15年戦争資料 @wiki

rabe10月19日

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pipopipo555jp

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十月十九日


今日はまた、ずいぶんとていねいなご挨拶じゃないか! 夜中の二時に空襲警報ときた。ようやくブーツをはき終えたとき、爆弾が落ちて、家じゅうが揺れた。ところがかのリーべだけは爆弾などどこ吹く風で、ぐうぐう眠っている。

「リーべさん、二回目のサイレンだよ!」

そのとたん、何度か爆音がした。すると、ようやく返事があった。

「はあー、きこえます」


発電所を再開するためにリーべはとてもよく働いた。第二発電機は全力駆動(五千キロワット)している。いま、第三機の修理中だ。六年前、うちが納めて以来ずっと使っている古いボイラーしか動かしていない。アメリカ製の有名なほうは、はじめからいじらなかった。

今夜、再びジーメンスのサーチライトが輝いた。さて、防空壕の「入坑時」の規則を作らなければ。トランスオーシャン通信社のデブの電信技師が、女の人や子どもをおしのけて真ん中の一番安全な場所を取ってしまうからだ。だから私はそいつをすこしばかりはじの方へ押した。そのはずみに地下水のわき出る穴に落ちて、ズボンの尻を濡らしてしまった。

今朝、防空壕の入り口に、でかでかと貼り紙をしてやった。ドイツ語と中国語と英語の三ヵ国語だ。


防空壕の仲間へ


この家の防空壕の利用者は、次の規則を守られたし。
婦人と子どもには、安全な場所、すなわち真ん中の席を譲る。男性は、端で立つか座るかして我慢すること。この指示に従わない者は、今後一切使用を禁止する。

南京、一九三七年十月十九日  ジョン・ラーベ


あのデブ、これで思い知ったろう!

たった今、セイレムにいる息子オットー(写真3)から手紙がきた。九月二十六日づけだ。陽気で屈託がない。すももとリンゴをつんでいるそうだ。労働者オットー・ラーベがいよいよ兵士になるといってはしゃいでいる。



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