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「普天間」県内を拒否 県民大会で民意発信

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「普天間」県内を拒否 県民大会で民意発信

2009年11月9日

 米軍普天間飛行場の県内移設に反対する県民意思を示す「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」(同実行委員会主催)が8日午後2時すぎから、宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれ、普天間飛行場の一日も早い閉鎖と県内移設反対、辺野古への現行移設計画の撤回を求める大会決議と大会スローガンを採択した。一般市民や団体、労組など2万1千人(主催者発表)が参加した。決議は「民主党中心の新政権に代わった今、あらためて新基地建設ノーの県民の意思を明確に伝える」と述べ、オバマ米大統領との首脳会談を控えた鳩山由紀夫首相に対し、県民の民意に基づく対等な日米交渉を促した。

 大会スローガンには(1)世界で最も危険な普天間基地の即時閉鎖・返還(2)国の責任による返還跡地の環境浄化、経済対策(3)返還に伴う地権者補償、基地従業員の雇用確保(4)日米地位協定の改定―の4項目を掲げた。

 10、11日に5人の共同代表や野党県議らが大会決議を携えて上京し、内閣官房、外務省、防衛省、内閣府沖縄担当部局、在日米大使館へ要請行動を行う。

 主催者あいさつした伊波洋一宜野湾市長は「県民の多数が県内移設に反対してきた。これ以上の基地が要らないことをオバマ大統領に伝えてほしい。そこから未来志向の新しい日米関係をつくることができる」と述べた。超党派の立場で参加した翁長雄志那覇市長は「手法は違えども基地の整理・縮小で一つになれる。県外移設に言及した鳩山政権は、これ以上沖縄の人々を対立させないでもらいたい」と意見表明した。

 地域住民を代表して、宜野湾市に住む屋良千枝美さんが、普天間飛行場の即時閉鎖を要求。名護市から駆け付けた渡具知武清さん一家は、1997年の名護市民投票でも辺野古移設反対の市民意思が示されていることを指摘し、「大浦湾の自然を子どもたちに残していきたい」と訴えた。

 渉外知事会として仲井真弘多知事と共に米国を訪問中の松沢成文神奈川県知事が、辺野古移設の実施を求めた6日の発言について、共同代表の玉城義和県議は「渉外知事会は基地被害を減らすことを考える組織であり、県民の気持ちを踏みにじる行為は許せない」と厳しく批判。実行委から県民大会として、松沢知事への抗議を行うことが緊急提起され、承認された。

<解説>安保の不公平感頂点に

 2万人余を集めた「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」は、普天間移設問題で方針が定まらない鳩山政権に対し、辺野古移設計画の撤回を突き付けた。政府が「県内移設やむなし」の結論を出すことになれば、沖縄にばかり基地負担を強いる日米安保の在り方に、県民の抱える不公平感はさらに高まる。

 8月の衆院選で民主党は同飛行場の県外・国外移設を約束し、沖縄の四つの選挙区では辺野古移設反対の野党候補が当選した。今回の県民大会は、普天間の県内移設をめぐり、県民を分断してきた状況を終わらせたいという、政権交代への期待も込められている。

 だが、岡田克也外相は「県外移設は考えられない状況だ」として嘉手納統合案を検討する考えを表明。北沢俊美防衛相も「日米合意は(民主党の)選挙公約を満たしていないと認識するのは間違いだ」として現行案の容認を示唆する。

 県外受け入れの可能性を検討したのか、なぜ県内しか選択肢がないのか、県民に納得のいく十分な説明はない。むしろ、閣僚ごとの不統一で日替わりの発言によって、県内には混乱が広がり、新政権への不信感が増幅している。「県外移設がベスト」としながら、県内移設を選択肢として容認する仲井真弘多知事も、県内移設反対の県民要求の高まりに、ますます苦しい立場へと追い込まれる。自民党県連も名護市長選など今後の選挙への影響を警戒する。

 知事や自民は「政府の方が一刻も早く方針を示すべきだ」としているが、今後も鳩山政権が結論を先送りする状況が続くなら、新たな対応を検討する可能性もある。(与那嶺松一郎)


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