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相互理解を深める第一歩に

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日中共同歴史研究

2010年02月03日


■相互理解を深める第一歩に

 日中両国の有識者による歴史共同研究委員会は、双方の論文をまとめた報告書を公表した。

 焦点の「南京大虐殺」の犠牲者をめぐって中国側と日本側の見解が一致しないなど、近代を中心に認識の隔たりが目立った。

 また、公表が当初の予定よりも大幅に遅れ、今回中国側の要求で戦後史部分の公表については見送られたことは残念である。

 しかし、これまで日中両国の間でさまざまな対立の原因となった「歴史」の問題で共同研究を行い、初めて報告書が公表できたことは両国の相互理解が進む第一歩と歓迎したい。

■「南京虐殺」で隔たり

 共同研究の実施は2006年に両国で合意した。

 小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝で両国関係が悪化、小泉氏の後任の安倍晋三氏と中国の胡錦濤国家主席が歴史認識で相互理解を深めようと始めたのだ。

 報告書は「近現代史」と「古代・中近世史」についてそれぞれ、中国側、日本側の論文を掲載する両論併記方式だ。

 報告書の序文で、参加した日中の研究者が「率直に意見を交換し、学術的かつ冷静、客観的に討論」して相互理解を進めたと評価している。

 ただ、例えば南京大虐殺の死者数について中国側が「南京軍事法廷の認定では30万人以上」とし、日本側は「日本の研究では20万人を上限として4万人、2万人とさまざまな推計がなされている」と記すなど双方の歴史認識には大きな隔たりがあるのは確かだ。

 とはいえ、報告書序文で「たとえ相手の意見に賛成できなくても、相手がそう考えるのはある程度理解できる」としており、歴史問題で日中がこうした段階に達したことは評価できる。

■基本的な認識を共有

 中国側は同国内では対日歴史問題、日本の侵略戦争の象徴ともいわれる南京大虐殺について詳述しており、「日本軍は捕虜や住民を集団虐殺し、強姦(ごうかん)、略奪を繰り返した」などと記している。

 これについて日中の研究者は「日中戦争は侵略戦争」「中国の非戦闘員にも大きな犠牲を強いた」という基本的認識で一致。日本が中国を侵略し、中国の地で多数の兵士や一般市民を殺傷した点を確認している。

 死者数などに隔たりがあるにしても、双方が基本的な認識を共有できた意義は大きい。

 そこで今回の報告書を両国民に広く読んでもらいたい。日本人は中国側の報告から戦争被害者側の歴史認識を学ぶ必要がある。

 一方、中国の国民には今の日本人の大部分が過去の戦争を反省し、戦争肯定論はごく少数であることを知ってほしい。

 両国には政治体制の違いなど乗り越えるべき課題も多い。だが、これを機に特に若者同士が相互理解を深め、将来の良好な日中関係づくりを進めてもらいたい。


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