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(原)カ(「母の遺したもの」について)

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読める控訴審判決「集団自決」
事案及び理由
第3 当裁判所の判断
5 真実性ないし真実相当性について(その1)
【原判決の引用】
(原)第4・5 争点(4)及び(5)(真実性及び真実相当性)について
(原)(3) 援護法の適用問題について

カ(「母の遺したもの」について)*

(判決本文p201~)

  • (引用者注)当サイトでは、原審判決に大阪高裁が付加あるいは判断を改めた部分等は, 区別しやすいようにゴシック体で表示し, 削除した部分は薄い色で削除した部分示しました。


(ア)(援護法適用に配慮して手記を書いたという趣旨の記載)*


  「母の遺したもの」には,第4・5(2)ア(イ)eのとおり,「沖縄敗戦秘録-悲劇の座間味島」に掲載された初枝の手記の控訴人梅澤の集団自決命令について,援護法の適用を求め,その適用を受けていた住民,遺族等に配慮して,「座間味戦記」の記載を引用したとの趣旨の記載がある。


(イ)(初枝が「捏造」を認めたわけではない)*


  しかしながら,第4・5(2)ア(イ)eに引用した「母の遺したもの」の記載を子細に検討すれば,初枝は,座間味村の住民が玉砕命令の存在を信じていたことから,援護法適用の調査に「はい,いいえ」で答えたと語るにすぎず,初枝としても集団自決についての日本軍の責任自体を否定するような考えを有していたわけではなく集団自決に援護法を適用するために控訴人梅澤の自決命令が不可欠であったことや,「村の長老」から虚偽の供述を強要されたことなど援護法適用のために控訴人梅澤の自決命令をねつ造したことを直ちに窺わせるものではない。自決命令の具体的な内容自体はそれまでに既に存在し, 他の者も供述していたのであリ, それを前提に「はい, いいえ」で質疑応答され, 初枝自身の見聞きした本部壕での控訴人梅澤とのやり取りを述ぺなかったというにすぎない。この点,宮城証人は,その陳述書に
「隊長命令については,
『住民は隊長命令で自決したといっているが,そうか』
との質問に
『はい』
と答えたと書きましたが,それ以上に自分からは説明しなかったとのことです。」
と,「母の遺したもの」の記載の趣旨を補足している(乙63・11頁)。


(ウ)(小括)*


  そして,これまでに判示してきた援護法の適用についての事実からすれば,「母の遺したもの」から集団自決について援護法の適用のために梅澤命令説が捏造されたとまで認めることはできない。



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