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Kensaku Kawauchi[uniting-peace][12178] アジアを考えるための本(18)2010/03/19


 河内謙策と申します。独断的偏見に基づき、私の面白いと思う本を紹介させて
いただいております。(この情報を重複して受け取られた方は、失礼をお許しくださ
い。転送・転載は自由です。)

  • 日高義樹『アメリカの日本潰しが始まった』徳間書店
中国政府指導者は賢明だという日高の見方には賛成できませんが、オバマは大企業と
大労組のカイライだということ、オバマはデマゴーグだということ、オバマの経済政
策は失敗しているということ、トヨタたたきはアメリカの国家戦略だということには
賛成です。日本でオバマを持ち上げた人は、自己反省が必要なのではないでしょう
か。

  • 神余隆博『多極化世界の日本外交戦略』朝日新書
地球温暖化問題やマグロ問題で、マルチ外交が急速に脚光をあびつつあります。著者
は、現役の外交官で、「大国におもねらない」という問題意識も新鮮です。転換しつ
つある国際政治をかいま見ることができます。

  • 西部邁・宮崎正弘『日米安保50年』海竜社
今年は安保闘争50年目なので、歴史を振り返る価値はあるし、歴史を振り返る必要が
ある年です。この本の安保闘争自体の分析は不十分ですが、日本の「右派」が何を考
えてきたかは、良くわかります。それにしても、日本の「左派」は何を考えてきたの
でしょうか。「左派」からの本格的な提起はないまま、50年が過ぎるのでしょうか。

  • 宮崎正弘 内田良平研究会編著『シナ人とは何か 内田良平の『支那観』を読む』展転社
中国問題がむずかしいのは、中国の民衆像を把握するのが難しいことが一因です
(「昔」であれば、中国民衆の革命的エネルギーを信頼しないのか、という一声で解
決したかも知れませんが)。私も、弁護士として、私の中国人・依頼者に振りまわさ
れて、そのことを実感しています。内田良平のシナ民衆観は、彼が「右翼」であるこ
ということでは、単純に切り捨てることができないものを含んでいます。

  • 加地伸行『儒教とは何か』中公新書
  • 安田喜憲『山は市場原理主義と闘っている』東洋経済新報社
アジアの問題を考えるときには、アジアの思想・宗教・文化を避けて通れないはずで
すが、政治や経済と思想・宗教・文化を統一的に把握することの困難性は言うまでも
ありません。加地先生のご本は1990年に出版されていますが名著です。最近読み直し
てみて、加地先生はウェーバーをはるかに超えている、と確信しました。安田先生
は、日本が世界にほこる学者の一人だと思います。今度の本は、安田文明論の到達点
が分かりやすく、しかも情熱をっもって語られています。心から勧めさせていただき
ます。

河内謙策

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