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ザ・コーヴ 太地町長「作品には事実誤認がある」

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ザ・コーヴ 太地町長「作品には事実誤認がある」(1/2ページ)

2010年3月8日21時12分

 和歌山県太地町のイルカ漁を取り上げた米映画「ザ・コーヴ」の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞に、地元や漁関係者からは困惑と反発の声が上がった。同町などは、映画の内容には漁に対する偏見から事実誤認があると主張。すでに今夏の国内配給も決まっているが、公開までには曲折がありそうだ。

 「作品には事実誤認がある。正確な内容でないのに受賞したのは驚きだ」。太地町の三軒一高(さんげん・かずたか)町長は戸惑いを隠さない。国内公開については「常識があるところは取りやめてくれるだろう。町として、イルカ漁の正当性を国内外に主張していきたい」。

 漁業法などに基づき、同町のイルカ漁を許可している和歌山県の仁坂吉伸知事も「長いあいだ太地町で行われてきた生活を守る営みを、一方的な価値観や間違った情報で批判するのは紳士の道に反する」と話した。

 無許可で撮影するクルーと漁師らとの間では、撮影段階からトラブルが起きていた。地元は「処理場を盗撮され、許可してないのに顔を撮影された」と怒りが収まらない。同町などでは、映画での「漁協は害獣駆除のために漁を行う」「水銀汚染を隠すためにイルカの肉を鯨肉として販売している」という指摘も、事実と異なるとしている。

 漁師の男性(65)は「親子連れのイルカを捕る時などはかわいそうだと思いつつ、生活の糧だからやっている。お寺でイルカの供養もしている」とうんざりした様子。祖父が捕鯨船に乗っていたという主婦(35)も「私たちは昔からクジラやイルカを食べてきた。なぜイルカだけ悪く言われるのか分からない。アカデミー賞なんてとんでもないこと」と憤った。

 三原勝利・町議会議長(72)は「偏った価値観を映画にして一方的に押しつけている。アカデミー賞というのは彼らの考えを喧伝(けんでん)するには絶好の舞台で、色んな形で収入が増えることにつながるんじゃないか。我々はこれまでと何も変わらない」と話す。


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2010年3月8日21時12分

 静岡・伊豆半島のイルカ漁の歴史に詳しい東海大海洋学部の新田時也講師は「日本では戦争による食糧難を救ってくれた感謝と畏敬(いけい)の念をもって漁をしてきた歴史があるのに、海外の人にはただの残酷な現実として受け止められているようだ」と指摘。そのうえで「反イルカ漁の声にお墨付きを与えたようなもので、反対の声はますます強くなるだろう」と警戒する。

 同半島の富戸(ふと)(静岡県伊東市)で約30年間イルカ漁の経験がある石井泉さん(61)は今は漁に反対の立場。「イルカを殺して肉を生計の一部とする需要が今あるのか。そういう時代は過ぎ去った。受賞はこれ以上イルカを捕るなというメッセージだ」と語る。

 一方、イルカ漁に反対する「エルザ自然保護の会」(茨城県つくば市)の事務局次長、辺見栄さんは「日本のことが描かれ、しかも批判されているというのに、いまだに配給されず、当の日本人が知らされないということが一番問題だ。上映には地元の強い反対があるが、受賞によって上映に一歩近づいたことは喜ばしいことだと思う」と話した。


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