産経【田母神氏招致・詳報】(7)(8)


(7)「日本の国はいい国だったと言ったら解任された」


 11日の参院外交防衛委員会での田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致の詳報(7)は以下の通り。


【公明党・浜田昌良議員の質問】


 浜田氏
「国民が一番知りたいのは、文民統制と、自衛官の言論の自由とはどういう関係なのか。それをはっきりさせることによって再発を防止することが求められている。事実関係をうかがう。論文を対外的に発表する前に官房長に文書で届けることになっているが、今回は口頭での報告だったと聞く。ルール違反だが、なぜそういうことなったのか」

 田母神氏
「はい、これについてはルール違反と報道されておりますが、私はルール違反とは認識はしておりません。通知通達については、職務に関し部外に論文などを発表する場合、となっておりまして、今回の私の論文につきましては、別に自衛官の職務をやっていなくても書ける内容でありますし、職務に伴って得た知識を持って書いているものではございません。私の歴史研究の成果として書いたもので、職務に関係していないので私は通知をしておりませんでした」

 浜田氏
「今回の論文については、参考人以外にも、航空自衛隊員が94人も投稿している。その方々は職務に関係するという前提で了解を得ているが、参考人の場合は関係しないというのはなぜか」

 田母神氏
「これはですね、各部隊などごとに指示が出ておりますので、市ケ谷においては、まあそういう指示が出ておりますけれども、それぞれ部隊は部隊ごとでいろいろ指示が出ているかと思います。部隊が決めたルールに従ってやっていると思います」

 浜田氏
「今回の論文と同じ内容について『鵬友(ほうゆう)』という雑誌に載せたことがあった。この件は、官房長に文書で了解を得たのか」

 田母神氏
「これについては、同じように連絡しておりません」

 浜田氏
「一般国民からみればルールにのっとった手続きを取っていないと映る。懸賞論文について全国の部隊に応募要領を送ったということだが、参考人はこれを紹介したという。どういう意図で紹介したのか」

 田母神氏
「あのー、日本にはですね、今、日本の国が悪かったという論が多すぎるというふうに思います。そして今、歴史を見直すということで、日本の国はいい国だったという見直しがあってもいいんではないかとそういう論文を募集しているから、勉強になるから、ということで紹介をいたしました。それで私も今回びっくりしてますのは、日本の国はいい国だったと言ったら、解任をされたと。そしてまた、責任の追及も、いい国だと言ったような人間をなぜ任命したんだといわれる。すると…いいですか? しゃべっていいですか?」

 外交防衛委員長
「参考人、質問者がそこまでは求めていませんので…」

 田母神氏
「すると、変だなあというのが私の感想です。日本の国が悪い国だという人をつけなさいということですから」

 浜田氏
「個々人の見解を述べられるんではなく、質問に的確に答えていただきたい。では、航空自衛隊の方々に投稿してもらう、ということを意図していたということか」

 田母神氏
「はい。投稿することによって勉強になって、結果として自学研鑽(けんさん)というか、能力向上になるということで紹介をいたしました」

 浜田氏
「東大で講演をしたときは文書で連絡したのか」

 田母神氏
「はい、連絡していると思います」

 浜田氏
「東大での講演と、今回の論文と、どういう違いがあるのか」

 田母神氏
「これはあの、東大で講演をする前にですね、制服自衛官が東大安田講堂で講演をするのは初めてだということで、(当時の)石破茂防衛相にも話をいたしました。で、石破防衛相の方からもいろいろ諸注意があったこともあってですね、通知をしております」

 浜田氏
「東大で話したことも論文に近いと思う。矛盾があるのではないか。国民がどのように受け止めたかという問題がある。航空自衛隊のトップが第二次大戦の日本の侵略を正当化するような発言があった。そうすると、自己増殖的に戦争に突入するんではないか、シビリアンコントロールに対する不安を持ったのではないかと思う。まず、政府側に見解をうかがう」

 河村建夫官房長官
「今般の田母神前航空幕僚長が政府見解と明らかに異なる見解を公にされたということ、これは憲法に関することでもあり、不適切な表現、誠に不適切だということで、文民統制上の問題あるからということもありまして、われわれの認識のもとでございます。そのことについて、国民のみなさま方に対しても、今ご指摘いただいたようなことのご懸念もある。このように考えて、極めて遺憾であるという認識をいたしているところであります。防衛省ではこの問題については、文民統制上の観点からですね、必要な人事措置をとったということでありますけれども、まあいずれにいたしましても、日本において、主権者たる国民を代表する国会議員で構成している国会がございます。ここを始めとして、内閣、また防衛大臣というさまざまなレベルで文民統制が行われている。制度的に担保されている。このように考えておりますが、さらに政府としても今後とも、文民統制というものが常に確保される、ということが大事でありますから、努力して参りたい。このように考えます」

 浜田靖一防衛相
「今、官房長官が申し上げた通りでございまして、われわれとしても大変遺憾に思っているところでありまして、今、委員会におきましていろいろな委員のみなさんからご指摘を受けましたことを踏まえながら、改善に向けて頑張ってまいりたいと思っております」

 浜田氏
「田母神氏の後任の空幕長、外薗空将ですね。就任会見でこういう発言がある。『今般、航空幕僚長という要職にあるものが、政府見解と異なる見解を発表するという不適切な行動を取ったことによりまして、結果的に国民のみなさまの信頼を損なうような事態を招いたことを真摯(しんし)に反省し、心より、深くおわび申し上げます』。こういう表現がある。各大臣、同僚後輩がこういう発言をしていることに、田母神氏は良心の痛みを感じないか」

 田母神氏
「私は、日本ほどですね、文民統制が徹底した軍隊はないと思います。諸外国では、文民統制は一般的には政治が軍を使って問題を解決するか、軍を使わないで問題を解決するか、それを政治が決めるという文民統制が普通の形だと思います。日本においては、これが自衛官の一挙手一投足まで統制すると。論文を書いて出すのにですね、大臣の許可を得ているという先進国は多分、ないと思います。だから、これだけ徹底していてまたやるとなったら、ほんと、自衛隊は動けなくなります。で、私は、大臣がですね、とにかくこれを徹底をするといわれればですね、現職である人たちはですね、大臣の指示ですから、従わざるを得ないと思います。ただ私は、そういう言論統制が徹底したような軍にはですね、自衛隊をすべきではないと思います」

 浜田氏
「では、自衛隊においては言論の自由はまったく制限がなくてよいのか。平成4年、陸上自衛隊の3等陸佐が週刊誌上でクーデターを呼びかけたとして懲戒免職になっている。そういう意味では、なんらかの制約がついて回ると理解しているが」

 浜田防衛相
「さきほども申し上げましたが、われわれとしては意見を発表する、というは言論の自由も当然あると、われわれも考えなければなりませんので。しかしながら、あくまでも政府見解、そしてまたわれわれの考え、政府の考え方に沿ったなかで議論をしていただくということでありまして、決して言論を抑圧とか、そういったことではないわけではありますんで、しかしながら、それもしっかりとした政府の意向に沿ってやるという前提がですね、まず確保されるということが大事だと思っております」

 浜田氏
「今、大臣から答弁がありましたように、政府見解をしっかりベースにして、そのうえで考えていくというのが基本だと思う。その意味で、参考人に聞くが今回の論文はちょっと逸脱を感じないか」

 田母神氏
「あの、私は逸脱を感じておりません。政府見解による言論統制だとですね、結局、政府見解で言論を統制するということになりますね。それは私はおかしいと思います」

 浜田氏
「言論のあり方について、再発防止のためにもう少し自衛隊・防衛省のなかで徹底していただきたい。防衛相のご決意は」

 浜田防衛相
「さきほど来、浅尾委員からもご指摘がございました。しっかりした、そういった基準を含めて、作ってですね、それを、あくまでも基準は作っても、最後は隊員1人1人の考え方、そしてまた自覚ということになるわけで、昨日も訓示のなかでお話をしましたが、まさに服務宣誓にあたっての思いを、もう一度思い返していただいて、われわれとしてはしっかりとした基準を明確にして、それを破らないようにしっかりとした体制を取っていきたいと思っているところでございます」


(8)「yahooでは…58%が私を支持している」


 11日の参院外交防衛委員会での田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致の詳報(8)は以下の通り。


【公明党・浜田昌良議員の質問は続く】


 浜田氏
「一つのアイデアだが、自衛隊の方々がずっと自衛隊という組織の中で上がっていくだけじゃなくて、ある一定のタイミングでいいんだと思うが、外に出てみる、他省庁に出向したり、民間に行ったりするということで、外から自衛隊を見るという経験が重要だと思うが、大臣の見解をお聞きしたい」

 浜田靖一防衛相
「現在、幹部自衛官については、広い視野に立った人材育成の観点から、他省庁への出向とか、民間企業での研修も行っております。また防衛省改革では、プロフェッショナリズム、職業意識の確立のために、文官、自衛官を問わず、自らの任務について、その意味を理解して、より高次元の倫理観、使命感、責任感を持って仕事に当たらなければならないとされております。そのために国内外への留学やさまざまな行政経験の機会を与えていくように、提言されております。いずれにせよ、この事案を受けまして、このようなことが二度と起きないように人事上の施策や教育を含めて、どのような防止策があるのかも含めて、検討してまいりたい。今、委員の指摘のあったことを、さらに一層進めていきたいと思っているところでございます」

 浜田氏
「今回の件、国民には文民統制についての不安を覚えさえた。また、後輩の外薗現幕僚長に対しては、さっきいった謝罪会見をしなきゃいけなかった。そして防衛大臣はじめ、事務次官、局長などが懲戒処分を受けることになった。こういうことを受けて、それなりのトップの座におられたわけですから、退職金の一部でも返還する、そういうようなことはお感じないですか」

 田母神氏
「あの、その意思はありません。で、あのー、今、何だったですかね、ちょっと忘れちゃいましたけど。最初の質問はちょっとすいません、もう一度お願いします」

 浜田氏
「本人としては、言論の制約を受けないという答弁を続けているが、私は、もう一度、文民統制、シビリアンコントロールと、自衛官の思想信条の自由、これはあるでしょう。で、言論というものについては、それぞれの立場があるんだと思うんですね。そういう意味では、一自衛官の場合と、航空幕僚長の場合と、いろんな形で、何らかの制約が多分あるんだと思うんです。この辺のシビリアンコントロールと、自衛官の言論の自由、思想の自由について、官房長官に再度ご答弁をお願いします」

 河村官房長官
「当然、自衛隊が厳格な文民統制の下にあるわけでございます。そのことを考えますと、自衛官の場合には、特に、航空幕僚長のような幹部がその立場において見解を公にする場合、これは文民統制との関係、あるいはその社会的影響、こういうものをしっかり十分考え、考慮すべき、当然そういうことだというふうに思います。やはり、ノブリスオブリージュといいますが、高い地位にある方は、非常に社会的責任が大きい。そういうことをしっかりわきまえて対応していただく。これもシビリアンコントロールの一つの根幹にある考え方だと思っておりますので、今回の問題が不適切だといわれるその所以だというふうに考えております」

 浜田議員
「今官房長官からもご答弁をいただきましたが、ご発言を、短くご答弁」

 田母神氏
「国民に不安を与えたと、文民統制についておっしゃいますけど、今朝9時の時点で、私はYahoo!の『私を支持をするか』『問題があると考えるか』『問題がないと考えるか』っていったら、58%がですね、私を支持しておりますので、不安を与えたことはないと思います」

 浜田議員
「どういうデータを使っているか分かりませんけれども、トップであった方が、そういうことをもて自分の行動を正当化するのは非常に私は問題だと思っております。そういう意味では今回のことを防衛大臣、官房長官、外務大臣、受け止めていただきまして、こういうことの二度とないようなしっかりと対策をお願いさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきます」