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【正論】伊原吉之助 台湾は世界安定の要衝である

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【正論】伊原吉之助 台湾は世界安定の要衝である

2009/06/26 10:02更新

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≪中国による併呑への道?≫

 台湾に親中政権が登場して1年経った。台湾に於(お)ける民主進歩党から中国国民党への政権交代は、現状維持から現状打破への方針転換を意味する。

 台湾の命運を握る米国は台湾につれない。2003年12月、ワシントンを訪れた温家宝中国首相を前にブッシュ大統領は「台独(立)反対」「台湾海峡の現状を一方的に変えたがっている台湾の指導者に反対」と言明した。

記事本文の続き だが民進党と陳水扁総統は明かに現状維持勢力だった。民進党を「独立志向」と形容する日本の新聞は誤解を散布するもの。04年5月の第二期総統就任式で陳総統は、中華民国憲法の下で総統に選ばれたからと民進党の緑の党旗を封じ、中華民国の青天白日満地紅旗の赤一色で式場を埋めた。

 その第二期陳水扁政権は、国共両党の緊密な協力と米国ブッシュ政権の後押しで激烈な民進党叩(たた)きに遭って政権を明け渡した。

 かくて国民党の馬英九政権が発足して1年、その中国接近策により、台湾は併呑への現状打破路線を突進しているように見える。

 米国は、現状打破がお好きなようだ。例えば、インドとパキスタンの核ばかりか、北朝鮮の核武装まで認め、1968年の核兵器不拡散条約を有名無実化した。

 台湾海峡では、国共による陳水扁挟撃に台湾民衆がうまうま乗せられ、台湾人を蔑視(べっし)する在台中国人政権を台湾の有権者が圧勝させたのを「民主主義の成果」と祝福してみせた。

 「終極統一」を掲げる馬英九政権が登場後、台湾はさながら「一国両制」を受入れた香港の後を辿(たど)っている感がある。対中投資制限の大幅緩和、船舶と航空機の直航実現、中国学歴の承認と中国人留学生受入れ、中国人観光客受入れ、中国資本の誘致、銀行の相互設置から軍縮まで。

 胡錦濤総書記はすり寄る台湾を愛でて、家電や液晶パネルなど台湾産品を1兆円買付ける「購買団」を次々派遣している。


≪米国は現状維持嫌うのか≫

 国共メディアの標的になって下野した民進党は弱小化し、政権交代を迫る勢いがないまま、国民党批判の声を細々と挙げるだけ。

 胡錦濤総書記は、引退する12年秋の党大会までに台湾を併合したがっているらしい。

 台湾が中国に併呑されるのは時間の問題なのだろうか?

 台湾は日本列島の南に連なり、日本の安全保障上の要の地位にある。いや、日本ばかりか、東アジア地域の、ひいては世界の安定の要衝である。台湾が中国の勢力範囲に入ると、沖縄↓日本列島が将棋倒しになり、世界の安定が揺らぐ。だから台湾が日米安保の有事の対象になるのである。

 だが米国は今のところ、東アジアでは中国を日本より重視していて、台湾を守る姿勢が弱い。

 そこで、台湾を守る主役は日本となる。台湾は、日本のためにも、他の自由民主国のためにも、断乎(だんこ)守らねばならぬ要衝なのだ。

 4月28日、日華平和条約締結57周年記念日に馬総統曰(いわ)く、「この条約で日本は台湾の主権を中華民国に移転した」と。

 5月1日、日本の外交代表齋藤正樹交流協会台北事務所長が嘉義の中正大学で講演し、馬総統の主権移転論は間違い、日本は台湾の主権を放棄しただけだから、台湾の国際的地位は未定だと語った。


≪日本の貢献が求められる≫

 台湾外交部の抗議に齋藤代表は「個人的見解」と引いてみせたが、台湾地位未定論は日本だけでなく、米国を含む国際社会の共通理解である。1971年10月の国連安保理の交代以来、中華民国とは国家ではなく亡命政権というのが国際社会の常識だから、中華民国を称している限り、台湾は中国による併呑の運命を免れない。

 にも拘らず、台湾が今まで併呑を免れたのは、朝鮮戦争以来、米国が保護してきたからだ。朝鮮で戦った米軍が、朝鮮半島と台湾は日本列島と太平洋を大陸勢力の圧政から守る要衝と悟ったからである。だからマッカーサーは「日本の戦争は自衛戦争だった」と米議会で証言したのである。

 昨年9月2日、中共中央軍事委員会拡大会議が空母建造計画「九九八五工程」を決め、今年、要人や軍人が空母建造計画を漏らした。米軍人が中国軍人に質したところ、「空母を持てば第二列島線を突破できる」と答えた。小笠原諸島-グアム-ニューギニア線の先はハワイである。中国はキーティング大将に告げた通り、「ハワイで太平洋を二分し、米国と分割管理する」つもりらしい。

 これを阻止しないと、台湾ばかりか日本も共産党独裁国の勢力圏に吸収され、軍長老の遅浩田氏がいう「日本人皆殺し」に直面する。日本は断乎撥ね除けるしかないのだ。但し、その前に国内整備が不可欠だ。占領後、「独立」した筈(はず)なのに、日本防衛を放置して顧みず、議員を飯の種としか考えぬ卑小な利権政治屋集団を綺麗(きれい)さっぱり淘汰し、国策を考え、国防を充実する真の政治家を選出するのが先決である。(いはら きちのすけ=帝塚山大学名誉教授)


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