戦の語り 立体的に/和光小校長刊行、時系列の証言集

「検定」機に670ページ


 県内での平和学習を二十二年間続ける和光小学校(東京都)の行田稔彦校長がこのほど、沖縄戦体験者二十六人の証言をまとめた「生と死・いのちの証言 沖縄戦」(新日本出版社)を刊行した。女子学徒隊、鉄血勤皇隊、県職員、住民など、それぞれの体験を(1)沖縄戦前夜(2)首里攻防戦(3)南部彷徨(4)収容所から戦後―の時間軸に沿って編集。行田さんは「一人一人の証言が全体の中でどうつながるか、沖縄戦を立体的にとらえる一助になれば」と話している。

 行田さんは、平和学習で知り合った体験者らに依頼。三年間で二十六人の証言を映像に収め、二〇〇六年に同校の沖縄学習二十周年記念DVDとして完成させた。

 だが昨年の教科書検定問題を機に、DVDの編集過程で大幅カットした証言を記録に残す必要性を痛感。一人二―五時間に及ぶ膨大な体験談を、同校父母の協力ですべて書き出した。同じ時間に、異なる立場、別の場所にいた人々がどういう体験をしたか並べ、戦況の推移や証言の連動性と相違が分かるよう構成した。

 座間味、渡嘉敷島の「集団自決(強制集団死)」体験者の証言、鉄血勤皇隊千早隊の元学徒が語る宣伝工作の実態、戦況が悪化する中での旧軍の情報錯綜と混乱、壕追い出しや住民虐殺、逃げまどう住民の姿が、さまざまな視点で語られている。

 行田さんは「証言一つ一つに体験者の生きざまが宿っている。非常に重い個別の体験を複眼的に読むことで、子どもたちが戦争の全体像を考える手助けになれば」と期待した。

 同書は六百七十ページ。戦中の証言者の足取りや米軍、日本軍の動向も地図や年表で解説している。

 問い合わせは和光小学校、電話03(3420)4353。