが原発周辺に散らばっている。そこから放射線が出ているために周囲の線量が上がっているのである。

  • (引用者注)「レベル7」の発表はこの記事の後のことですから止むを得ないかもしれませんが、散らばった放射線量は、並大抵のものではありません

また、放射性物質には微粒子となって風に乗るなどして運ばれるものもあり、その運ばれ方によって、一概に原発に近いほど放射線量が多いとはいえなくなることもある。

以下、それらの放射線、放射性物質によって、どれだけの健康被害があり得るのかを、4つのパートに分けて検証していく。


(1)食品汚染と内部被曝―本当に恐い話と、本当は恐くない話


国民がいま最も知りたいのは、食品や水、空気がどれくらい危険かだろう。

今回、各地で検出された食品の放射線量のうち、特に高かったのが茨城県日立市のホウレンソウで、54100ベクレル/㎏のヨウ素131が検出された。

では、これを摂取した人はどれくらい被曝することになるのか。別掲記事―下段欄外)のように、ペクレルとは物質が放射線を出す量である。人間が被曝で被害を受ける量はシーペルトで表わされる。ペクレルをシーベルトに換算するには、摂取量と、放射性物質ごとに設定された「実効線量係数」という数値を掛ける。

  • (引用者注)「実効線量」とは、人間の体の単位重量あたりの被曝影響を表します。ヨウ素131の場合は甲状腺に大部分が蓄積しますから、そのリスク評価は「実行線量」ではなくて「甲状腺の等価線量」で行います。「甲状腺の等価線量」とは甲状腺の単位重量あたりの被曝影響をあらわします。

この係数は、それぞれの放射性物質が体に取り込まれた際に、どんな放射線が、どれだけ体内に留まり、どれくらい放射線を人体に与えるか、などを考慮して決められたものである。


  • (引用者注)筆者は、「実効線量係数」が成人と、幼児、乳児で違うことも、ヨウ素131の場合は「甲状腺の等価線量係数」でおこなうこともご存知ないのですから、以下の計算はすべてアウト、無効です。筆者のあげている「実効線量係数」は成人のもので、しかも国際放射線防護委員会のもので、日本の原子力安全委員会が決めた値とは違います。参照:http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2989.html

ホウレンソウの日本人の平均摂取量は年間6・8㎏。ヨウ素131の実効線量係数(経口摂取)はO・OOO022(単位はミリシーペルト)。よって、このホウレンソウを1年間食べ続けると、約 8.1ミリシーベルトの被曝量となる。

よく枝野幸男・官房長官が使う「CTスキャン○回分」でいえぱ、胸部CTがだいたい6・9ミリシーベルトだから、その1.2倍弱になる。


これは単純に「安全」とはいえない。次章で詳述するが、人間が自然に被曝する量は世界平均で年間 2.4ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)は、これとは別に人工的な放射線は年間 1ミリシーベルト以下にすることが望ましいとの基準を設けている。実際には、CTのように1回でこれを超えてしまうものもあり、この基準には「医療用を除く」という但し書きがついているが、これは医療用放射線が安全だからではない。

  • (引用者注)人間が自然に被曝する量は日本平均では年間 0.99ミリシーベルトです。また、自然放射線と医療用放射線を除いて、原子力施設からの環境放射線は、日本の法律に基づいた経済産業大臣告示によって、1ミリシーベルト以下にするように決められています。「のぞましい」ではなく「守られなければならない」数字として規定されています。

当然、食品からCT1回分もの被曝をするというのは避けたいことだ。

  • (引用者注)毎日1歳の乳児が仮に20グラムづつ54000Bq/kgの葉もの野菜を、離乳食として食べたとすると、乳児の甲状腺等価線量は、
  • 2.8×10マイナス3乗×0.02×11.44×54000=30.2mSv となります。これは規制値11.1mSvを超えます。甲状腺への負担は、X線CTの5倍になります。
    ※11.44(日)は、ヨウ素131の半減期を考えると、1年間たべたときの総放射線量は、初日の放射線量の11.44日分になるという意味です。

ただし、右記の数値は原発事故直後、近隣地域で、放射性物質が付着しやすい「葉もの野菜」の数値である。このレベルの食品を食べ続けることは地元の人でもまずない。その意味で、「ただちに健康被害があるとはいえない」という評価は、まあ妥当である。

  • (引用者注)規制値の濃度を超えた品目を食べなければ総量として濃度を超えない、という原理ですから、食べなければ、「ただちに健康被害があるとはいえない」といえます。

また、水道水から965ベクレル/㎏の値も検出された。この水を1年間に700リットル(1日2リットル弱)飲めば、15ミリシーベルトの被曝量になり、これはかなり高い。が、これも特殊な仮定を重ねた試算であり、「念のため飲用を控えてほしい」という対策も妥当ではないか。

  • (引用者注)これも間違った係数での計算ですからぜひ訂正をお願いしたいものです。
    日本の乳児の水道水摂取量の平均は、牛乳などを除くと1日0.71kgだそうです。それで計算しますと、965ベクレル/㎏の放射能が減衰していく水道水を1年間飲むと、
    乳児の甲状腺等価線量
    =2.8×10マイナス3乗×365×0.71×11.44=8.3mSvとなります。

原発から放射性物質が高濃度で出続けているわけではないし、ヨウ素131の放射能は8日で半減するので、いずれ数値は下がる。そうすれば、飲用として使えるようになる。また、東京で乳児の安全基準を超える水が見つかったが、乳児の基準が厳しいのは、後述する小児甲状腺がんのリスクが高いからであり、成人はこの水でも間題はない。もちろん基準値を超えている間は乳児に飲ませないほうがよいことは間違いない。


【P32-33脚注】シーベルトとベクレル
ペクレルは物質が放射線を「出す」量。1秒間に1個の核分裂が起きて放射線が出る量が1ベクレルだ。これに対し、放射線を「受ける」量(吸収エネルギー)はグレイという単位が使われるが、人体への影讐をはかるためには、単に受けるエネルギー量ではなく、放射線の種類ごとに、その量をはかる必要がある。穫類により体に与える影響が違うからだ。それを加味し、「体への影響」を数値化したものがシーペルトだ。例えば、原発事故などで多く発生するぺ一タ線やガンマ線では、1グレイ=1シーペルトだが、アルファ線ならぱ1グレイ=20シーペルトである。アルファ線は飛ぶ粒子の質量が大きいなどの理由で、1つの放射線が人体に与えるダメージが大きいからである。

  • (引用者注)これは、外部被曝の説明です。



ちなみに、ニュースによく出てくる「食品安全基準」というのは、その食品を一生食べ続けるリスクまで考えて決められるために非常に厳しく定められている※1。このような事故が起きれば、それを大幅に超える数値が出ることは当然である。「基準の10倍」「基準の100倍」などと聞けば怖くなるのは当然だが、それを一生摂り続ける可能性はまずない。実際の被曝量がどれくらいか見当がつけば、少しは惑わされないのではないか。

  • (引用者注※1)これは完全なウソです。ヨウ素131では規準は1年間食べつづけるという前提です。といっても半減期は8日ですから、1ヶ月しか食べなくても1年食べつづけても放射能の摂取量は殆ど違いがありません。そうやって1年間摂取したものが体の中で一生の間放射しつづける影響を係数の中に込めているのです。「一生食べつづけるリスク」などではありません。筆者は故意に枉げて書いているのでしょうか?

福島などでは土壌汚染が長期にわたることが心配されている。これは難間だが、チェルノブイリなどでは、ヒマワリや莱の花に放射性物質を吸収させて浄化する取り組みが効果をあげているようだ。

普段も食べている“被曝食品”

ヨウ素131が「怖い」といわれるのは、体内に入ったあと甲状腺に取り込まれ、甲状腺がんを誘発するリスクがあるためだ。

ただしこれも、「怖いもの」と「怖くないもの」を区別することが重要になる。

まず、40歳以上は心配しなくていい。多くの研究により、それ以上の年齢の人にヨウ素131を投与しても、甲状腺がんの発症率は上がらないことがわかっているからだ。この場合、恐れるべきは被曝量だけだ。

それ以下の年齢の人はできるだけ被曝を避けたほうがよいが、体内に取り込んだ場合でも、ヨウ素131の放射線は8日で半減するので、80日経てば放射線量は1000分の1になる。取り込んだからといって、ずっと被曝が続くというものではない。

  • (引用者注)もともと、線量係数には被曝が減衰していくことを考慮しています。なんども勝手に減衰させてはいけません。

また、世界で一番、海藻を多く食べるといわれる日本人はは、最初から甲状腺にヨウ素が多いため、欧米人に比べると、体内に取り込まれたヨウ素131のうち、甲状腺に留まるものは3割以上少ないとされる。

  • (引用者注)そのことを考慮して、原子力安全委員会は線量係数を、国際放射線防護委員会ICRPのそれより低く取ってあるのです。

ヨウ素131と並んで、原発事故で広く拡散するのがセシウム137だが、こちらはもともと体内に取り込まれても組織内に留まることはなく、数か月もすれぱ体外に排出される。

  • (引用者注)これを生物学的半減期といいますが、線量係数には生物学的半減期も反映されています。

そうした特性を考えたうえで算出されたのが、前出の実効線量係数である。

もう一点、食品の放射能について知っておきたいのは、もともと多くの食品には放射性物質が少量含まれていることだ。

例えば、人体を形成する必須元素の一つであるカリウムには、O・012%の割合で放射能を持つカリウム40が含まれる。成人ならばカリウムは体内に100~200gあり、放射線を3500~7000ペクレルほど出している。年間被曝量でいうと、0・3ミリシーベルトほどになる。

食品安全基準では、野菜の放射線量は2000ベクレル/㎏以下だが、基準ぎりぎりの野菜を数㎏ドカ食いしても、もともと体内にあるカリウムからの被曝量と同程度なのである。その程度で危険というなら、むしろカリウム含有量の多いイモ類や大豆などは、健康食品どころか毒になる。

  • (引用者注)まったくムチャクチャです、カリウムとヨウ素の甲状腺影響を何で比べているのでしょう? 筆者は説明できないはずです。そして、ここでも「成人の実効線量」と「乳児の甲状腺等価線量」の2桁もの違いをまったく考慮にいれていません。

最後に、「放射線を浴びた食物を食べても大丈夫か」という疑問について。

放射線を浴びると、物質によっては自ら放射性を帯びる「放射化」が起きる。また、放射線によって細胞や遺伝子が壊れる。しかし、食品に含まれる物質(元素)で放射化が起きるものはほとんどなく、細胞の破損についても、FA0(国連食糧農業機関)、IAEA(国際原子カ機関)、WHO(世界保健機関)の合同委員会が、一定量以下の放射線を受けた食品の安全宣言を出している。今回のレベルの汚染は、安全の範囲内とされる。

  • (引用者注)放射線の程度の問題で、基準値近辺の放射線が他に及ぼす影響は確かに低いでしょう

現に、こうした国際機関の研究結果を受け、普通に口にする食品のなかにも、かなりの"被曝食品。がある。例えば、ジャガイモでは発芽を抑えるために放射線照射を施すことが世界的に行なわれており(日本では一部のみ)、その他、香辛料や乾燥野莱の殺薗用にも使われている。現在は、世界で約40品目、年間30トンが流通している。これが危ないなら、すでに世界中の人が危ないことになる。

  • (引用者注)ダメですよ。程度の問題を抜きに語っては!放射線をあてたジャガイモが、どれだけのベクレルを発しているか、説明してくださいね(笑)



(2)人間の「普通の被曝量」


さすがに報道でも指摘されるようになったが、自然界にはもともと多くの放射性物質と放射線が存在する。これを自然放射線と呼ぶ。

主なものは、放射性物質を含む大地からの放射線、宇宙から注ぐ宇宙線、前章で触れた食品に含まれる放射線や体内物質からの放射線、さらに放射性の気体であるラドンを呼吸することで受ける放射線などだ。

世界平均で、年間2.4ミリシーペルトの被曝量があるとされる。

この値が日本ではもともと平均1.5ミリシーベルトと低い。これは主にラドン被曝の多寡による。

  • (引用者注)東京電力のサイトでは、平均0.991.5ミリシーベルト/年です

アメリカでは、重い気体であるラドンが床下に溜まり、そこから照射される放射線で被曝することが問題になったこともある。

欧米の自然放射線による年間被曝量は、アメリカは4ミリシーベルト、イタリアやイギリスは2.2ミリシーベルトである(都市によって異なる)。これらの地域に住む人たちは、もともと日本人より年間数ミリシーペルト多く被曝しているのである。ちなみにイタリアでは、「原発事故で放射線量が上がっている東京が、実は口ーマより線量が少なかった」という報道も出た。


今回の原発事故で日本への渡航を見合わせたり、日本から逃げたりした外国人は多いが、彼らはそれにより、余計に被曝した可能性が高いのだから皮肉だ。

もうひとつ皮肉といえば、枝野長官が会見で何度もいったように、逃げるために飛行機に乗ると被曝する。自然放射線のうち、宇宙から降り注ぐ宇宙線は高度が高いほど多くなるからである。東京―ニューヨークの片道フライトで0.1ミリシーベルト程度、被曝する。

同じ原理で、高度の高い地域は宇宙線が多い。およそ1500メートル上がるごとに放射線は2倍になるといわれる(異なる試算もある)。地上での宇宙線被曝量は年間0.3~0.4ミリシーペルトくらいだから、高原に住む人々は、それだけで自然放射線をかなり多く受けるこどになる。

しかし、疫学調査では、自然放射線が健康に与える影響はほとんどないことが示されている。

(引用者注)自然放射線のリスクはちゃんと受けています。

特に自然放射線の多い地域として知られるのは、ブラジル南東岸のモナザイト岩石地帯である。ウランやトリウムを多く含む岩石のため、年間10ミリシーベルトもの被曝量がある。世界平均の4倍以上だ。

1970年代から80年代にかけ、この地域では盛んに健康調査が行なわれたが、その結果は、リンパ球細胞などで染色体異常の起きる確率が他の地域より高いことは確認されたものの、生まれる子供の性比、先天性異常、流産、死産、乳児死亡、受胎率、出産率などは他の地域と差がなかった。

(引用者注)染色体異常の起きる確率が他の地域より高い、ということは、自然放射線にもリスクがあるという証明でしょうね。

同じようにモナザイト岩石地帯にあるインドのケララ州でも、年間10ミリシーベルトを超える自然放射線被曝をしている地域がある。しかし、ここでも大規模な健康調査の結果、他の地域との差はなかった。

その他、ラジウム泉の影響を受けるイランのラムサールでも、がん発生率に差がないことが確認された。中国の陽江では、がんなどの発生率が変わらないことに加え、なぜか結核の死亡率が明らかに低いことが注目された。結核薗が放射線で死ぬのだろうか。真相は今後の調査が待たれる。

(引用者注)これは、アンノウンun knownの領域ですね

もうひとつ追加情報を。

日本の自然放射線による被曝が年間1.5ミリシーペルトと述べたが、1960年代の平均的な被曝量は、これよりはるかに多かった。

米ソ冷戦時代で、両国が核実験を繰り返していたからである。当時、北半球全域にわたり、空気中のセシウム137やストロンチウム90の濃度は現在の数百~数千倍に及んでいた(UNSCEAR 00年報告書)。

もちろんこれは自然放射線ではないが、核実験により、世界中が高い放射線を浴ぴ続けた時代もあったわけで、日々の生活で受ける放射線量は、この程度の幅では健康被害は起こさないと考えられている。

(引用者注)いやいや、日本人のがんによる死亡率はその後10年経って徐々にあがり、1980年代から下がっています。国立がんセンターのグラフをみてください。


(3)実は身の回りにたくさんある「放射能」


普通の生活で浴びる放射線は、自然放射線だけではない。もう一つ多いのが医療である。特に日本人の"被曝好き"は世界一だ。

世界平均では、医療被曝は年間0.63ミリシーペルト。これに対して日本では、自然放射線被曝を上回る年間2.25ミリシーぺルトにも及ぶ(93年国連放射線影響科学委員会報告書)。自然放射線被曝は世界平均より年間1ミリシーペルトも低いのに、医療を合わせると世界平均より年間0.7ミリシーベルトも多く被曝しているのである。

(引用者注)確かに、医療放射線のリスクに無関心な日本人は異常です

原因の多くは「治療」ではなく「検査」である。CTスキャンが1回で6.9ミリシーベルトも被曝するのをはじめ、上部消化管エックス線検査(いわゆるパリウム検査)も0.6ミリシーベルト。こんな高い被曝を毎年の健康診断で多くの国民が受けているのは、世界でも日本だけである。

胸のレントゲンは0.05ミリシーペルトだが、かつては10倍以上の被曝量だった時代もある。技術革新により、少量の放射線で足りるようになった。

1章で紹介したように、食品にも放射線が使われている。もっとも、これは食品が被曝するのであり、人間が被曝するのではない。

(引用者注)これの経口摂取量はきわめて僅かです。

その他、例えば建材にも少量の放射性物質が意図的に混ぜられているものがある。放射線により、建材の均質性や厚さを検査するなどの用途に使われている。

また、煙探知機や兵器の一部など、放射性物質が使われている工業製品は実は結構ある。

珍しいところでは、90年代まで盛んに使われていた「夜光塗料」も放射性物質を多く含む。混ぜ込んだプロメチウムやトリチウムから出る放射線のエネルギーで光る仕組みだったからだ。時計の文字盤などに幅広く使われたが、使用していた人は、少量ながら毎日被曝していたことになる。

(引用者注)福島でのヨウ素やセシウムは桁違いですから、いっしょくたにしないように。

現在は代替材料が日本の企業によって開発されて廃止されているが、背景には、この塗料を文字盤に塗る職人に被曝による健康被害が報告されたことがあった。

多くの人が「健康に良い」と喜んで入る「ラドン温泉」「ラジウム温泉」もかなりの放射線を出す。ラドンもラジウムも放射性物質の代表格である。

ここで伝えたいのは、「危険がいっぱい」ということではない。放射性物質が、原発特有のものではなく、多くの分野で利用され、社会に広く存在することを知ってもらいたいのである。

もちろん、紹介したなかで健康被害が懸念される被曝量になるものはない。強いていえば、医療被曝はこんなに必要か、と警鐘を鳴らす専門家は少なくないが。


(4)「決死隊」はどうなる? 歴史とデータで見る「被曝者の健康被害」


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(insertコラム)被曝量と健康被害
【急性障害】

【晩発障害】
●確定的影響(一定の線量を超えて被曝した場合、ほぼ確実に現れる症状)
→白内障、急性骨髄障害、胎児発生の障害(精神遅延、小頭症)など
●確率的影響(受けた放射線の量に比例して発症確率が上昇する症状)
→がん(白血病、甲状腺がんなど)、遺伝性疾患(確認されたのはハエ・ラットのみ)
〇東京大学医学部付属病院放射線科・中川恵一准教授
「仮に100ミリシーベルトを一気に被曝した場合、健康への影響が懸念されるといわれていますが、発がんの危険性は0,5%上昇するのみです。日本人のうち2人に1人ががんになるといわれていますから、50%が50.5%になる程度。発がんについてはタパコを吸う方がよほど危険だといえるでしょう。今回の福島原発事故のケースでは、原発に近い地域で避難した方々を含め、一般人に対する放射線による健康被害はまず考えられません。それよりも無闇に煽り立てる報道によって、国中がパニックになっていることの方が問題。放射能汚染という風評被害で野菜が食べられない方が、よほど体に悪いことといえます」

(引用者注)この図は見事に100mSv以下を亡き者にしてしまいましたね。このような情報操作をする司令部は、一体全体どこにあるのでしょうか

(引用者注)中川先生は、がん死の話を「がん発生率」を摩り替えています。また、0.5%の大部分は年少者の白血病とか甲状腺がんです。老人になってがんで死ぬ人間ががん死30%の大部分です。年少者の白血病とか甲状腺がんが、数百倍になっても、こうした数字のトリックで、影響の重大さを覆い隠しています。なぜ、放射線医のくせに、このような姑息な誤魔化しを言うのでしょうか?
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前章までの話は、だいたい年間、数ミリシーベルトの単位で危険があるか、通常よりどれくらい多いか、といったテーマだった。原発事故では、そのレペルにとどまらない被曝が起きることがある。周辺住民にまで高いレベルの被曝が及ぶ最悪の事態もあり得る。

そうした例で、どれだけの被曝で、どれだけの健康被害が出たか紹介する。

最初に、今回の福島のオペレーションに参加した「決死隊」については、発表されている通り、いまのところ健康被害はごく一部を除いてそれほど心配はないだろう。最も多く被曝したのは、3月24日に被曝した作業員3名で、被曝量は170~180ミリシーベルト。また、ずっと原発に留まって作業している東京電力の社員数名が、政府が定めた緊急時の被曝眼度である100ミリシーベルトを超えている(現在は緊急事態なので限度が250ミリシーペルトに引き上げられている)。国際放射線防護委員会は緊急時の限度を500ミリシーベルトとしている。

その他の決死隊は、放水作業で賛辞を受けた東京消防庁の部隊が最高27ミリシーペルト、自衛隊もほぼ数ミリシーベルト、多くても数十ミリシーペルトなので、これは自然放射線や医療放射線と大差ない被曝量といえる。

100ミリシーペルトを超えると、健康被害の可能性が出てくるとされるので、これを超えた東電職員については、交代ざせる決断も必要かもしれない。

(引用者注)健康被害の可能性は、被曝線量に比例して大きくなるので、100ミリシーベルトからではありません。

過去の事故としては、79年の米スリーマイル島原発事故、86年のソ連チェルノブイリ原発事故が有名だ。被害はどうだったのか。

スリーマイルでは、福島同様に原子炉が緊急停止した後に一時、空焚きになり、燃料棒が溶解した。福島より悪い点は、その間、炉内の圧を逃がす弁が開きっぱなしになり、炉外に放射性物質が飛散したことである。

正確な評価は今後を待ちたいが、放射性物質の拡散量では、福島より多かった可能性もある。

(引用者注)残念ながら福島が「レベル7」で、あっさり超えてしまいました。

事故後、米政府は通称「ケメニー委員会」に住民の調査を命じ、大規模な被曝量調査が実施された。

その結果、「事故による被曝量は、半径50マイル(約80キロ)以内に住む住民は、平均で通常の年間被曝量の1%以下、5マイル以内でも年間被曝量の10%以下だった」と結論づけた。これは健康被害が起きるとは到底考えられない数値だった。その後もいくつかの調査が実施されているが、健康被害は報告されていない。原発職員などにも死者、重篤な被曝者は1人もいなかった。

チェルノブイリは、放射性物質の拡散という面ではスリーマイルや福島の比ではなかった。運転中の原子炉が制御不能に陥り、圧力容器ごと大爆発を起こしたのだ。しかも格納容器がなかったため、言葉は乱暴だが、10トンともいわれる原子炉内の放射性物質や核燃料が"散らぱり放題になったのである。

もちろん健康被害は徹底調査された。原発職員や事故処理に当たった兵士らが死亡したが、一般住民は急性放射線障害を起こしておらず、死亡した住民もいなかった。

晩発障害では、甲状腺がんが多発した。前述のように、この原因となるヨウ素131は数か月でほとんど放射能を失うのだが、知識や救援体制の未発達により、汚染された食糧を子供たちが摂取してしまったのだ。

被害がピークとなった95年には、小児甲状腺がんの発生率が、通常10万人に1人のところ、13人まで急増した。ただし救いは、この病気は治療でき、06年時点で死亡したのは15人だった。小児ではない甲状腺がんは約4000例発症したが、そのうち05年時点までに死亡したのは9人だった。

(引用者注)この数字はだれのデータでしょうか? 余りにも過少です

これらのデータから受ける印象は人それぞれだろうが、実は人的被害はそれほどでもなかった、と感じる読者も少なくないのではないか。過度の放射能恐怖症は、社会的差別などにもつながるため、単純に「用心に越したことはない」とはいえない面もある。

例えば、「放射能を浴びると遺伝的障害を受ける」という考えは"常識。のように語られるが、これはデータから否定されている。

原爆投下を受けた広島、長崎で医療機関や政府機関が実施した調査によると、被爆者から生まれた子供の小児死亡率、染色体異常の発生率、身長・体重などの異常は「全く謁められない」という結論が出ている(放射線影響研究所調査)ことを、どれだけの日本人が知っているだろうか。

(引用者注)遺伝的影響ですね。これは、統計が小さすぎること、死産、流産、その他数日でなくなった赤ちゃんなどが、統計に一切現れていないことに留意すべきです。

放射線によって遺伝子異常が生じることは、理科などでもハエやマウスの実験で紹介されるため、そう思っている人が多いが、人間の場合、遺伝子異常があると受精卵が着床しないなどの防御機能があり、遺伝的障害は起きないというのが科学的常識なのだ。それで子供が生まれにくくなるというデータもない(もともと大半の卵子は着床しないため)。

(引用者注)それは、不妊ということですね。でしたら重大な放射線影響の一つではありませんか。不幸を「めでたい」という倒錯的発言は止めてもらいたいものです。

なお、一般の職業でも少量の被曝をしながら働いている人は多い。医療関係者は平均年間0.29ミリシーベルト、建物の非破壊検査などビジネスで放射線を扱う人は0.06ミリシーベルト、研究教育で使う人と獣医療関係者は0.02ミリシーベルト被曝する(線量測定大手の「千代田テクノル」の測定結果)。

また、航空機のパイロットは最大年間5ミリシーペルトと、一般の職業ではかなり被曝しているし、原発職員もおよそ1~2ミリシーベルトくらいだ。

(引用者注)今、福島の子供たちは、外部被曝だけで年20mSvを強いられています。このヒドイ現状を知ったら、筆者はこのようなことを書いたでしょうか

「一般の職業」といえるか疑問だが、宇宙飛行士は宇宙ステーションに滞荏すると1日で1ミリシーペルトも被曝するので、半年滞在すれば、今回の事故処理に従事した東電職員より被曝量が多くなる。

実際に放射線で死亡するのは、さらにその10倍以上の被曝量からの問題であり、がんの発生率も、宇宙飛行士や決死隊の被曝量であれば、過去のデータから問題ないとされる(少量の被曝でもがん発生率が上がるという説もあるが、それだと自然放射線の多い地域でもがんが増えないことは説明できない)。さらに、遺伝的影響については、データからは「ない」のである。

(引用者注)元宇宙飛行士の死因にがんが多いのはつとに有名です

いたずらに「放射線は安全だ」ということは本稿の主旨ではないが、正しい知識を持てぱ、パニックは避けられるはずだ。

(引用者注)まず、週刊ポスト「筆者」様から、正しい知識を持ってくださるよう、お願い申上げます。

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  • >- (引用者注)この数字はだれのデータでしょうか? 余りにも過少です
    この部分ですが、恐らく
    http://www.aesj.or.jp/atomos/popular/kaisetsu200701.pdf
    からの引用ではないかと。
    そうすると一部間違いがあります。
    小児(事故当時18歳未満)の甲状腺がんの増加が4000人で、2005年には9人だった死亡者が2006年のレポートでは15人に増えていたという事ですね。
    過少ではありますが、国際的な会議での評価です。 -- (通りすがり) 2011-05-08 00:50:33

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