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尖閣諸島問題の基本文献について 前田朗

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尖閣諸島問題の基本文献について 前田朗



http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-October/005852.html
[CML 005959] 尖閣諸島問題の基本文献について
maeda akira maeda at zokei.ac.jp
2010年 10月 14日 (木) 11:04:40 JST

前田 朗です。

10月14日

以下は、2つのML――[CML]および[pmn-ml]――へのある的確な投稿、及びそれに
対するいく人かのリプライを読んでの私の感想、情報提供です。ほかのMLにも
同報します。

この間、尖閣諸島の領土問題への関心が高まり、井上清の著作に注目が集まって
います。ネット上で中国側は、下記のサイトをもとに議論しているといわれてい
ます。



「尖閣」列島 ――釣魚諸島の史的解明(井上清 初版1972/再刊1996)


日本でも井上支持を唱える学者や市民が多数います。しかし、井上説を根拠にす
るのは危険です。ひたすら井上説を持ち上げている「政治学者」がいますが、ニ
セ学者と言っていいでしょう。少なくとも次の著作を検討する必要があります
(他にもありますが割愛)。

A)井上清『「尖閣」列島――釣魚諸島の史的解明』(第三書館、1996年[現
代評論社、1972年])

B)浦野起央『尖閣諸島・琉球・中国――日中国際関係史分析・資料・文献』増補
版(三和書籍、2005年)

C)村田忠禧『尖閣列島・釣魚島問題をどう見るか――試される二十一世紀に生き
るわれわれの英知』(日本僑報社、2004年)

D)浦野起央、劉甦朝、植栄辺吉『釣魚台群島(尖閣諸島)問題―研究資料匯編』
(刀水書房、2001年)

E)『尖閣研究――高良学術調査団資料集』(上下巻、尖閣諸島文献資料編纂会、
2008年)

F)『尖閣研究――尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告』(尖閣諸島文献資料編纂会)

BやDの登場によって、井上説は過去のものとなったと見られています。また、
昨日の産経新聞では、EとFこそが日本領土論の最大の根拠として取り上げられ
ています。いずれにしても、井上説は過去のものとなっています。井上清の思想
や方法論を知るためには有益でしょうし、学ぶべき点もあるでしょう。しかし、
尖閣諸島の領土問題を論じるための根拠とするには、再検討が必要です。

私はA~Cを入手していますが、ちゃんと読んでいません。D~Fは入手してい
ません。

(いずれにしろ、私は、領土問題にはさして関心がありません。私の関心は、
「領土ナショナリズム」「民族ナショナリズム」がいかに形成されるか、いかに
国際問題を引き起こすかという点です。「非国民入門セミナー」主催者として
は、領土・民族・国民といったイデオロギーとのたたかいいこそ重要です。です
から、今のところ、尖閣諸島の領土問題それ自体について発言する気はありませ
んが、この問題を議論する方たちには、井上本だけを根拠にするような愚は避け
たほうがいいとお知らせしておきたいと思います。)


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