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新兵の実像に基地問う 映画「ONE SHOT ONE KILL」

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新兵の実像に基地問う

2010年02月15日



 米海兵隊に入った米国の若者が訓練を経て「兵士」となっていく姿を追ったドキュメンタリー映画「ONE SHOT ONE KILL」が、2月末から全国で順次、公開される。藤本幸久監督(55)は、普天間飛行場移設に揺れる沖縄県名護市を取材中に製作を着想した。「海兵隊の本質を知らずに基地移転や米軍再編は語れないはずだ」と話す。


 映画の舞台は、米国の南東部サウスカロライナ州にある「ブートキャンプ」(新兵訓練所)。撮影許可を受けて、2008年1月から足かけ3カ月間、取材した。


 映画は、海兵隊員志願の若者たちが訓練所に足を踏み入れる場面から始まる。仕事がなかったり、貧しかったり、それぞれに事情を抱える若者たちだ。いきなり上官たちに取り囲まれ、意味もなく浴びせられる怒号。初日から48時間寝ずの生活を強いられる。慣れない手つきでライフルを撃ち、銃剣でタイヤを突き刺す日々。しだいに顔つきが変わってくる――。


 題名の「ONE SHOT ONE KILL」(一撃必殺)は、あらゆる訓練で使われる「かけ声」。卒業を控えた新兵に「戦場で人を殺せるか?」と聞くと、即座に「イエス、サー!」と答えるシーンも。ためらわずに人を殺すことを、若者たちは体で覚えさせられる。


 藤本監督がこの作品を撮ろうと思ったのは05年のこと。名護市辺野古で普天間飛行場移設に反対する住民運動を取材中、近くのキャンプ・シュワブの内外で見かけた海兵隊員の幼い顔つきに違和感を覚えた。英語を満足に話せない移民系の若者が多いのにも驚いた。「彼らの境遇や受けた教育、使命とは何か」を知りたくなった。


 初の上映会は昨年11月、辺野古で開いた。沖縄の本土復帰から間もない1970年代半ば、強盗に押し入った海兵隊員に母親を殺されたという金城武政さん(53)も足を運んだ。「仕事がないために入隊し、短期間で洗脳されて人間性を奪われてしまう。彼らもかわいそうだ」。上映の途中で席を立った女性もいた。戦時下、集団自決を迫られながらも、生き延びた体験をした人だったという。


 藤本監督は「戦場に真っ先に突撃する海兵隊が本当に沖縄に必要なのか、戦争が米国に何をもたらしているかを改めて問いたい」と話す。


 那覇市で1月23日から2月12日までの先行上映を終えた後、2月22日からは、東京を皮切りに、福岡など各都市で順次、試写会や劇場公開を予定している。


 3月25日には、福岡市南区高宮3丁目の福岡市男女共同参画推進センター・アミカスで試写会がある。一般1300円、中高生500円。


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