15年戦争資料 @wiki

10月分総括byとほほ

最終更新:

pipopipo555jp

- view
メンバー限定 登録/ログイン
[1217]Re(2):南京の人口(ラーベ・10月分総括)   
 とほほ   - 05/9/18(日) 23:16 -  


前述したように10月分の日記からは南京の人口等に関する動向をラーベが指摘した記述は見当たりません。ただ、市内の様子としてそれほどのパニック(住民が大挙して南京を脱出する)にはなっていないことは見て取れます。もちろん空爆からの避難は緊急課題でありそのために「富裕層は既に南京を脱出している」とラーベは認識しているようです。この認識は概ね正しいのではないかと私も考えます。

特にラーベの立場からすれば南京在住の外国人の動向についてはかなり正確であったのではないでしょうか?

また、私がなぜラーベの日記を全体的な記述から論証しようとしているのかは「否定論者」の印象操作戦術の一つにラーベに特別な又はある程度の権力者的な印象を与えようとしているからです。現実にはラーベとはジーメンス(富士通の前身であることは有名ですね)と言う一企業の従業員に過ぎず、安全委員会と言うのも中国軍が創設したものでも政府でも市行政府でもなく、国際法上安全が確保されねばならない外国人がその立場を活用して中国民衆の安全を確保しようとしたボランティア活動団体である、と言う認識が正しいと思います。この印象だけでラーベの日記の読み方印象が全く変わってきます。

ですから、例えば小林ヨシノリなどは安全委員会の元に陳情する中国人をまるで役所に訴えに来る工作員のような書き方で印象操作してますが、現実には安全委員会には何の権力もなく、その陳情も行く先のない民衆の苦情のはけ口にしか過ぎないのです。安全委員会に出来る事は外国人である特権を活用して日本軍へ苦情を伝える事だけです。国際法的な地位も権力もありません。つまり市民運動のひとつです。そんなものを日本軍がまともに相手しないと言う現象の説明としてその体質からして十分説得力のある説です。

否定論は「ラーベ」を日本に敵対するナチスの重要人物でありその日記は反日思想に満ちている、と言う印象を与えようとしているわけです。そうした印象操作に乗せられた人は「ラーベの記述を否定できますか?」等と言うトンチンカンな質問をしたりします、誰とはいいません(笑)

こういう質問が出ること自体が「否定論対肯定論」と言う対立図式を刷り込まれている証拠で肯定論のバイブル「ラーベの日記」を否定できまい。位の思考しかしていないのです。資料に対して肯定も否定もありません。資料は歴然としてそこにあるものでありそうした資料群の中から真実を描き出していこう、とするのが科学(歴史学)です。

もう一つこの日記を読むときに我々後世から見た人間が陥りやすい錯誤があります。それは【空爆】というものに対する印象です。戦争だから空爆は仕方ない的な印象を持ちやすい。がしかし無防備都市への無差別空爆と言うのはこの時に世界で始めて日本が行ったのです。ですから世界中の非難を浴びてしまったのです。連合国側がこうした空爆をついに敢行するようになるのはもっとずっとあとのことです。

この辺の印象も正しい歴史認識の下に判断していかないと歴史の判断を見誤ります。
[#148]Re(1):南京渡洋爆撃とパナイ号 を参照のこと。

また、そうした南京空爆の悲惨な状況を伝えた有名なポスターや写真があります。否定論と言うのはそうしたものを嘘だ合成だと、わけのわからん理屈で主張します。この写真も否定論ページには必ずでてくるものです。
画像資料検証板上海南駅で泣き叫ぶ子どもの写真を参照されて否定論の卑怯ぶりをご確認の上、怒りを感じていただければ幸いです。

さて、11月に入りいよいよ日本軍の侵攻が間近に迫ってきました。政府の撤退の動き国民党軍に対するラーベの怒り等を感じ取る事が出来ます、またその中に南京の人口に対するラーベの見解も記されています(見解というより、ラーベが噂やその他から勝手に信じ込んでいる数字と見たほうが正確でラーベ自身そうした数字を主張しているわけでもないです)今後は出来るだけ正確に11月分の日記を転載していきますので皆さんご自身でそれをご確認ください。



目安箱バナー