15年戦争資料 @wiki

rabe10月14日

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pipopipo555jp

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十月十四日


朝七時。輝くばかりの晴天。ということは、素晴らしい爆撃日和でもある! さいわいリーべはよくなった。単なる消化不良だったらしい。今日はふたたび元気に下関の発電所に出勤していった。


中山陵(孫文の墓)をまだ見たことがないというので、仕事を終えたリーべをつれていくことにした。ああ、なんたること! 門は竹の足場で覆われ、すっぼり布がかけられている。明孝陵さえ立ち入り禁止になっている。記念公園地区は見渡すかぎり軍用トラックで埋まっている。なにも積んではいないが、いつでも出動できる態勢になっている。それぞれ、運転席で中国人運転手が居眠りしているからだ。ということは、蒋介石がこのあたりに住んでいるということになる。小紅山にある主席官邸(注・現美齢宮)は上から下まで黒一色に塗りつぶされていた。空襲を避けるためとはいえ、なんともあわれな姿だ!


日本人が毒ガスを使っているとの噂しきり。地元の新聞が伝えるところによると、すでにここの病院にガス中毒の中国人兵士たちが運ばれてきているという。

みな毒ガスをひどくこわがっている。南京の一般市民はガスマスクを持っていないからだ。マスクに酢などの液体を染みこませるよう指示されたが、これはしょせん一時しのぎにすぎず、いざというときにはまったく役に立たない。



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