15年戦争資料 @wiki

在特会徳島県教職員組合威力業務妨害事件公判傍聴記

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可

在特会徳島県教職員組合威力業務妨害事件公判傍聴記



contents




2010年11月18日00:15

1 ~明白となった主権回復を目指す会と在日特権を許さない市民の会の対立~


 徳島県教職員組合事務所内に浸入し、拡声器などで騒音を放ったり、事務所の女性書記が110番しようとした手を掴んだりしたことが威力業務妨害及び建造物侵入にあたるとして、検察官が公訴を請求した在特会徳島県教職員組合威力業務妨害裁判の公判が徳島地方裁判所で行われた。裁判所では腕章を着けた裁判所職員が午前中から西側出入口に詰めており、西門側には公安らしき者が6名集まっていた。昼前には更に7名が駆け付け、まだ誰も集まっていないにもかかわらず、物々しい雰囲気となっていた。

 徳島地方裁判所は西門が正門となっており、傍聴券発行の掲示も西門側に置かれていた。傍聴券発行は出入りの少ないと思われる北門側で行われるのは裁判所が混乱を避けようと考えているものと思われるが、裁判所が過敏になっていることを示すものはそれだけではなかった。

 私がこれまで傍聴した裁判所は東京地方裁判所、東京高等裁判所、京都地方裁判所、東京地方裁判所立川支部、さいたま地方裁判所川越支部、静岡地方裁判所及び地元の地方裁判所であるが、その中で東京地方裁判所及び東京高等裁判所でのみ行われていたボディチェックを徳島地方裁判所で行うことが掲示されていたのである。所属裁判官15人と小規模の地方裁判所でボディチェックを行うという厳重な体制は異例であり、徳島地方裁判所でボディチェックが行われたのは昭和30年代に広域暴力団山口組の小松島抗争によって公判が行われた時以来なのではないかと私は勝手な想像を巡らしていた。また、午前中に同じ法廷、同じ裁判官によって行われた公判も傍聴したが、傍聴席として設置されている60席のうち、最前列の12席には記者席の表示がなされており、一般傍聴者に用意されている席はこの時点で48席以下であることがわかった。

 いわゆる「行動する保守」は全国で街頭宣伝活動を行っている。その資金力と動員力にはある意味敬服するしかないが、いくら何でも徳島まで公判を傍聴する者は多くないものと予想していた。確かにいわゆる「行動する保守」の数は少なかった。しかし徳島県教職員組合という動員力を持つ団体が多数の関係者を動員していたのである。ざっと見て70人程度の徳島県教職員組合関係者、10名程度のいわゆる「行動する保守」(そのうち、徳島県教職員組合威力業務妨害事件で被疑者として事情聴取された者も含まれていた。)、少し毛色の変わっている界隈ヲチをしていると思われる者の数を見ると、傍聴券抽選は非常に狭き門を潜り抜けなければならないものと私は覚悟した。そして、一般傍聴者に用意された座席は39席であることが発表された。つまり、9席は人証として訪れた者、被害者などのために用意されていることとなる。

 徳島地方裁判所においてはジャーナリストが取材を行っている姿も目立った。毎日新聞の地方記者と安田浩一氏が精力的に多くの者から話を聞いていたのが非常に印象に残った。安田浩一氏とは軽く雑談をしたが、本職のジャーナリストでは最もいわゆる「行動する保守」の取材を行っているのではないか。講談社のG2についてどのような記事が掲載されるのかはわからなかったが、非常に興味深いところである。

 整理券交付時間ぎりぎりになって主権回復を目指す会の代表であった西村修平氏が裁判所に到着した。ともに同行していたメンバーは維新政党・新風世田谷支部長にして排害社金友隆幸氏、京都朝鮮第一初級学校街宣名誉毀損裁判の被告でもある美久氏らであり、西村修平氏は裁判所職員に文句を言いながら整理券を受け取っていた。その一行が北門から西門方向へと向かったが、想像通りの行為を行った。裁判所西門前から街頭宣伝活動を行ったものである。都道府県の公安条例ではどこでも街頭宣伝活動開始72時間前に届出を出さなければならないが、西村修平氏が徳島県まで訪れて届出をしているとはとても考えられず、無許可街宣である可能性が非常に高い街頭宣伝活動は、西村修平氏の抱える裁判を更に増やす危険性のあるものであった。西村修平氏は徳島県教職員組合が募金ネコババを行っており、それが詐欺行為であると述べ、日本人を拉致した北朝鮮を批判し、朝鮮学校を金銭的に支援することもまた批判した。西村修平氏のこの街宣内容は事実と異なることがその後の公判で明らかにされることとなるが、徳島県教職員組合は西村修平氏の街頭宣伝活動が名誉毀損として損害賠償を求めることも可能ではないかと街頭宣伝活動を見た私は思った。

 その街頭宣伝活動が行われている時に被告人の関係者と思われる者が抗議し、在日特権を許さない市民の会のメンバーと思われる者が野次を飛ばした。それに対して西村修平氏、金友隆幸氏、美久氏が反論し、裁判所の西門付近は収拾がつかない状況となった。公安関係者がビデオを撮影して情報収集を行い、警察官が西村修平氏らを取り囲んでいたが、無許可の街頭宣伝活動であれば速やかに西村修平氏を逮捕するのが最善の策であり、それを行わない徳島県警の対応は歯がゆく思われた。

2010年11月18日23:41

2 ~併合審理される意外な事件と被告人の前科前歴~


 公判の記述については、公人と思われる者以外は被告人らの人権に配慮してイニシャル表記とする。あらかじめご理解いただきたい。

 西村修平氏らの街頭宣伝活動が警察官らとのもみ合いとなっている時、裁判所職員が抽選結果を発表した旨の告知があり、見物人の多くは裁判所の北門へと向かった。私は幸いにも当選し、傍聴することが可能となった。また、安田浩一氏、毎日新聞の地方記者も当選していた。記者席として設けられた席は徳島の地元の報道機関のために設けられたもので、フリーのジャーナリストや他地区の地方記者は着席することができないとのことであった。いずれにしても彼らのような本職のジャーナリストに取り上げられることはよいことであると思う。

 開廷前に報道機関による写真撮影があり、その後被告人が入廷した。まずネイリストのRN被告人、元会社員のEH被告人が「失礼します。」と挨拶して入廷した。RN被告人は黄土色のトレーナーにグレーのジーンズ、EH被告人は濃いグレーのスーツという姿であった。しばらくして事件当時未成年であったYO被告人が入廷した。だるそうに歩くYO被告人はスタジャンにブルージーンズで茶色っぽいサングラスという姿であった。武田正裁判官がそれぞれ被告人に対して本籍、住所、氏名、職業を確認した。

 RN被告人は本籍が神戸市兵庫区、住所が大阪市福島区、ネイルサロンを経営している。EH被告人は本籍が東京都足立区、住所が京都市伏見区、無職であった。そしてYO被告人が住所が大阪市北区で職業を問われたときに「プーです。」と答え、裁判官が「無職ということですか。」と確認する場面があった。

 引き続き検察官による公訴事実の朗読が行われた。被告人らが徳島県教職員組合事務所に乗り込んで大声で怒鳴ったり、拡声器で騒いだり、110番通報しようとする書記長の腕を掴んだりという下記動画のような行為が述べられた。

 ただそれに加えて意外な公訴事実も述べられた。RN被告人の傷害である。RN被告人は大阪市の心斎橋の新世界じゃんじゃんにおいて、ダンサーの女性に皿を投げつけて負傷させ、傷害で公訴を提起されていたのである。

 裁判官が引き続き被告人に対して公訴事実について誤りがないか問うと、RN被告人が

「新世界では皿が女性に当たったことは事実であるが、女性にめがけて投げたわけではない。」

と述べた以外、RN被告人、EH被告人、YO被告人がすべての公訴事実を認めた。そして弁護人も被告人と同意見であると述べた。

 引き続き検察官の冒頭陳述が行われた。RN被告人は高校卒業後ネイルサロンを経営しており、平成17年に窃盗、平成20年に傷害で略式手続と判決を宣告された前科前歴がある。EH被告人は京都府宇治市で配管工として働いていた。OY被告人は大阪市で鮮魚店に勤めていたが、事件の後退職している。

 ここで私は裁判官にとってRN被告人の情状が非常に悪いものであることを確信した。RN被告人は前科前歴があることから裁判官の心証が悪いことは言うまでもないが、更に問題なのはRN被告人の前科前歴の内容である。RN被告人は平成20年と同じ傷害で平成22年に公訴を提起されている点である。同じ罪で何度も公訴提起や略式手続を行われているということは、更生することが非常に難しいと考えるのが裁判官の思考である。その結果、執行が猶予されずに実刑となったり、刑期が長くなったり可能性が高くなる

 次に在日特権を許さない市民の会の活動歴が述べられた。RN被告人は平成21年5月に在日特権を許さない市民の会に入会し、10月頃からデモに参加するようになった。EH被告人は平成20年8月頃に在日特権を許さない市民の会に入会、YO被告人は平成19年2月に在日特権を許さない市民の会に入会し、平成21年10月頃からデモに参加するようになった。

 そして、公訴事実と同様にRN被告人、EH被告人、YO被告人が徳島県教職員組合事務所で何をしたかが述べられた。そこでは、徳島地方裁判所から裁判記録が移送された在日特権を許さない市民の会副代表のDK被告人、在日特権を許さない市民の会京都支部のHN被告人、YA被告人や起訴猶予された撮影係のSM氏も含めてそれぞれの被告人らが何を行ったのかが克明に語られた。特に事務所に侵入した順序について詳しく述べられていた。そして間口3.6m、奥行7.9mの事務所内の騒音は108.8デシベルであったことも明らかにされた。この騒音はジェット機から数百mの距離の騒音であって、その騒音で徳島県教職員組合がどれだけ業務を妨害されたかを証明しようとする検察の意思を感じさせるものであった。

 また、RN被告人の傷害事件は、平成22年2月7日に新世界じゃんじゃんで隣の席に座っていた女性に対し「うるさい」と言い、その女性が「居酒屋だからしょうがない」と反論したことに激怒してRN被告人が女性に向けて皿を投げつけた事件であることが明らかにされた。

 そして検察官が甲号証と乙号証の証拠を請求し、弁護人はそのすべてに同意した。この甲号証で意外な事実が明らかにされる。

2010年11月19日07:03

3 ~なかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者はなぜ逮捕されなかったのか~


 甲号証は甲1号証から甲47号証までが徳島県教職員組合威力業務妨害事件のもので、甲48号証から甲58号証が傷害事件のものであった。

甲1号証 警察の110番受理状況

 徳島県教職員組合の書記長からのものと会館の受付の者から2件の110番が受理されており、10人以上の男女が事務所内に入って拡声器などを用いて騒いでいると訴えるものと、110番にかけて受話器を外したままの状態にしたものであった。後者の通報で警察は男女が大声で騒いでいる状況を把握した。

甲2号証 警察の対応状況
甲3号証 徳島県教職員組合書記長の供述調書

 甲3号証では徳島県教職員組合が一切街頭で募金を集めておらず、徳島県教職員組合が組合員から集めた募金880万円と日本教職員組合が寄付として積んだ額7,195万円が募金として用いられていたもので、募金詐欺というのは的はずれであると在日特権を許さない市民の会を批判し、威力業務妨害で物音に脅えたり、仕事が大幅に遅れたりしたことが被害として述べられていた。そして彼らが動画サイトに書記長と書記の動画を投稿したことも許せないと述べ、実刑判決を望む旨の供述がなされていた。

甲4号証 徳島県教職員組合書記の供述調書
甲5号証 教育会館内の徳島県教職員組合事務局の実況見分調書
甲6号証 徳島県教職員組合事務所管理者の供述調書

 在日特権を許さない市民の会の入室を許すはずがなく、厳重な処罰を望む旨述べられていた。

甲7号証 徳島県教職員組合事務所の貸借関係の捜査報告書
甲8号証から10号証 被告人らが会館1階から事務所に入ってきた状況の捜査報告書
甲11号証 犯行を録画したSM氏のパソコンのハードディスクの実況見分調書

 動画が解析され、実況見分が行われていた。

甲12号証 DK被告人の拡声器及びワイヤレスマイクの実況見分調書
甲13号証 別の拡声器の実況見分調書
甲14号証 なかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者の拡声器の実況見分調書
甲15号証 なかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者の拡声器の捜査報告書

 甲14号証、甲15号証でなかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者の拡声器が故障していることが示されていた。

 ここで警察がなかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者を逮捕しなかった理由が明らかとなった。RN被告人は大声を張り上げ、書記長が110番通報しようとしているのを手を掴んで邪魔をした。EH被告人、YO被告人もまた大声を張り上げて業務を妨害していた。京都地方裁判所に事件が移送されたDK被告人、HN被告人、YA被告人も同様である。公判で提出された証拠や主張からも捜査当局が威力業務妨害を建造物侵入より重視していることは明らかであった。しかし、なかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者は大声を張り上げて業務を妨害することはなかった。それがなかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者と他の被告人の運命を分けることとなったのである。しかし、それはなかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者自身の意思ではなく、拡声器の故障という外的要因がもたらした僥倖でしかなかったのである。

甲16号証 日の丸、旗竿の実況見分調書
甲17号証 参加者の旭日旗の実況見分調書
甲18号証 EH被告人の日の丸の実況見分調書
甲19号証 参加者の横断幕の実況見分調書
甲20号証 SM氏の撮影していたビデオカメラの実況見分調書

 このビデオカメラについては正常作動することが確認されている。

甲21号証 徳島県教職員組合書記長によって事件を再現した実況見分調書

 拡声器の騒音が108.8デシベルであったことはこの再現によって明らかとなった。

甲22号証 108.8デシベルの騒音についての捜査報告書

 108.8デシベルはドリルから10m、ジェット機から200mの騒音と同じであることが示されている。

甲23号証 産経新聞インターネット版
甲24号証 不明
甲25号証 徳島県教職員組合に対する街頭宣伝活動を呼びかける在日特権を許さない市民の会ホームページ及びRN被告人のブログ
甲26号証 徳島県教職員組合に対する街頭宣伝活動に参加した参加者一覧と団体所属状況の捜査報告書
甲27号証 在日特権を許さない市民の会の組織、事務所、ホームページなどの捜査報告書
甲28号証 主権回復を目指す会に関する捜査報告書
甲29号証 そよ風に関する捜査報告書
甲30号証 チーム関西に関する捜査報告書
甲31号証 徳島県教職員組合街頭宣伝活動参加者のその後1箇月の活動参加状況の捜査報告書
甲32号証 HN被告人の活動歴に関する供述調書
甲33号証 HN被告人が4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
甲34号証 HN被告人と他の参加者との共謀関係に関する供述調書
甲35号証 SM氏のビデオにより解析したHN被告人の活動
甲36号証 HN被告人の心境に関する供述調書

 人目を引くインパクトある活動を行うことによって支持者が増えたが、徳島県教職員組合事務所内での活動は嫌がらせ以外の何物でもない。アポイントをとって部屋で少人数によって抗議すべきだった。活動についてはどんどんエスカレートするから不安であったなどとHN被告人が供述している。

甲37号証 YA被告人の活動歴に関する供述調書
甲38号証 YA被告人が4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
甲39号証 YA被告人と他の参加者との共謀関係に関する供述調書
甲40号証 SM氏のビデオにより解析したHN被告人の活動
甲41号証 YA被告人の供述調書の内容の訂正に関する供述調書
甲42号証 YA被告人の心境に関する供述調書

 徳島県教職員組合に対して申し訳ないことをしたとYA被告人が供述している。

甲43号証 DK被告人の活動歴に関する供述調書
甲44号証 DK被告人が4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
甲45号証 DK被告人と他の参加者との共謀関係に関する供述調書
甲46号証 SM氏のビデオにより解析したHN被告人の活動
甲47号証 DK被告人の心境に関する供述調書

 DK被告人がこれからも在日特権を許さない市民の会の活動を続けると供述している。


2010年11月20日13:36

4 ~供述調書で被告人らはどのように心境を述べたか~


 引き続きRN被告人の傷害事件の甲号証である。

甲48号証 被害者の供述調書
甲49号証 被害者の供述調書

 被害者はダンサーであるが、傷が残っているため未だ特殊メイクで傷跡を隠している。RN被告人側からは電話1回、5月上旬に5万円の支払いがあったが、治療費は10万円であると伝えているにもかかわらず、未だに10万円分の振込みすらなく、誠意がないと述べている。

甲50号証 事件を再現した実況検分調書
甲51号証 事件を再現した実況検分調書
甲52号証 診断書

 全治10日間の診断と7針縫ったことが示されている。

甲53号証 2月9日の全抜糸に関する書面
甲54号証 怪我の状況を示した書面
甲55号証 7月30日現在の怪我の状況
甲56号証 RN被告人の友人の供述調書
甲57号証 RN被告人の飲酒についての捜査報告書

 RN被告人はカクテル1杯を飲んだだけで2時間経過後の午前8時頃にはアルコールはほとんど検知されなかったことが示されている。

 検察官は引き続き乙号証を読み上げた。刑事裁判における甲号証は被告人以外の人物による証拠であり、乙号証は被告人自身に関する証拠である。なお、弁護人が提出する証拠は弁1号証などと分類される。

乙1号証 RN被告人の身上に関する供述調書
乙2号証 RN被告人の活動歴に関する供述調書
乙3号証 RN被告人の4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
乙4号証 RN被告人の共謀関係に関する供述調書
乙5号証 SM氏のビデオの解析結果
乙6号証 RN被告人の心境に関する供述調書

 やりすぎたと反省している。無断で事務所に侵入し、職員に対して怒鳴り、取り囲んだときには興奮状態だった。在特会で保守的な活動は続けていきたいが、過激な活動が続くようなら脱会する。その場合新たな団体を立ち上げることも考えている、などと述べられている。

乙7号証 傷害事件に関する供述調書

 女性の顔に傷をつけたことについて申し訳ない。5万円を女性に対して支払った、などと述べられている。

乙8号証 RN被告人の身上調書
乙9号証 RN被告人の前科前歴に関する調書
乙10号証 RN被告人の前科前歴に関する調書
乙11号証 RN被告人の前科前歴を証する判決書及び略式手続調書
乙12号証 RN被告人の前科前歴を証する判決書及び略式手続調書

乙13号証 EH被告人の身上調書
乙14号証 EH被告人の活動歴に関する供述調書
乙15号証 EH被告人が4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
乙16号証 EH被告人の共謀関係に関する供述調書
乙17号証 SM氏のビデオの解析結果
乙18号証 不明
乙19号証 EH被告人の心境に関する供述調書

 在特会の抗議のやり方は間違っていた。今回の活動についても事務所前でチラシを配ればよかった。被害者だけでなく在特会にも申し訳ないと思っている。在特会の活動はやめたい、などと述べられている。

乙20号証 EH被告人の前科前歴に関する調書

 EH被告人には前科前歴はなかった。

乙21号証 OY被告人の身上調書
乙22号証 OY被告人の活動歴に関する供述調書
乙23号証 OY被告人が4月14日の活動に参加した経緯に関する供述調書
乙24号証 OY被告人の共謀関係に関する供述調書
乙25号証 SM氏のビデオの解析結果
乙26号証 OY被告人の心境に関する供述調書

 徳島県教職員組合に対する活動はやりすぎだった。大人数で事務所内に侵入するやり方はひどいと思う。在特会、チーム関西は歯止めがきかない状態になっており、今回の逮捕は活動を見直すいい機会だと思う。鮮魚店は6月末に退職したが、それは会社に迷惑をかけないためだった。外国人参政権反対運動についてはこれから法を守って活動していきたい、などと述べられている。

乙27号証 不明
乙28号証 OY被告人の前科前歴に関する調書

 OY被告人には前科前歴はなかった。 

2010年11月21日09:47

5 ~世間から隔離しているとしか思えない在日特権を許さない市民の会~


 検察官の甲号証と乙号証の提出に続いて行われた弁護人の弁護は驚くべきものであった。なお、私は公判のメモについては特殊な記録方法を用いているため、弁論のニュアンスや言い回しは完全に無視していることをご了承いただきたい。

裁判長「弁護人の証拠は。」
弁護人「RN被告人の母、EH被告人の父、OY被告人の母の証人尋問を申請する。」
裁判長「検察官の意見は。」
検察官「然るべく。」

 年間50件以上の刑事裁判を傍聴している私はここで大きな違和感を感じた。刑事裁判においては弁護人が書証を提出するのが当然であるが、在日特権を許さない市民の会(在特会)メンバーの今回の裁判についてはまったく書証がなかったからである。弁護人が提出する書証としては通常次のようなものがある。

被告人と被害者の間における示談書
被害者から提出された寛大な刑を求める嘆願書
会社の代表者などが罪を償った後の被告人を雇用して被告人の更生に力を尽くす旨を述べた書面

 これらの書証は、被告人と世間とのつながりを示すものである。被告人らは愛郷心が重要となる保守を名乗っていながら、地域との関わりが何ら存在しないということが弁護人の弁護方針から明らかになった。これは被告人にとって非常に不利である。後述するが、EH被告人は植木屋として勤務してその後退職したが、会社としてはEH被告人の籍はそのまま残していると公判で述べている。しかし、会社の代表取締役が書面でEH被告人の雇用を保障し、EH被告人の指導監督を行うと述べたわけでははなく、代表取締役自身が証人尋問でそう述べたわけでもない。裁判官がこの公判の判決文を起案しようとするならば、EH被告人の雇用先の会社に関する発言は、何ら証拠に基づいたものではないこととなる。判決文を起案する裁判官としてはこの発言はそれなりの取扱いをするしかないということとなる。

 引き続いて証人尋問が行われた。RN被告人に関する証人尋問はRN被告人の母である。

弁護人「あなたはRN被告人の母か。」
母「そうである。」
弁護人「あなたはRN被告人と二人暮しか。」
母「そうである。」
弁護人「あなたはRN被告人と20年以上二人で暮らしてきたのか。」
母「そうである。」
弁護人「あなたは神戸、尼崎、大阪と移り住んできたと聞いたが、間違いないか。」
母「間違いない。」
弁護人「RN被告人が在特会のメンバーであることは知っていたか。」
母「知っていたが、関わりは浅いと思っていた。パソコンで在特会のサイトを確認していた。」
弁護人「RN被告人が抗議街宣に行っていたのは知っていたか。」
母「知っていた。」
弁護人「抗議街宣には行っていたか。」
母「行っていた。」
弁護人「行ってどうだったか。」
母「知った頃はそれほど過激ではなかった。今回はちょっと前からこれはまずいと思い始めた。」
弁護人「RN被告の抗議活動については心配ではなかったか。」
母「心配だった。街宣を見に行ったこともあった。」
弁護人「近所だったのか。」
母「そうだ。」
弁護人「本人には確認したのか。」
母「確認した。RN被告人は過激ではないと言っていた。毅然と悪を暴くとも言っていた。」
弁護人「RN被告人の活動はその程度だと思っていたか。」
母「そうだ。」
弁護人「本人は正しい活動だと言っていたようであるが、水曜デモを見に行ったことがあるのか。」
母「見に行った。」
弁護人「見てどうだったか。」
母「それほど過激ではないと思った。」
弁護人「徳島県教職員組合の事件についてはどうか。」
母「嫌なことをしていると思った。本人もこういうやり方は嫌だと言っていた。なぜこのようなことになったのか非常に情けない。」
弁護人「活動についてRN被告人と相談したことはあるか。」
母「ある。本人は活動が過激になっていくことを諫めたが、女の癖に偉そうに言っているんじゃないよと顰蹙をかったと聞いている。」
弁護人「聞いてくれなかったということか。」
母「そうだ。」
弁護人「今後RN被告人にはどうして欲しいか。」
母「在特会とは縁を切って欲しい。」
弁護人「やめてほしいということか。」
母「そうだ。」
弁護人「今後の活動について本人に対してどう始動するか。」
母「今後は行くなと言う。」
弁護人「傷害事件直後RN被告人から相談があったか。」
母「あった。」
弁護人「警察に行けと言ったのか。」
母「言った。」
弁護人「被害者と示談交渉を行ったか。」
母「行った。被害者は娘とは会いたくないと述べていたので、私が娘の詫びの手紙を持っていった。そこで示談の話もした。」
弁護人「被害者の要求は。」
母「300万円という金額を提示された。」
弁護人「300万円を支払うことはできるのか。」
母「300万円という金額はすぐには支払えないので下げて欲しいと述べた。また、月々できる範囲内で払っていくとも述べた。」
弁護人「治療費についてはどうか。」
母「4万円から5万円と述べていたのですぐに5万円を振り込んだ。」
弁護士「仮に治療費が10万円だと聞いていたらどうか。」
母「払う。」
弁護人「徳島の事件と大阪の事件をみるとRN被告人は感情的になりやすいのではないか。」
母「そう思う。」
弁護人「あなたは今後どうするか。」
母「本人の性格も考えてしっかり注意し監督する。」

 引き続いて検察官が尋問を行った。

検察官「時間で整理しておきたい。徳島の事件が4月、大阪の事件は2月。徳島の事件の前にあなたは大阪の事件を知っていたか。」
母「知っていた。」
検察官「傷害は初めてではないようだが。」
母「男と揉めて傷害事件を起こしたと聞いている。」
検察官「RN被告人は感情を抑えられないところがあり、それが原因で人に手を出すところがあるように見える。あなたはRN被告人をどのように指導していくか。」
母「売り言葉に買い言葉というようなことはするな。自分を抑えるように直せと指導する。」
検察官「4月の事件の前にそのような話をしたことはあるか。」
母「短気なのだから挑発にのるなと述べた。」
検察官「4月の事件についてどう思ったか。」
母「『何故』と思った。」
検察官「RN被告人は自分が正しいと思うと見境ないところがあるように思われる。徳島の事件でもそのように思われるがどうか。」
母「そう思う。」
検察官「大阪の事件で治療費として5万円支払ったとのことであるが、7針縫っており、被害者に傷跡が残っていることは知っていたか。」
母「傷の状態については知らない。被害者に会ったとき『傷を見せて欲しい』と頼んだが拒否されたのでわからない。
検察官「女性の顔の場合傷跡を消すことも必要になるし、後遺症の可能性もある。5万円では足りないと思うが。」
母「5万円で終わらせるつもりはない。」

 最後に裁判官が尋問を行った。

裁判官「大阪の事件で被害者と会ったのはいつか。」
母「暑いときだったので8月くらいだと思う。」
裁判官「5月ころではないのか。5万円の振込みは5月となっている。」
母「そうかもしれない。とにかく暑いときだった。」
裁判官「在特会と縁を切るようRN被告人に伝えたか。」
母「伝えた。」
裁判官「本人はどうだったか。」
母「やめると言っていた。」



2010年11月22日06:26

6 ~EH被告人の父親は活動をどう考えていたか~


 RN被告人の母の次は、EH被告人の父である。

弁護人「あなたはEH被告人の父親か。」
父「そうだ。」
弁護人「EH被告人の母親は。」
父「通訳をしている。」
弁護人「EH被告人が在特会に関心を持っているのをいつ知ったか。」
父「09年暮か10年頭ころ知った。」
弁護人「EH被告人は20歳のときにアメリカに留学してそこで在特会の活動を知ったそうだが、知っていたか。」
父「在特会に興味を持ったと聞いた。」
弁護人「EH被告人はアメリカで見て活動したいと思ったそうだが、帰ってきたときに知っていたか。」
父「インターネットを見ていたのは知っていた。」
弁護人「EH被告人は平成20年9月に沼津や浜松で弁当屋の正社員として勤めていたが、在特会の活動については知っていたか。」
父「やっていないものと思っていた。」
弁護人「EH被告人は平成22年6月に植木屋となったが、仕事ぶりはまじめだったか。」
父「そう聞いている。」
弁護人「当時、在特会の活動がそれまで以上に発展するとは思っていたか。」
父「仕事に一生懸命で忘れたものと思っていた。」
弁護人「4月の事件は直後にわかったのか。」
父「そうだ。」
弁護人「インターネットで見てどうだったか。」
父「行き過ぎだと思い、やめろと言った。」
弁護人「それに対して本人はどう答えたか。」
父「わかったと言った。」
弁護人「行き過ぎを認めたということか。」
父「そうだ。」
弁護人「保釈後EH被告人と話したか。」
父「話した。」
弁護人「本人はその後活動していないが、あなたと何か約束したのか。」
父「活動しないよう約束した。」
弁護人「拘留中には会ったか。」
父「私の考えとして活動をやめてほしいと強く伝えた。」
弁護人「活動しないようどう指導するか。」
父「情報を入手して監督する。個人の人生を大切に生きろ、人生を犠牲にするなと言う。」
弁護人「厳しく指導できるか。」
父「できる。」
弁護人「妻はあなたと同じ考えか。」
父「そうだ。」
弁護人「今後は植木屋に勤めることになるのか。」
父「植木屋については本人も気に入っていたようだ。」
弁護人「退職したと聞いたが。」
父「退職したが、会社が籍を残していると聞いた。」
弁護人「今後は在特会と距離を置いて欲しいのか。」
父「そうだ。」

 検察官の証人尋問はなかった。



目安箱バナー