十月二十一日九時十五分
車で発電所へ向かうとちゅう、空襲警報が鳴った。命からがら家に帰ると、みなすごく興奮している。ドイツ語ができる上海商業儲蓄銀行の職員が、上海から南京へ向かう道に日本軍がガス爆弾を落としたという知らせを受け取ったのだ。どうしよう。われわれはガスマスクなんか持っていない。ガーゼで作ったそまつなやつだけだ。まてよ、こんなマスクでも、持っている人はどれくらいいるのだろう。私は調べてみた。なんということだ、女の人は、ハンカチか小さなタオルしか持っていないではないか。勇気を出さなければ。
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