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国立歴史民俗博物館:軍関与の記述、削除のまま16日から一般公開

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国立歴史民俗博物館:軍関与の記述、削除のまま16日から一般公開


 国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の解説文の中から軍の関与を示す記述が削除された件で同館は10日、軍関与を示す記述を削除したまま16日から展示を一般公開することを明らかにした。展示内容に助言する展示プロジェクト委員会の委員からは解説文について「無難な表現を取った」と削除に同調する声がある一方、別の委員からは「軍の関与は沖縄戦の重要なポイントで触れないのは解せない」と疑問の声も出ている。

 複数の委員によると、ことし1月末に示された「最終校正」には「集団自決」の項目が設けられ、背景について「住民への軍国主義教育や、軍人からの指示や命令など、住民の意思決定を左右する戦時下のさまざまな要因があった」と解説されていた。しかし3月に提示された「決定稿」では「集団自決」の項目が「戦場の民間人」と名称変更され、軍の関与を示す文言が削除されていたという。

 同委員会は館外14人と館内6人の研究者ら計20人で構成。2009年9月を最後に会合は開かれておらず、その後は委員の専門分野に応じて個々にやりとりしている。

 中村政則委員(一橋大名誉教授)は「集団自決」について体験者の聞き取り調査などから「隊長命令はあった」と自身の見解を示す一方、「大江・岩波訴訟」が係争中であることに触れ「証拠があるわけではなく『軍人からの指示や命令』と明記すると混乱を招く。無難な表現を取ったのだろう」との見解を示した。

 荒川章二委員(静岡大教授)は「集団自決の発生状況から(軍による)なんらかの強制があったことは明らか。研究者が裁判(への影響を)を気にする必要はない」と断じる。報道によって文言の削除を知ったという荒川委員は「集団自決は大勢の民間人が巻き込まれた沖縄戦を特徴付ける重要なポイント。そこに触れずに沖縄戦の展示を行うことは理解できない」と指摘する。

◆歴博「回答を検討中」

 【千葉】沖縄戦の集団自決(強制集団死)の「現代」常設展で旧日本軍関与の記述を取りやめた問題で、琉球新報は9、10の両日、佐倉市の国立歴史民俗博物館(平川南館長)に取材を申し入れた。同館側は「現在、このことへの回答を提示するため、検討の会議が続いていて対応できない」としている。

 当初予定していた軍関与の記述と、修正後の記述文の提示も求めたが、博物館側は「そのことを含め対応の会議をしているので、提示できない」と答えた。10日中に回答が提示されるのかの問いにも「今日中の回答はできないと思う。微妙な問題なのでまだ何とも言えない。回答ができ次第、連絡したい」と話した。

(琉球新報)


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