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基地の連鎖断つ 県内移設反対県民大会

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2009年11月09日 社会

基地の連鎖断つ 県内移設反対県民大会


 県民の声を一つに―。8日の県民大会で会場からあふれ出た参加者は、身動き一つせず登壇者の言葉に耳を傾けた。登壇者の「沖縄に何度踏み絵を踏ませるのか」「県民はもうこれ以上の新基地はいらない」という発言に、参加者は大きな拍手、「そうだ」という掛け声、指笛で応え、会場は一体になった。戦後64年にわたって続く基地負担に対する県民の怒りは頂点に達し、県内移設反対の揺るぎない意思を新政権に突きつけた。

渡具知さん
首相に「約束守って」
家族訴え 手を携え

 「13年前、やっと子どもをさずかった直後のことでした。この子のために、基地ではなく自然を残したいと始めました」。名護市瀬嵩に住む渡具知武清さん(52)が壇上で声を震わせると、会場は静まりかえった。

 渡具知さんの住む同市東海岸で米軍普天間飛行場の移設計画が浮上したのは1996年。それまで基地問題に関心のなかった渡具知さんは、妻の智佳子さん(47)と反対運動を始めた。測量士の武清さんは仕事先を失うかもしれないという不安もあったが、子どもたちのために気持ちを奮い立たせた。移設の賛否を問う翌97年の市民投票前には、生まれたばかりの長男の武龍君を抱いて夫婦で街頭に出て訴えた。

 その武龍君は今年12歳になり、武清さんと並んで壇上に立った。両親らが身を投じた市民投票で反対が上回った経緯に触れ、鳩山由紀夫首相に「約束は必ず守ってください。海を、未来を壊さないでください」と声を張り上げた。両親に対しては、「最初は(反対運動に一緒に)行くのが、いやだったけど、将来のことを考えてやってくれていることに今は感謝している」と礼を述べた。

 双子の妹の和紀(かずき)ちゃん、和奏(わかな)ちゃん=いずれも(7)=は壇上で「大浦湾を守れ!」との横断幕を掲げた。「ジュゴン大好き、がんばりましょう。エイエイオー」とかわいらしい声を上げると、会場は沸いた。

 渡具知さん家族は6年前から毎週土曜日の夕方、辺野古のキャンプ・シュワブのゲート前でろうそくをともして平和を訴える「ピースキャンドル」を続ける。「一人じゃできない。みんなの力で基地をなくしたい」。大会後、武清さんは目に涙を浮かべ、ぐっと長男を引き寄せた。


辺野古から
「移設予定地」返上へ意気

 「辺野古の浜で大きなお祝いをしよう」。名護市辺野古で新基地建設反対運動を続ける嘉陽宗義さん(87)は、移設問題で翻弄(ほんろう)され続ける地元が“解放”される日を願い、最前列で声を張り上げた。

 基地建設反対派と推進派で二分される地元。かっては貧しくてもお互いに助け合っていた。「おじいは後輩に『いい』『悪い』を教えるのが仕事。貧しくても平和で人間らしく生きるのがいい」。同市瀬嵩の渡具知武龍君が壇上で反基地を訴えると、目頭を押さえた。会場を見渡し「沖縄の決意を表せた」と安堵(あんど)した。

 毎週座り込みに参加する同区の女性(75)は「戦争でとても苦労した。子どもたちには基地や戦争のない平和でいい沖縄を残したい」と静かに語った。

 同市の男性(63)は「地元では絶対に反対と言えない」。だが、民意がまた裏切られるのではという危機感に背中を押された。「沖縄の観光資源は美しい海。それを埋め立て軍事基地を造るなんて言語道断。県民は反対の意思を示さなければ」。押し殺してきた言葉が次々とあふれた。


嘉手納から
「負担これ以上 引き継げない」

 「静かな夜を返せ、が願い。これ以上の負担を引き継ぐことはできない」。伊波惟真(のぶまさ)さん(73)=嘉手納町=は新旧嘉手納爆音訴訟で原告として騒音被害を訴えてきた。辺野古移設、嘉手納統合案と揺れる閣僚発言に怒りを持って会場に足を運んだ。

 地元での日常的な爆音被害は、戦闘機F22Aラプターなど外来機飛来でますますひどくなっていると感じる。幼かった息子がおびえていたように、今は3歳の孫が爆音におびえ、耳をふさぐ姿に胸を痛める。

 住宅地上空を米軍機やヘリが飛び交い、爆音に悩まされるのは普天間も嘉手納も同じ。嘉手納統合案に対し、「まさかまたこの議論が出てくるとは。新政権に大きな期待はなかったとはいえ、爆音を知らない人ごとの発想だ」。岡田克也外相の発言を批判する。

 「統合案は論外、沖縄に新しい基地はいらない」

 今月17、18日に予定される原告団の外務省や防衛省、国会議員への要請に参加し、嘉手納統合案と県内移設への反対を伝える。


普天間から
「即時閉鎖すべきだ」

 「新基地を造れば、地域住民が普天間と同じように苦しむ」。普天間爆音訴訟団事務局長の高橋年男さん(56)は「新基地建設に加担したくない。普天間は即時閉鎖すべきだ」と強調した。

 自宅上空を米軍機が飛行するのは日常茶飯事で、騒音規制措置で飛行が制限されている午後10時以降にもヘリは飛ぶ。「基地を提供すれば米軍は自分勝手に運用する」。米軍が約束を守らないのは実感している。

 1995年の県民大会には「子を持つ親として許せなかった」と、1歳の次男を連れ、参加した。それから14年。ヘリが墜落しても、子どもや女性が犠牲になる事件事故が繰り返さても、基地が押しつけられた現状は変わらない。「今が正念場。沖縄の声を新政権に届けるためにも、今こそ県民も真剣に考え、声をあげる必要がある」と訴えた。


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