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集団自決記述:「沖縄戦 本質伝わらず」 評価半面「軍省き」指摘

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集団自決記述:「沖縄戦 本質伝わらず」 評価半面「軍省き」指摘



 来春から使われる小6の社会科教科書で沖縄戦関連の記述が増えることに、研究者や沖縄戦体験者からは評価の声が上がる一方、「集団自決」をめぐる記述に軍関与が触れられていないことについて「沖縄戦の本質が伝わらない」との指摘が相次いだ。小学生という発達段階を踏まえ、限られた授業時間で沖縄戦の実相を次世代に伝えるには今後も、現場の教員たちの工夫が必要だ。

 高嶋伸欣琉球大学名誉教授は「住民を集団自決に追い込んだ主語として、日本軍の記述がないのが気になるが、取り扱う教科書が増えたことは、軍関与の記述回復を訴えてきた市民運動の成果だ」と強調した。その上で「『住民を追い込んだのは誰か』を全国の教師が教えられるよう、今後も沖縄から繰り返し訴え続ける必要がある」と語った。

 山口剛史同大准教授は、記述が増えたことは評価しながらも「住民が戦闘にどう巻き込まれ、犠牲になっていったかは触れられていない。軍の関与を削除させた文科省の検定意見の枠組みの中での表現にとどまっている」と指摘する。「小学生の発達段階は踏まえないといけないが、住民を守るべきはずの日本軍によって多くの住民が生きる選択肢を奪われたという事実が、最も伝えるべき沖縄戦の教訓だ」と強調した。

 座間味島で「集団自決」を体験した宮城恒彦さん(76)=豊見城市=は記述が増えたことを歓迎しながらも「主語を省いてしまっては沖縄戦の本質は伝わらない。教員は教科書をそのまま教えるのではなく、集団自決の実相を教える努力が必要だ」と求めた。

 対馬丸事件については、東京書籍が「戦争の犠牲になった子どもたち」と題し1ページの特集を組み、光村図書出版は全国の「学童疎開」について扱ったページの一部にコーナーを設けた。対馬丸記念会の高良政勝会長は「自分と同じ世代の何の罪もない子どもたちが国策のもとに疎開させられ犠牲になる戦争の悲惨な実態を、全国の子どもたちに知ってもらうきっかけになった」と評価した。

◆「集団自決」(強制集団死)に関する記述

[現行] 【東京書籍】

  沖縄では、住民の多くが戦争に協力しました。アメリカ軍のこうげきで追いつめられた住民の中には、集団で自決するなど、ひさんな事態が生じました

   ↓   ↓

[新]  【東京書籍】

  住民の多くが戦争に巻き込まれ、アメリカ軍の攻撃で追いつめられた住民のなかには、集団で自決するなど、悲惨な事態が生じました

    【教育出版】

  沖縄では、アメリカ軍の攻撃に追いつめられて、多くの住民が集団で死に追いこまれるできごとが起こりました

    【日本文教出版】

  子どもや女性、高齢者の住民までもが戦争に総動員され、戦闘に巻きこまれました。そのため、追いつめられた住民のなかには、集団自決した人も多数いました

(琉球新報)


2010年3月31日


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