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「つくる会」三度目の挑戦にお力添えを

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つくる会ニュース第250号 平成21年 4月9日(木)


『新編 新しい歴史教科書』検定に合格!


 文部科学省は、本日(4月9日)午前、教科書検定審議会を開催し、『新編 新しい歴史教科書』(自由社版)の検定合格を正式に発表しました。

 新しい歴史教科書をつくる会は、この検定合格発表を受けて、午後1時から文科省記者クラブで会見を行い、次の「見解」を発表しました。記者会見には、藤岡信勝会長、杉原誠四郎、福地惇両副会長、鈴木尚之事務局長が出席しました。

 この教科書の作成に当たられた方々及びご支援をいただいた多くの皆様に心より感謝申し上げます。

 今後は、いよいよ採択戦に入りますが、この素晴らしい歴史教科書が、ひとりでも多くの子供たちに届けられ、教室で学ぶことができるよう一層のご協力をお願い致します。


「つくる会」三度目の挑戦にお力添えを

ー自由社版『新しい歴史教科書』の検定合格についての見解ー

(一)

文部科学省は、本日(四月九日)午前、教科用図書検定調査審議会を開催し、『新編 新しい歴史教科書』(自由社版)の検定合格を決定しました。十二年前、歴史教科書の改善の必要を日本国民に提起した「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書がなくなることのないようにという、多くの方々の願いがここに実を結び、今日を迎えることができました。幾多の困難を乗り越えて『新しい歴史教科書』を出し続ける快挙を成し遂げた関係者の労苦と、それを支えた皆様方の暖かいご支援に心より感謝いたします。

(二)

自由社以外の他の八社の教科書会社は、平成二十年四月に検定申請を行わず、四年前と全く変わらない教科書をそのまま今年度の採択に供することにしています。その中で、新規に参入し検定に合格した自由社版の『新編 新しい歴史教科書』は、次の三つの点で、他社の教科書にない大きな特色をもっています。

第一点は、この四年の間に改正された教育基本法を踏まえて編集した唯一の歴史教科書となっていることです。周知のように、改正された教育基本法では、その第二条で「教育の目標」を新たに定め、その中に、「公共の精神」、「伝統と文化の尊重」、「我が国と郷土を愛する」(愛国心・愛郷心)などの項目を明記しました。

 これを受けて、自由社版『新編 新しい歴史教科書』では、例えば、巻頭グラビアのページに、「そこに眠っていた歴史」というシリーズを設け、「岩宿遺跡の発見」、「高松塚とキトラ古墳」、「出雲大社」、「戦艦大和」の四つの学習テーマを配置しました。また、昭和天皇の「お言葉」を集めて特集するなど、昭和天皇について二ページにわたる記事を掲載しました。これは戦後の教科書の歴史において画期的なことです。

 第二点は、学力向上と言語活動を重視した新学習指導要領の方針を、先取りして実現した歴史教科書になっていることです。例えば、歴史用語を一定字数の言葉で正確に定義した各章の「まとめ」は、正確な知識を定着させ、歴史の大きな流れの理解に導く手がかりとなっています。また、一点ごとの図版資料にワンポイントの説明を付して知識の充実を図るなどの工夫もこらされています。

 第三に、他社の四年前に採択された教科書を精密に比較検討し、歴史的に最も正確な記述に努めたことです。さらに、文科省による丹念な検定を経たことにより、史実の正確性が高められ、表現が改善されたことも付け加えておきます。

 以上のことから、自由社の歴史教科書は、最新の、最も工夫された歴史教科書になっているものと自負しております。この教科書は、五月上旬に発売される市販本『日本人の歴史教科書』(自由社)の中に全文が収録されます。

(三)

この度、「つくる会」の歴史教科書を自由社から発行することになった経緯について、ここで簡単に触れておきます。「つくる会」の歴史教科書は、『新しい歴史教科書』(初版)と『改訂版 新しい歴史教科書』の二度にわたって、扶桑社から発行しました。当会は三度目も同社からの継続発行を強く望んでいました。ところが扶桑社は、つくる会の教科書を「右寄り過ぎる」と事実に反する批判をし、「つくる会」と絶縁して独自に執筆者を選定し、教科書名も変え、子会社・育鵬社を設立して教科書をつくると通告して来ました。

扶桑社が子会社・育鵬社から別個の教科書を出すことになれば、「つくる会」の設立趣意書に基づく教科書は自動的に廃刊・消滅ということになります。そこで、運動団体としての「つくる会」は、「つくる会」の教科書を絶やさないため、新たな出版社を見つけ、「つくる会」の教科書を出し続けることを決意しました。その結果、自由社の協力を得て、関係者の驚異的な努力で新しい教科書を作り上げ、昨年四月に検定申請しました。

 ところが、扶桑社(育鵬社)は、当初表明していた昨年の検定に申請せず、扶桑社の現行版である『改訂版 新しい歴史教科書』(代表執筆者・藤岡信勝)を、自ら批判していたにもかかわらず、そのまま供給すべく今年の採択に臨む方針に切り換えてきました。しかし、この方針は「つくる会」の執筆者の承諾を得たものではありません。そのため、当然ながら「つくる会」の著者グループは、著作権を行使して扶桑社の歴史教科書は出版しないよう求めました。しかし、扶桑社はその要求を無視することを公言しました。これは、著者の著作権・人格権を踏みにじるのみならず、自ら「欠陥商品」との烙印を押した教科書を二年間も中学生に使わせようとするものであり、二重の意味で商業道徳に悖る行為です。

 そこで、つくる会の著者グループは、著者の教育的良心を守り、教育界の混乱を避けるという公益のため、四月十日までと規則で決まっている教科書会社から文科省への「教科書書目」の届出を、扶桑社がしないように求める仮処分を裁判所に申請しました。しかし、裁判所は、「教科書書目の提出は、出版の準備行為ではあるが出版行為ではないから著者の著作権を侵害しない」という奇妙な理由で却下してしまいました。

その結果、採択にはどちらも「代表執筆者・藤岡信勝」の二種類の教科書が俎上に乗るという前代未聞の珍事態が現出することになりました。出版差し止めの訴訟(本訴)は継続中ですから、扶桑社を選択した教育委員会や学校は、原告の訴えが認められれば採択のやり直しを迫られることになります。しかし、当会としては、そのことよりも、四年前の扶桑社版と、それよりも明らかに進歩した自由社版を比べて、よりよい方を選択していただきたいと切に望むものです。

(四)

昨年(平成二十年度)に行われた小学校教科書の採択事務に関して文部科学省は、平成二十年四月十日付で各地の教育委員会に通知を発し、「新たに文部科学大臣の検定を経たものがないことにかんがみ、例えば、採択事務にかかる調査研究について、前回の採択替えにおいて用いた調査資料を適宜利用するなど、採択手続の一部を簡略化することも可能である」としました。

 しかし、今年度の中学校教科書の採択事務については、事情が異なります。少なくとも「社会・歴史的分野」の教科書については、昨年度のような「簡略化」を行わず、通常の採択時と同様の手続きに従って、全ての教科書について新たに調査資料を作成することを各地の教育委員会に通知するよう文部科学大臣に当会として申し入れました。

 各地の教育委員会と私立学校が、改正教育基本法で示された「教育目標」と、今年度から前倒しで適用されることになっている新学習指導要領に照らして、最も優れた歴史教科書を選ぶことを期待しております。

平成二十一年四月九日
                         新しい歴史教科書をつくる会




採択事務の取扱方について申入れ

「簡略化」せずに通常の調査研究を

 教科書検定が終了したことによって、今後、本年度の採択が開始となりますが、当会は、4月9日付で、文科大臣に対し、本年度の採択事務が通常の採択時期と同じ形で行われ、少なくとも、「簡略化」などが行われないよう、文科省として「通知」を発出するよう申入れを行いました。

 申入れ文書は次のとおりです。


平成21年4月9日
文部科学大臣 塩谷 立 殿
文部科学省初等中等教育局
教科書課長 伯井 美徳 殿
                                       新しい歴史教科書をつくる会
                                               会長 藤岡信勝

            平成22年度使用中学校教科書の採択事務についての要請

 昨年(平成20年)度に行われた小学校教科書の採択事務に関し、文部科学省は、平成20年4月10日付文書「20初教科第2号」をもって、「新たに文部科学大臣の検定を経たものがないことにかんがみ、例えば、採択事務にかかる調査研究について、前回の採択替えにおいて用いた調査資料を適宜利用するなど、採択手続の一部を簡略化することも可能である」との通知を発出しています。

 しかし、平成21年度における中学校教科書の採択事務については、新たに検定を経た教科書があることから、昨年度の場合と事情は異なります。

 従いまして、本年度の採択に当たっては、通常の採択時と同様の事務処理が行われるよう、各都道府県教育委員会に対して通知を発出していただきますよう、この文書をもって要請いたします。
                                                (以上)


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