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Ken Kawauchi[uniting-peace][12891] 中国人権情報(2)2010/06/12


河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取られた方は、失礼をお許し下さ
い。転送・転載は自由です。)

香港にある「中国人権派弁護士支援グループ」というNGOが、中国の人権派弁護士・
唐吉田、劉巍に対する行政罰についての声明を発表しています。最近のこの事件の概
要がよく分かるので、以下に訳出させていただきます。なお、中国においては、弁護
士業務証明書のない人間は、法廷に立つことができません。念のため。
上記グループのURLは
 http://www.chrlcg-hk.org/ (中国語)
問題にされている決定書は以下のサイトで見ることができます。
 http://www.bjsf.gov.cn/sy/cxjl/cxjllsgl/201005/t20100507_1279438.html
(中国語)

………………………………………………………………………

北京の弁護士・唐吉田と劉巍の弁護士業務証明書の取り消しは他の人権派弁護士に萎
縮効果をもたらすであろう
                    2010年5月10日
                     中国人権派弁護士支援グループ
                     翻訳 河内謙策

 先週の金曜日、すなわち2010年5月7日、北京市司法局は、そのウェブサイトに2010
年4月30日になされた彼らの決定を発表した。決定の内容は、北京の弁護士・唐吉田
(タン・チーティエン)と劉巍(リョウ・ウェイ)に行政罰を課し、彼らの弁護士業
務証明書を取り消す、というものである。

 上記の決定には、決定を基礎づける様々な種類の「証拠書類」が挙げられている。
しかしながら、それらの書類は、すべてオープンになっていない。証拠書類の詳細が
明らかになっていないので、それらの証拠書類によって決定が正当化されるかどうか
は疑問である。劉によれば、証拠書類の一つは、四川省瀘州市中級人民法院が北京市
司法局に唐と劉の処罰を求めた法的勧告だという。しかし、その法的勧告に書かれて
いることは、実際の法廷の記録と相違しているということである。そうであれば、そ
の勧告は、瀘州市中級人民法院によって申し立てられた告訴状にすぎない。そのよう
な告訴状は主観的なものであり、その信用性は疑わしいものであるから、その告訴状
によって、弁護士の業務証明書を取り消すという決定を基礎づけることはできない。

 証拠の問題はさておき、劉と唐には証拠を吟味するチャンスが与えられなかった。
公開された、公平で、独立した仕組みがないままに、判断は当局の手にゆだねられ、
弁護士に政治的圧力をかけるために利用された。我々は、大陸の弁護士たちが今月、
年度ごとの更新と再登録に直面しているので、2人の弁護士業務証明書の取り消しが
弁護士たちを脅すという萎縮効果をもたらすためになされたのではないか、と懸念し
ている。決定は、弁護士が、法輪功の事件やいわゆる「政治的に敏感な」事件に取り
組んだり、法廷で裁判官に異議を唱えたりした場合には、今回と同様な処罰がなされ
るかも知れないという警告を発したのである。

 今回の決定は、今年の4月22日に開かれた公聴会での2人の弁護士の陳述については
触れていない。決定書は、「4月26日に開催された北京市司法局局長弁公会での集中
討議に基づき」、北京市司法局は2人の弁護士業務証明書を取り消すという決定をし
た、と述べているだけである。しかし、行政的処罰についての公聴会における当事者
の権利についての告知書には、「司法行政機関行政処罰規定」に基づき、処罰対象者
には自己の見解を述べる権利があること、また処罰対象者には公聴会を請求する権利
があると書いてある。たしかに公聴会は行われたが、二人の弁護士の陳述には耳が傾
けられず、考慮もされなかったのである。どうして、決定にいたる過程において二人
の陳述が考慮にも入れられなかったのだろうか。もし、本当に決定が司法局局長弁公
会での討議に基づく決定であるというのなら、公聴会の目的は何であったのであろう
か。決定においては、唐と劉が弁護士法40条8項に違反したことは重大である、とい
うことが強調された。しかし、北京市司法局は、そんな事件を、どうして決定書1頁
で軽く処理することができたのであろうか。決定は、不正義そのもので、弁護士の職
務に対する権利を完全に無視したものである。

本年4月21日の、台北弁護士会人権擁護委員会、中国の弁護士を支援する委員会と
我々との共同声明において、我々は、北京市司法局によってなされた唐と劉に対する
行政罰が政治的動機によるもののように見えるということを指摘した。政治的にはあ
まりやり手がいない事件に挑戦している弁護士をやり玉にあげることによって、中国
の弁護士法、それから中国自身が支持を表明している国連の弁護士の役割についての
基本原則を、踏みにじることになったのである。
二人の弁護士の弁護士業務証明書を取り消すという事件は、海外の弁護士や国際的
NGOをふくむ国際的関心を引き起こしつつある。にもかかわらず、北京市司法局は法
と国際法の基本原則を無視したのである。中国人権派弁護士支援グループは、今一
度、北京市司法局に対し、唐と劉に対してなされた行政罰を直ちに撤回するよう求め
るものである。
                              [以上]

背景:
2009年4月27日に四川省瀘州市において開かれていていた法廷(そこでは邪教組織利
用国家法律実施妨害罪で起訴されていた法輪功信者の事件が審理されていた)におい
て、二人の弁護士が「法廷の秩序を乱し、審理を妨害した」として、北京市司法局が
その弁護士の業務証明書を取り消した。しかし、二人の弁護士によれば、裁判長は10
分以上にわたって彼らの弁論を妨害した、その上、裁判長は、法廷内において傍聴人
に混じってビデオ撮影をすることを禁止するよう要請した弁護士の要求を無視した。
それゆえ、二人の弁護士は、弁論の継続ができないと判断し、彼らの弁論を記録した
文書を提出した後、法廷を退出したのである。

[以下、省略。以上の英文は、http://www.chrlcg-hk.org/?p=531 に掲載されてい
る。]

……………………………
河内謙策
〒112-0012 東京都文京区大塚5-6-15-401 TEL03-5978-3784 FAX03-5978-3706
Email: kenkawauchi@nifty.com


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