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勤労挺身隊訴訟:第2次不二越訴訟 原告6人「真実得られるまで戦う」 /石川

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勤労挺身隊訴訟:第2次不二越訴訟 原告6人「真実得られるまで戦う」 /石川


 「真実が得られるまで、命を尽くして戦う」--。名古屋高裁金沢支部で8日、判決が言い渡された第2次不二越(ふじこし)訴訟。判決では1審・富山地裁よりも詳細に強制連行の実態を認定し、国と機械メーカー「不二越」(本社・富山市)の責任を示したが、個人の請求権を認めていない日韓請求権協定を理由に原告の訴えは再び棄却された。弁護団が判決を「前進」と評価する一方で、来日した原告6人の表情には悔しさと怒りが浮かんだ。【宮嶋梓帆、岩嶋悟】

 ◆怒りの原告

 「請求をいずれも棄却する」。渡辺修明裁判長の声が響いた。原告席の安喜洙(アンヒス)さん(79)ら6人は通訳から内容を聞くと、ぼう然とした表情になった。やがて怒りを抑えきれなくなり、扉の奥へ退廷した裁判官の背中に向かって「逃げるな」と大声を上げた。怒りは失望に変わり、目には涙を浮かべ、「判決を許さない」と裁判長の机を何度もたたいた。

 6人は判決後、金沢市の金沢弁護士会館で記者会見。「本当に失望した」と悔しさをにじませた。

 提訴から7年。この間、4人の仲間が亡くなった。控訴審を闘った仲間のそばには、車椅子が目立つ。13歳で富山に渡った安さんは疲れ切った表情で「勉強できるとだまされて引っ張られ、軍需工場で重労働を強要された。裁判官は自分の胸に手を当てて、良心を感じてほしい」と絞り出すように訴えた。原告を代表して読み上げた声明文では「真実の謝罪と補償が行われるまで、命を賭けて戦う」と誓った。

 ◆弁護団「裁判外での救済も」

 強制連行や強制労働について、判決では原告個人のケースを詳細に挙げ、「労働力不足を解消するための国策だった」など、踏み込んだ認定をした。弁護団事務局長を務める島田広弁護士は「被害を踏みにじることはできないという裁判所の思いが伝わってきた」と評価した。

 判決ではさらに、国賠法施行(47年)以前の損害賠償責任は負わないとする「国家無答責」に基づく国の主張を退けた。1審では触れなかった観点から、弁護団は「国と不二越が重大な責任を負っていることを示した」とした。

 ただ、日韓請求権協定が個人の請求権を認めていないことを理由に1審・富山地裁(07年9月)を支持した今回の判決を「解釈の論理が成り立たず不当だ」と指摘した。

 今後は最高裁に判断を委ねながら、「裁判外での救済を強く訴えていきたい」と救済の道を探る。

 ◇「不当判決だ」 原告ら高裁前で抗議

 「不当判決だ」。一審判決に続き、訴えが認められなかった原告らは、高裁前で抗議した。判決直後、原告らは玄関付近に座り込み「不二越と政府は謝罪せよ」などと書いた横断幕を広げ、「なぜ請求を認めない」などと怒りをあらわにした。

 裁判所から退去を命じられ、職員らが移動するよう促したが、原告らはやり場のない怒りをぶつけるように叫び声を上げて激しく抵抗。最後は警察官が出動し、女性らの腕や足をつかんで正門付近まで移動した。

 原告らは、正門から一歩外へ出た場所で判決に対する抗議集会を再開。集会では「トイレに行くにも監視がつくなど、軍隊式だった」と当時の労働状況を語り、「不二越と日本政府は謝罪しろ」とシュプレヒコールを上げた。【岩嶋悟】

毎日新聞 2010年3月9日 地方版


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