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(原)3 争点3(目的の公益性の有無)について
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(原)3 争点3(目的の公益性の有無)について
(判決本文p33~)
- (引用者注)当サイトでは、原審判決に大阪高裁が付加あるいは判断を改めた部分等は, 区別しやすいようにゴシック体で表示し, 削除した部分は薄い色で削除した部分示しました。
(1) 被控訴人らの主張
ア(「太平洋戦争」)*
「太平洋戦争」は,歴史研究書であり,本件記述(1)は, 「戦争における人間性の破壌一『戦争の惨禍』上」と題する章において, 日本軍の民間人に対する態度の例として記述されたものであり, もっぱら公益を図る目的によるものであることは明らかである。
イ(沖縄ノート)*
沖縄ノートは, 沖縄の人々が「琉球処分」「皇民化教育」により日本国の体制に組み込まれ, 太平洋戦争で本土防衛のための悲惨な戦場とされ多数の住民が犠牲となった上, 戦後はサンフランシスコ条約によって米国の施政権下に残されて米国の前線基地とされ, 核戦略体制の下で核兵器による恐怖の捨て石とされ, 本土のため犠牲にされ続けてきたと指摘し,その沖縄について, 「核つき返還」などが議論されていた昭和45年当時, 沖縄の民衆の重く鋭い怒りの矛先が被控訴人大江ら日本人に向けられていることを述ぺ, そのような日本人であることを恥じ, 自分を変えることはできないかと自問し, 日本人とは何かを見つめ, 戦後民主主義を問い直したものである。そして, 沖縄ノートの各記述も, 沖縄戦における集団自決の問題を本土日本人の問題として捉え直したものである。
したがって, 沖縄ノートの各記述は, 公共の利害に関する事実について, もっぱら公益を図る目的で書かれたものであることは明らかである。
(2) 控訴人らの主張
ア(「太平洋戦争」)*
「太平洋戦争」については, 第2・2(4)アの限度で認める。
イ(沖縄ノート)*
沖縄ノートについては, 第2・2(4)イの限度で認め, その余は否認し, 争う。
沖縄ノートの各記述の前提には, 悲惨な集団自決が控訴人梅澤及び赤松大尉による自決命令に基づくものであるという全く虚偽が置かれており, そして, そのことこそが被控訴人大江の自問と卑下と自虐的反省の中核部分を占めていたのであり, したがって, その自問による反省が全く的外れな昏迷に深みに陥ってしまったのは, 故無きことではない。
したがって, 控訴人らは, 沖縄ノートの各記述が公共の利害に関する事実に係わることは認めるが, それがもっぱら公益を図る目的によるものであるとの主張は否認し, 争う。
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