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執筆者ら訂正申請断念 「集団自決」修正 教科書会社が拒否

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執筆者ら訂正申請断念 「集団自決」修正/教科書会社が拒否

記述回復 交渉は継続

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、執筆者らでつくる社会科教科書懇談会は二十九日、文部科学省で会見し、高校日本史教科書で「日本軍の強制」の記述を復活させるため、教科書会社と協議してきた本年度の再訂正申請を断念したことを明らかにした。申請提出に否定的だった会社側の意向が変わらなかった。記述回復は、少なくとも来年度に使われる教科書で実現せず、今後も難しい状況になった。

 執筆者らは、声明を発表し「出版社がかたくなに申請提出を拒否し続け、本の作成のタイムリミットがあるため、ついに本年度の申請は不可能になった」と説明。「会社側の姿勢は、出版社としての良心と責任を投げ捨てたもので許し難い。県民の願いは不当に踏みにじられた」と批判した。

 ただ、継続的に記述の復活を求めていく考えは崩しておらず、来年度の再訂正申請について検討する方針を示した。

 前年度に訂正申請した六社八冊のうち、実教出版の「高校日本史B」と東京書籍の「高校日本史A」の二社二冊の執筆者が本年度も再び訂正申請をしようと会社側へ提案、協議を続けていた。ほか四社は執筆者からの提案がなかった。

 実教出版の執筆者は「強制的な状況のもとで、住民は、集団自害と殺しあいに追い込まれた」という記述を「住民は自害や肉親どうしの殺しあいなどによる集団死を強制された」への変更を提案。注釈に「集団自決」や「強制集団死」と呼ばれることを記した。

 東京書籍の執筆者は「日本軍によって『集団自決』においこまれたり、スパイ容疑で虐殺された一般住民もあった」という記述を「日本軍によって『集団自決』を強いられたり、スパイ容疑で虐殺された一般住民もあった」への変更を提案した。

 両社とも、新学説の出現といった「客観的事情の変化」や「学習上の支障がある」など訂正申請の条件は満たしていないとして、申請しない方針を決めた。

 文科省は二〇〇七年三月、「集団自決」についてこれまで認めてきた「日本軍が強制した」との記述を削除する教科書検定審議会の検定意見を公表。県内外の猛反発を受け、同年十二月「軍が関与」との表現で訂正を受け入れた。執筆者らは再訂正申請を求めてきたが、会社側は消極的な姿勢を崩さず、文科省も「学習上の支障は既に取り除かれた」としていた。


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