15年戦争資料 @wiki

rabe11月10日

最終更新:

pipopipo555jp

- view
メンバー限定 登録/ログイン

十一月十日

爆撃機が九機ほど、上空を飛びかっている。中国側は猛烈に砲撃しているが、当たらない。

高射砲弾のかけらがすきまなく降ってくる。近所の屋根がガタガタ音をたて始めたので、リーべを除く全員を防空壕へ避難させた。リーべは校門のところで私のツァイス製の望遠鏡で上空を観察中。爆撃を無事にやりすごせると、いつもほっとする。うまい具合に避難させるのは難しくなるいっぼうだ。運良くいままで無事だったせいか、みな、気がゆるんでしまった。折に触れて雷を落とさないことには、危険を感じなくなっている。ところで、うちの防空壕は地下水ですっかりふやけてしまった。地下水をさえぎるのは大仕事だ。何時間も汲み出さなければならない。

上海から戻ってきたわが国の軍事顧問の話では、前線のうしろでは、軽症を負った中国人の兵士たちがうろついているという。もう統制がとれなくなっているのだろう。そのため、夜はもはやモーゼル拳銃なしには旅はできないそうだ。


目安箱バナー