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【産経抄】2月2日

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【産経抄】2月2日

2010.2.2 03:22


 「日中歴史共同研究委員会」が公表した報告書をめぐって、きのうの各紙は、両国間の「溝の深さ」や「隔たりの大きさ」を伝えていた。歴史認識の違いが鮮明に出るのは、当然ではないか。まして相手は、学問の自由がない独裁国家である。

 ▼むしろ近現代史の部分で、日本側が歩み寄った印象が強いのが気になる。特に「南京事件」については、被害者数「30万人以上」を主張する中国側に対して、「20万人を上限として4万人、2万人」などと、「虐殺」を認めてしまった。最近では、その存在を疑う研究も出ているというのに。

 ▼文化大革命や天安門事件、チベット、ウイグルに対する弾圧など、一番読みたい戦後の部分は、公表されなかった。中国側の都合ばかりを優先した共同研究にもかかわらず、北京総局の伊藤正記者によれば、中国国内では、ネット世代の反発が予想されるという。

 ▼「学校で使われている教科書を読むと、執筆者は憎悪の炎で国粋主義を燃え上がらせ、悲壮感を煽(あお)り立てているような印象を受ける」。満州事変を調査したリットン調査団が、当時の中華民国の反日教育について、こんな報告をしている。

 ▼比較文化史家の平川祐弘さんの近著『書物の声歴史の声』(弦書房)から教わった。中国の「愛国教育」は、天安門事件以後さらに強化された。そのすさまじさが浮き彫りになれば、今回の共同研究の成果のひとつといえるかもしれない。

 ▼歴史共同研究といえば、韓国との間でも行われ、まもなく最終報告書が公表される。韓国側は、日韓併合条約でさえ無効との認識だ。しかも日本側の意向を無視して、日韓共通の教科書作りへの意欲を隠さない。どちらにしても、歴史共同研究の前途は多難である。


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