九月二十三日
カフェ・キースリングのパン職人、シェールさんは、ドイツのハプロ社の従業員が以前住んでいた家に少し前に移っていた。その家は、安全だと定評のある新興住宅地にあったのだが、昨日の爆撃でそれもすっかり怪しくなり、今日またもや引っ越した。だが、どこへいったのかいまだにわからない。困ったのは彼が仕事をやめてしまったことだ。おかげでパンが手に入らない。
たったいま資源委員会から戻ってきたところだ。スターリング銀(純銀)で千五百ポンドの注文。なにしろ戦時中だ、たとえ義理でくれたにしても助かる。
上海からとても心のこもった手紙をもらった。上海の首脳部は私の安否を気づかってくれている。身の安全のためならなんでも好きなようにしていい、場合によっては南京を去ってもかまわないという。いや、ありがたい! うれしかった。
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