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永山英樹氏の"つっこみ"は的を射ているか(上)

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【資料】永山英樹氏の"つっこみ"は的を射ているか(上)
永山英樹氏の"つっこみ"は的を射ているか(下)

岡田充さんの論文に、永山英樹氏の"つっこみ"を挿入しました。
岡田充さんの論文:
海峡両岸論 第4号 2009.5.10発行 by 岡田 充
NHK叩きは馬批判の代償行為 「親日幻想」捨てない人たち
http://www.21ccs.jp/ryougan_okada/ryougan_04.html
永山英樹氏の"つっこみ":
台湾は日本の生命線!
「NHK叩き」批判の元共同通信台北支局長を批判する(上)―我々の「志」はもう少し高い
2009/07/18/Sat
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-823.html

海峡両岸論 第4号 2009.5.10発行 by 岡田 充

NHK叩きは馬批判の代償行為 「親日幻想」捨てない人たち(上)

★アンダーラインは、永山英樹氏が批判のために引用せずスルーした記述です

目次

(永山) 「21世紀中国総研」と言うサイトは「中国研究者とその研究成果を利用する人の為のバーチャル・センター」だそうだが、そこに台湾問題を扱う「岡田充の海峡両岸論」と言うページがある。

(永山) 岡田氏とは共同通信台北支局の元支局長。その第四号(五月十日)の論文タイトルは「NHK叩きは馬批判の代償行為 「親日幻想」捨てない人たち」。我々の「NHK叩き」を叩くものだ。その書き出しは、  

 やはり素通りするわけにはいかない。NHKテレビが放送した日本の台湾植民地支配に関するドキュメンタリー番組に、在日台湾人団体などが「偏向番組」と攻撃している問題である。番組は、NHK総合テレビの番組「シリーズJAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』」。4月5日に放送されてから1ヶ月以上たつが、NHKに街宣車で乗り付けディレクター解任を要求するまでエスカレートし、自民党の中山成彬元文部科学相が会長を務める議員連盟も、NHK会長あてに抗議文と質問状を出し圧力を掛けた。

(永山) 「街宣車」と言えば、右翼団体の街宣車を思い浮かべるが、これには記憶がない。デモ行進では拡声器を積んだ誘導車輌が出動したが、この記事が書かれた時点で行進はまだ行われていなかった。

  • (引用者注)「街宣車」は「街頭宣伝車」。チャンネル桜主催の第1回「国民運動」は5月16日だが、NHKに対する「街宣車先導デモ」は4月から行われていた。永山氏が知らないはずはない。http://www.youtube.com/watch?v=ht57kzPJV7E   

 論争に油を注ぐ気はないし、無視したいのが本音だ。しかし、日台関係になると決まって「親日」「反日」という不毛な二元論に、議論は空回りする。我々の思考を覆う二元論から解放されねばならない。

新政権に喪失感


 番組を「超偏向」と批判した「週刊新潮」(4月23日号)によると、その内容はおおよそ次のようなものだ。

テーマは、50年に及んだ日本の「台湾統治」だった。明治28年、日清戦争に勝利した日本は、台湾を割譲された。この番組によれば、植民地を持つことで世界の“一等国”入りを目指した日本は、抵抗勢力を武力で押さえつけ、台湾の先住民族を博覧会に“展示”して統治の成功を世界に示し、さらに「格差と同化」という矛盾する統治で「差別」を生みながら、「改姓名」などの皇民化運動で台湾人から民族性を奪っていった・・・・・・この番組は、日本の台湾統治の“極悪非道”ぶりを徹底的に描き出すのだ。

 番組を批判する側は「台湾統治の負の側面のみを取り上げた」ⅰ「日本と台湾との絆を分断し、中国による台湾併?を実現」すると指摘する。批判する側も、台湾統治に負の側面があったことを認めているのに、なぜこうも大声で騒ぎ立てるのか。その背景を探るのが本論の目的である。

(永山)そこで岡田氏がどのように「その背景を探るのか」だが、要するに我々が、馬英九政権の発足により「『親日政権』を失った喪失感」に駆られて「騒ぎ立て」ていると言いたいらしい。  

 まず挙げねばならないのは、李登輝・陳水扁の「非中国化」を目指す政権に代わって、中国との関係改善と協調を主張する馬英九政権が登場したことである。台湾の旧政権と日本の保守勢力は冷戦終結後、強大化する中国を「仮想敵」に、日台協力を戦略的な地位に高めようと努力してきた。それはある程度奏功した。

 今回の騒ぎで、日本の李登輝ファンが作る「日本李登輝友の会」の岡崎久彦、中西輝政らが、NHKへの抗議文の冒頭「私どもは台湾を『日本の生命線』と位置づけ」と書いていることをみても、日台関係を戦略関係と考えていることは明白だ。そしてその関係を支える精神的支柱が、台湾の「親日幻想」である。

(永山)ここで言う「親日幻想」だが、これは蛇足だと思う。この文章によれば「親日幻想」とは、台湾人は「無条件で日本を愛してくれる」との幻想を指すようだが、岡崎氏、中西氏をはじめとする日本李登輝の会の中枢部に、そうした甘っちょろい認識は微塵も抱かれていない、とその一員である私ははっきり断言できる。  

  • (引用者注)甘っちょろい認識をもっているのは、産経新聞特別論説委員の古森義久氏のような支持者だけなのだろうか? 「親日幻想」のお神輿、蔡焜燦さんを担ぐ。http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1132286/

 経済至上主義の下で、「世界の一流国」入りを果たした日本は、冷戦終結後「失われた20年」に入る。新しい国家目標を設定する上で手っ取り早いのは、戦前の日本のアジア侵略と植民地政策を正当化し、それを基礎に疑似ナショナリズムを構築することである。「新しい歴史教科書を作る会」が1990年代初めから勢いを増し、侵略戦争に対する反省を「自虐史観」と糾弾したことと平仄が合うであろう。

 中国、韓国をはじめ多くのアジア諸国が、日本の侵略を繰り返し非難するのに対し、李登輝は日本統治時代の教育、インフラ建設を肯定的に評価し、武士道精神や道徳を「日本精神」として持ち上げる。金美齢、小林よしのり、櫻井よしこら日本側がこれに呼応し、2000年以降8年間続く陳政権時代に「親日台湾」と連携を強めた。

 「新国家主義者」といってもよい彼らにとって、台湾統治への肯定的評価は、「ナショナリズム」構築の必要条件であった。金、桜井らは08年総統選に向けて、国民党政権が誕生すれば、台湾は中国と統一すると警鐘を鳴らし、「台湾は日本の生命線」と、戦前同様の植民地主義をふりかざす。「日本が侵略国家だったというのは正に濡れ衣」と主張してはばからない田母神俊雄・元航空幕僚長も同様の論理だ。

(永山)李登輝氏らの「台湾統治への評価」が、日本人の「『ナショナリズム』の構築」、つまり日本人の自信と誇りの回復に効果を発揮するのは事実だし、それを望んでいる者が大勢いるのも事実である。 

(永山)だがその「評価」が捏造された歴史観に基づくものであるならともかく、もしそうでなければ何の問題もあるまい。岡田氏は、「評価」内容は不正確だと言いたいのだろうか。ここが重要なのだが、岡田氏はなぜかそれには深入りしない。 

(永山)たしかに歴史捏造の宣伝によって日本人から自信と誇りを奪おうと考える中国政府や「JAPANデビュー」が、それを問題視するのはわかるが、もしや岡田氏も同じ観点に立っているのだろうか。 岡田氏は、金氏、櫻井氏らが「国民党政権が誕生すれば、台湾は中国と統一すると警鐘を鳴ら」したことの、いったいどこが問題だと言うのだろうか。「警鐘」と言うのが気に食わないのだとしたら、岡田氏は中国政府の台湾併呑を支持しているのだろうか。

  • (引用者注)相手が評価に深入りしないならば、永山さんにはご自分の見解を述べる絶好のチャンスであるはずなのだが、 なぜか早漏ぎみに岡田さんへの「眉中レッテル貼り」に邁進、討論に勝つチャンスを逃したようだ。

(永山) 「『台湾は日本の生命線』と、戦前同様の植民地主義をふりかざす」とも言うが、中国の軍事的脅威の前で台湾が「生命線」であることは誰も否定できない現実。岡田氏は、拡大一方の中国の現実的脅威の存在を否定するのだろうか。そしてそもそも、いったい何が「植民地主義」だと言うのか。

  • (引用者注)永山さんは、『満州は日本の生命線』という昔の標語になぞらえて『台湾は日本の生命線』と言う言葉を使っています。(永山ブログのプロフィール)「「かつて日本人は生命線・満蒙防衛のために血を流した。その民族の気概を取り戻せ!」と。全国国民及び台湾人の奮起を待つ」。

    岡田氏の文章の、「経済至上主義の下で・・・」「中国、韓国をはじめ多くのアジア諸国が・・・」「「新国家主義者」といってもよい彼らにとって・・・」この3つの段落を読めば、岡田さんが指す「植民地主義」の中身は分かりますよ。

(永山) 「日本は台湾独立派を支援し、再びそこを殖民地にしようとしている」と言うのが、中国側の日本軍国主義者批判の荒唐無稽の決まり文句だが、岡田氏の理屈はまさにそのもの。これは驚くべきである。

  • (引用者注)「日本は台湾独立派を支援し、再びそこを殖民地にしようとしている」・・・そんな「決り文句」は聞いたことがありませんよ。

(永山) そして、こうしたことが「日本が侵略国家だった」ことを否定する田母神氏と「同様の論理」だとするが、これはいかなる理屈か。「同様」と言えば、たしかに中国が好まないという点で「同様」ではあるが、岡田氏は中国の意向を物事の判断基準においているようだ。 

  • (引用者注)論証抜きに「中国の意向を」とか、必ずそうしたレッテルに持っていきますね(笑)。永山さんが組織したNHKでも似田母神さんの応援を頼んだ事実。

(永山) このように、まるで中国と言う独裁膨張国家にシンパシーを懐いているかに見える岡田氏だが、ここでいよいよNHKに対して「騒ぎ立てる」人々の「背景」について論じ始める。 

 馬英九が当選した翌日、日本に戻る金美齢は桃園空港で台湾のテレビ記者に「馬英九に投票した750万は台湾人ではない」と捨てぜりふを吐いたのは印象的だった。彼女は「親中国で外省人の馬を当選させたのは、真の台湾人ではない」と言いたかったのであろう。「親日政権」を失った喪失感が見えるようだ


孤立のジレンマ


 馬政権誕生を望まない彼らの中で、比較的現実的な対応に転換したのは岡崎だった。外務官僚だっただけに転身も早い。岡崎は馬英九の就任演説に関する文章の中で「過去の経緯が積み重なった複雑微妙な諸問題について、かなり明快に自己の見解を表明すると同時に、誰にも過大な警戒心や期待感を持たせない、なかなか出来の良い演説である」と評価した。さらに、民進党は日本が国民党と親しくなることには釈然としないかもしれないが「日本と台湾との関係が緊密になることは、台湾にとっての利益」と述べ、馬政権と前向きの関係をつくる姿勢を明らかにするのである。ⅱ

 しかしこうした見方を、彼らが共有したわけではなく、馬評価をめぐる混乱は続く。

 米国をはじめ国際社会は、両岸対話が回復し台湾海峡の政治的緊張が緩和されたことを歓迎したから、馬政権を「親中・反日」と切り捨てれば、孤立のジレンマに陥る。

 「対立する両岸関係」という前提で、日台関係を重視していた彼は、両岸関係の好転と安定という新しいパラダイムに対応できず、とまどうばかりだった。

 馬はことしを「日台交流促進年」と位置づけ、対日重視の姿勢をことさら強調し、「反日攻撃」をかわそうとした。追い詰められた彼らが番組を「親中反日」と叩いたのは、新政権誕生以来味わってきた喪失感を埋める格好の標的だったからだ。NHK叩きは、馬批判ができない彼らの代償行為ではないか。

(永山) 考えすぎ、疑いすぎだ。 

(永山) 私もそのうちの一人だからはっきり言えるが、日本李登輝友の会会員など、NHK抗議運動の中心を担う人々の間で、「米国をはじめ国際社会が歓迎する」との理由から、「両岸関係の好転と安定という新しいパラダイムに対応でき」なくなったため、「とまどうばかり」、そして「孤立のジレンマに陥」ったと言う者は一人としていない。

  • (引用者注)「とまどい」といわず「いらだち」といえばいいのか(笑)

(永山) と言うより、従来国際社会が対中関係の配慮で台湾の苦境に冷淡ななか、我々の「とまどい」感、「孤立」感は早くから持たれてきた。何も馬政権の発足でそれが持たれた、あるいは深められたと言うことはないのである。

  • {(引用者注)昨年の総統選挙のときに、永山さんのグループと林建良さんのグループが共同して「馬英九政権ができたら日台関係はおわりだ」と、ヒステリックに東京でデモをしたと記憶するのだが。

(永山) 言い方を変えれば我々は、「孤立」感を懐いているからこそ、日台関係の強化の訴えを盛んに行ってきたわけだ。従って、残念ながら岡田氏の想像はまったく正しくない。

  • (引用者注)「孤立」感を懐いているからこそ・・・岡田氏の指摘は全く正しい!

(永山) 「追い詰められた彼らが番組を『親中反日』と叩いたのは、新政権誕生以来味わってきた喪失感を埋める格好の標的だったからだ」と断じるが、我々に「追い詰められた」との実感はないと言うのが偽らざるところ。そしてさらに重要なのは、我々は「喪失感を埋める」ためなどにNHKを非難しているのではないと言うことだ。だいたい「喪失感」があろうがとなかろうが、我々はNHK批判を行っている。

  • (引用者注)永山さんは、馬英九政権への評価、態度をここで示さずに言い訳がましくいうのは何故だろうか? 馬英九政権への行動を明確にし難いところにNHK問題が起き、NHK糾弾の大衆運動から馬英九政権反対の行動の手がかりを得たい、というのがホンネではないか、という岡田さんの推測が当っているのではないか。

(永山) 我々の抗議運動は、中国の歴史問題や台湾問題、その他における中国の政治宣伝に対し、長年にわたって加担してきたNHKの反日姿勢があってこそのものなのだ。とにかくあの反日番組の歴史歪曲、印象操作はあまりにも度が過ぎた。そしてだからこそ、そうしたものへの怒り、危機感を募らせてきた全国大勢の人々も、たとえ台湾に対する知識はなくても、この運動に参加するに至ったのである。





ⅰ メルマガ「台湾の声」(09年4月6日「偏向番組で日台分断を図る)
http://www.emaga.com/bn/bn.cgi?3407
ⅱ 岡崎研究所「台湾新政権と外交打開の予感」(2008年7月7日)
http://www.okazaki-inst.jp/official/okazaki-inst/2008/07/post-9.html
ⅲ 「台湾人7割「日本に親しみ」(2009年4月26日 asahi.com)
http://www.asahi.com/international/update/0425/TKY200904250184.html
ⅳ 水谷尚子「胡錦濤より『色男』で『反日』の馬英九」(「諸君」2005年3月号)
ⅴ 岡田充「中国と台湾 対立と共存の両岸関係」(2003年 講談社現代新書)112頁
ⅵ メルマガ「台湾の声」(4月9日「証言の断片のみ放映」)
http://www.emaga.com/bn/bn.cgi?3407


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