一月五日
わがジーメンス・キャンプはほかの収容所からあまり芳しくない評判をとっている。韓がちょっぴりよけいに米を配るからだ。なにしろ韓は気がいいから! いくらなんでも五百平方メートルの庭に六百二人は狭すぎるので、難民を一部、他の収容所に移そうとしたがうまくいかなかった。ここだけが安全だと思っているので、だれも出たがらない。まあ、しかたないだろう!
衛生状態が気になる。これについては私もどうしていいのかわからない。伝染病がひろがらないといいが。今日の午前までは水が出たのだが、午後になってとまってしまった。電気はまだつかない。それなのに、近所ではいまだに家が燃えている。
登録はまだ終わっていない。何万人もの女の人が乳のみ児をかかえて五列に並んだまま、もう六時問も外で待たされている。果てしなく長い行列だ。このきびしい寒さのなか、いったいどうやって耐えているのかと思う。
またもや漢中門が閉まっている。きのうは開いていたのに。クレーガーの話では、門のそばの干上がった側溝に三百ほどの死体が横たわっているそうだ。機関銃で殺された市民たちだ。日本軍は我々外国人を城壁の外に出したがらない。南京の実態がばらされたら困るからな。
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