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rabe10月13日

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pipopipo555jp

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十月十三日


薄曇り。不穏な日だ。だがこのあたりは無事だった。八時に空襲警報。だが、十五分後に解除された。警報のたびに男も女も子どももみな、貧しい人たちが大ぜいわが家のそばを駆け抜け、五台山へと逃げていく。かなり大きな防空壕があるのだ。これだけでも悲惨きわまりないというのに、小さい子どもを抱いた母親たちのおびえようといったら! 見ていられない。きょうはそういう人たちが四回もここを通り過ぎていった。


防空壕をまた広げよう。ドイツ語の話せる沈(セン)さんと馮(フォン)さんが、わが家の近くの支局に転勤してきた。空襲警報が鳴ると二人ともここへ避難してくる。いつも郵便物を配達してくれる二人も常連だ。そのうち泊めてくれといってくるだろうが、場所があるだろうか。私自身はここのところまったく防空壕に出入りしていない。上海から派遣されたジーメンスのエンジニア、リーべが腹の具合が悪いといって帰ってきた。下痢だ。

~~~~~~

中国語版と対照検証してくださった熊猫さんより、下線部分に関して重大な指摘がありました。

>10月13日の日記は続きがあります。
>英語版は手許にありませんので解りませんが、日本語版は随分と省略されています。またその省略は日本独特の基準があったのか、訳者の意図なのかは解りません。
http://t-t-japan.com/bbs2/c-board.cgi?cmd=one;no=3441;id=sikousakugo#3441

ということで、下線部分は中国語版から訳すと次のようになります。

上海から派遣されたジーメンスのエンジニア、リーべが腹の具合が悪いといって帰ってきた。コレラではないことをひたすら願う。神の加護を!神の加護を!神の加護を!

新聞各社の報道は中国機が塘沽の日本人倉庫を空爆したニュースと、依然としてアドルフ・ヒトラーが中国からドイツ顧問を召還した一件を、ベルリンの方は少しも知らない。しかも記事によれば、ドイツ軍官は全員が私人であり、身の振り方は自分で決定してよいことになっている。ロイター通信のローマの報道によれば、イタリア政府は中国から空軍顧問を撤回した報道を否定した。

(ここで、10月13日の日記がおわる)


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