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NHKエグゼクティヴディレクターの回答

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NHKエグゼクティヴディレクターの回答



日本李登輝友の会
 会長 小田村四郎様

 貴日本李登輝友の会から日本放送協会会長宛に送られた「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回 アジアの“一等国”」に対する抗議声明について、会長に代わって当該番組の責任者として小職が回答させていただきます。

 NHKでは、この4月から3年間にわたる企画として「プロジェクトJAPAN」をスタートさせました。近現代史の大きな節目を迎えるこの三年間に、ドキュメンタリー、スペシャルドラマ「坂の上の雲」などプロジェクト関連番組を多角的に展開し、歴史の中にこれからの日本を考えるヒントを探っていこうというのが、プロジェクトJAPAN」の趣旨です。

 初年度のNHKスペシャルは、「JAPANデビュー」と題し、横浜が開港した1859年から1945年までを描くシリーズを制作しています。西洋列強に倣って近代国家をめざし、第一次世界大戦後には五大国のひとつになった日本が、その後国際社会の中で孤立し、焼け野に立つに至った歴史の流れを、世界各国の一次資料、時代を生きた人々の証言、研究者の分析などを通じて検証するシリーズです。第1回のテーマが「アジア」であり、日本が最初の植民地とした台湾に、近代日本とアジアの原点を探り、これから日本がアジアの人々とどう向き合っていけばよいのか、未来を生きるヒントを探ろうとしたものです。

 声明の中に、「『反日台湾』を印象付けるためだったのかとしか思えない内容」、また「日台離間を企図しているのかとさえ思われる内容」と記されていますが、番組の趣旨はまったく異なり、歴史の事実を共有することで、日本と台湾、日本とアジアの真の絆を見いだしたいと考えたものです。

後藤新平についても、民政局長として着任し、台湾全土の調査を行ってから、台湾統治の成果をあげ、「台湾10年間の進歩」という欧米向けのパンフレットを発行するに至った経緯を、台湾総督府文書やイギリス領事館の報告など一次資料をもとに、事実を積み上げて紹介しています。

「日台戦争」については、この戦いの研究を進めていた日本の専門家が1990年代に名付け、以後研究者の間ではこの表現が使われるようになっています。

 台湾が親日的であるという事実は、多くの日本人が認識していることであり、この番組でも決して否定していません。一方そうした台湾にも、植民地時代の差別、戦争の深い傷が残されているという事実を伝えることが、日本と台湾のさらに強くて深い関係を築いていくことに資すると考えています。視聴者からも、事実を初めて知り、そのことを踏まえて関係を築いていくことの大切さを記した意見が多数寄せられました。なにとぞ番組の趣旨をご理解いただきたいと思います。

 なお、番組制作にあたっては、2万6千冊の台湾総督府文書や、イギリス、フランスの外交史料をはじめ膨大な一次資料を読み込み、また国内や海外で数多くの研究者を取材しています。

以上、ご理解よろしくお願いいたします。

平成21年4月14日
日本放送協会 ジャパンプロジェクト
エグゼクティブ・プロデューサー 河野伸洋


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