15年戦争資料 @wiki

【講演資料6】新安保防衛懇報告 2010年8月

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可
2010.11.27.九条の会事務局主催学習会「新安保防衛懇報告と憲法9条」講演資料

【講演資料6】新安保防衛懇報告 2010年8月



(菅首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が8月に公表した報告書の抜粋)


第1節 基本的考え方

近年の軍事科学技術の発展、事態生起までの猶予期間の短縮化等によって防衛力の特性が変化し、日本の防衛のためには、従来の装備や部隊の量・規模に着目した「静的抑止」に対し、平素から警戒監視や領空侵犯対処を含む適時・適切な運用を行い、高い部隊運用能力を明示することによる「動的抑止」の重要性が高まっている。今日では、基盤的防衛力構想から脱却し、多様な事態が同時・複合的に生起する「複合事態」も想定して踏み込んだ防衛体制の改編を実現することが必要な段階に来ている。


第4節 グローバルな安全保障環境の改善

自衛隊は、国際平和協力活動を通じて、日本のプレゼンスを世界に示すべきであり、国内外で官民連携もしつつ、グローバルな安全保障環境の改善のため、(a)破綻国家・脆弱国家の支援、国際平和協力業務への参加の推進、(b)テロ・海賊等国際犯罪に対する取り組み、(c)大規模災害に対する取り組み、(d)PSIでの連携強化を含むWMD・弾道ミサイル拡散問題への取り組み、(e)グローバルな防衛協力・交流の促進を進めるべきである。また、日本の資金援助などによる防衛援助の選択肢を可能とすべきである。


第2節 物的基盤

国内の防衛生産・技術基盤をめぐる現在の行き請まりを打破するためには、国内で維持すべき生産・技術分野について官民が共通の認識を持ち、選択と集中を進める必要がある。そのため政府は「防衛産業・技術戦略」を示すべきである。
同時に、国内防衛産業が国際的な技術革新の流れから取り残されないためには、装備品の国際共同開発・共同生産に参加できるようにする必要があり、国際の平和と日本の安全保障環境の改善に資するよう慎重にデザインした上で、武器禁輸政策を見直すことが必要である。

日米安保体制をより一層円滑に機能させていくために改善すべき点には、自衛権行使に関する従来の政府の憲法解釈との関わりがある間題も含まれる。例えば、日本防衛事態に至る前の段階での米艦防護の問題や、米国領土に向かう弾道ミサイルの迎撃の問題は、いずれも従来の憲法解釈では認められていない。日米同盟にとって深刻な打撃となるような事態を発生させないため、政府が責任をもって正面から取り組むことが大切である。日本として何をなすべきかを考える、そういう政府の政治的意思が重要であり、自衛権に関する解釈の再検討はその上でなされるべきものである。

国際平和協力活動は多機能型へ進化しつつあり、冷戦終緒直後に考え出された日本の国際平和協力の実施体制は時代の流れに適応できていない部分がある。PK0参加五原則の修正について積極的に検討すべきである。また、自衛隊の任務として、他国の要員の警護や他国部隊への後方支援を認めるべきであり、これらは憲法の禁ずる武力行使の問題とは無関係であり、必要であれぱ従来の憲法解釈を変更する必要がある。

最後に、国際平和協力活動に関する基本法的な恒久法を持つことが極めて重要である。


◆首相官邸サイトの「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」のページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/

◆報告書「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想―「平和創造国家」を目指して―」 要約と全文PDF
PDF:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/houkokusyo.pdf


◆新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会の構成員

(委員)

岩間陽子  政策研究大学院大学教授
いわまようこ

佐藤茂雄  京阪電気鉄道株式会社代表取締役CEO 取締役会議長
さとうしげたか

白石隆  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所所長
しらいしたかし

添谷芳秀  慶應義塾大学法学部教授
そえやよしひで

中西寛  京都大学大学院法学研究科教授
なかにしひろし

広瀬崇子  専修大学法学部教授
ひろせたかこ

松田康博  東京大学東洋文化研究所准教授
まつだやすひろ

山本正  財団法人日本国際交流センター理事長
やまもとただし

(専門委員)

伊藤康成  三井住友海上火災保険株式会社顧問
いとうやすなり
(元防衛事務次官)

加藤良三  日本プロフェッショナル野球組織コミッショナー
かとうりょうぞう
(前駐米大使)

齋藤隆  株式会社日立製作所特別顧問
さいとうたかし
(前防衛省統合幕僚長)



目安箱バナー