産経【田母神氏招致・詳報】(3)(4)



(3)浜田防衛相「憲法に関し見解を述べることは一概に禁止されているわけではございません」



参院外交防衛委員会に参考人として答弁する田母神俊雄・前航空幕僚長 =11日午前、参院第一委員会室(撮影・小野淳一)

 11日の参院外交防衛委員会での田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致の詳報(3)は以下の通り。

【浅尾慶一郎氏の質問は続く】


 浅尾氏
「自衛隊法施行令の87条、『政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること』に当たる可能性がある、と理解していいんですか?」

 浜田靖一防衛相
「今回の、憲法に関して見解を述べる行為というのはですね、隊員の思想信条、表現の自由、そういうものを有するわけでありますので、憲法に関し見解を述べることは一概に禁止されているわけではございません。政治的行為との関係においてはですね、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思を持って特定の政策を主張し、また、これに対するものでない限り、自衛隊法61条で制限される政治的行為だとは思っておりません」

 浅尾氏
「先ほども申し上げましたが、1年前に雑誌でまったく同じことを書いたときは問題になっていないのに、懸賞論文では問題になっている。ということはそもそも、防衛省のなかの基準が非常にあいまいだ、ということを指摘させていただきたい。これは、田母神参考人個人ということではなく、中の基準がはっきりしなければいくらいろんなことを言えといっても…たぶん田母神参考人は、石破茂前防衛相が退任時に『どんどん意見を言え』ということで、自分の意見を言ったんだ、ということだと思うが、その意見を言ったら、過去はよかったが今度はダメだと、ダブルスタンダード(二重基準)が一番の問題だ。ダブルスタンダードを改めない限り、シビリアンコントロールは効かないと思うが、どういう反省で取り組むのか」

 浜田氏
「今、委員ご指摘のとおり、そういった基準というはですね、やはり明確であるべきだと思っておりますし、今後、われわれとすれば、その点をしっかりと直しながら、こういったダブルスタンダードがないようにしていきたいというふうに思っているところです。その点、しっかりとした基準を作りながら、またいろいろとご指摘をいただきながら、そういったものを作りあげていきたいと思っているところです」

 浅尾氏
「田母神参考人に、過去は問題になっていないが今回問題になったことについて、また更迭されたことについて、なぜそうなったのか、ご自身の感想をうかがいたい」


 田母神氏
「私はあの、言われております、村山談話と異なる見解を表明したということで更迭をされたということでありますけれども、これについてはまあ、シビリアンコントロール(文民統制)の観点から、私は、見解の相違はないと思っておりますが、大臣が『見解の相違がある』と判断をされて、不適正であると判断をされて、解任をするというのはまあ、政治的に当然だろうというふうに思います。私は、私の書いたものがいささかも間違っているとは思っていませんし、日本が正しい方向に行くためには必要なことだというふうに思っております」

 浅尾氏
「私の質問は、1年前はまったく問題にならなかったのに今回は問題になったことについて、どう理解しているかだ」

 田母神氏
「まあ、今回はやはり、多くの人の目について、マスコミなどで騒がれたからではないかと思っております」


【民主党・犬塚直史氏の質問】


 犬塚直史氏
「今日は田母神参考人に立法府にお越しをいただいた。全国の有権者らが見ているだろう。何よりも、24万の自衛官のみなさんも非常に注目している審議だと思う。今、『自分の書いたことは間違っているとは思わない』という発言がありました。私は、家族、国を思って世界の平和を願うという気持ちは、立法府も行政府も1つの変わりはないと思う」

 「しかし、今おっしゃったような侵略の定義は、一国の憲法を超えた問題。立法府の議題だということをご認識いただきたい。外から見て、国会がしている議論に歯がゆい気持ちをお持ちになるかもしれない。ただし、立法府で決まったことについては行政府が粛々と実行していく、という国家運営の基本をないがしろにするような言動について、私は田母神氏の個人的思想信条についてうんぬんするつもりはないが、しかし、この件への政府の受け止め方は軽すぎる。首相のぶらさがりの答弁も、非常に軽いことをおっしゃっておられる。防衛相は、今回の田母神氏の言動は3権分立という原則に対する重大な挑戦だとは思われないか」

 浜田氏
「私も、委員ご指摘の通り、大変憤慨をしているところでございます。ですから、その方法論はいろいろな、辞めていただくための方法論はあったかもしれませんが、私とすれば、今、委員がご指摘になったように、われわれ国会の重要性、そしてまた世界のおける今の情勢、等々を考えれば、こういった発言というのはあるべきものでないと思っておりますし、極めて不適切で、極めて重大な発言だと。私としてはその責任の重さというのは感じていただかねばならない。私はそう思っております。ですから、航空幕僚長としての職を解いた。そしてそののちに、われわれとすれば、今一番早い形でお辞めになっていただくのが重要と思ったので、その点で退職をしていただいた、ということであります。それは、われわれとすれば迅速な対応が必要だと思ったので、この方法を選ばせていただきました」


 犬塚氏
「防衛相は思いを共有していただいているという答弁をいただいた。しかし、一般の有権者、自衛官に伝わってくる印象は、非常にあいまいなまま、まあまあとなだめている。きちっとした対応をしていないとみえる、ということは指摘をしておきたい。防衛相、防衛副大臣、防衛政務官が給与の自主返納を決めたが、その理由は」 

 浜田氏
「今般の給与の自主返納はですね、田母神前航空幕僚長の行為がその職責にふさわしくない、不適切なものでありまして、防衛省・自衛隊の信頼を損ねたことを、防衛省を預かる最高幹部として重く受け止めたということでございます」

 犬塚氏
「それならば、張本人の田母神氏に対し、どうして懲戒手続きに入らなかったのかなあ、というのがごく常識的な感想。そこでうかがうが、田母神氏の懲戒手続きには入ったのか、入ってないのか」

 防衛省の渡辺人事教育局長
「防衛省といたしましては、田母神前航空幕僚長を10月31日付で航空幕僚監部付とし、さらに11月3日付で勤務延長期限の繰り上げにより退職させる人事措置を講じたものでございまして、懲戒処分の手続きには入っておりません」

 犬塚氏
「このときの10月31日の経緯を見ると、副長が田母神氏に2つのことを聴いている。1つは、ごめんなさいと言って辞表を出してくれと。2つめは懲戒手続きに入った場合は審理を辞退してくれないかと。早急に、迅速にそれを終わらせたいと。その2点を聴いたと。これでよろしいか」

 田母神氏
「はい、そのとおりです」

 犬塚氏
「それに対する参考人の答えは、辞表は出さない、辞めない。そして懲戒処分の入るなら審理の辞退はしないと。自衛隊法施行規則に決められた手続きが数カ月かかることもある。規則違反の該当性について徹底的に議論する、といわれた。これでよろしいか」

 田母神氏
「はい、よろしいです」

 犬塚氏
「どうして懲戒手続きの対象にしなかったのか」

 浜田氏
「今、田母神参考人が言われたように、徹底的にこれを審理するということでございますので、空将に私は降格をさせたわけでありますんで、当然、これは退職の日が、1月の末までとなるので、あくまでの現職の自衛官ということが条件となりますので、定年ということが確定をしてしまいますんで、徹底抗戦ということであるならば、これは時間がかかるということでありますんで、われわれとすればそれを勘案して早期退職、退職として取り扱ったということでございます」

 犬塚氏
「時間がかかるからまずい、だから退職扱いにしたということか」

 浜田氏
「そうではなく、われわれとすれば時間がかるということではなくて、実質上審理をしている間に、同じように退職ということがせまってくるわけでありますので、私の立場からすれば私の立場で判断して退職をしていただいたということであります」

 犬塚氏
「その判断は非常に軽い判断だと思う。重大問題。国権の最高機関である立法府に対する挑戦行為で、ほっとけば、国の形が崩れるほどのもの。なぜ、懲戒処分にしないのか」

 浜田氏
「私とすれば、常識的に言えばですね、航空幕僚長を解職、解いた時点で、更迭をしたという時点で、ご本人とすれば極めて判断を大きくするところだと、私は思っています。ですからその時点で懲戒処分をする、しないというよりも、その重さをご本人に自覚をしていただきたかった。そういう思いがあります。ですからわれわれ、自衛隊という組織がありますんで、そのなかにおいて、政府見解と異なることをまた新たに主張されて、その主張が表に出て、そしてまた自衛隊員の士気が落ちる、ということにつながることをさけたかったということです」

 犬塚氏
「今の説明は問題がある。国民の目の前で、自説を述べてもらう。有権者の信託を受けているわれわれの前で述べてもらう。徹底的に審議していることについて、時間がかかるからまずいとか、逃げているような印象を持つ」

 浜田氏
「そのように取られるとしたら大変残念なことであります。私はそうは思っておりません」

 犬塚氏
「懲戒手続きに入ったときに、審理辞退をしてください、という条件を出した。それに対し田母神氏が乗ってこなかったから、今回の手続きになったのではないか」


(4)「自衛官にも言論の自由。どこが悪かったか審理してもらった方が…」


 11日の参院外交防衛委員会での田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致(4)は以下の通り。


【民主・犬塚直史氏の質問は続く】


 犬塚氏
「副長が電話、訪問により意思確認をしたことについてどう感じたか」

 田母神氏
「はい、あのまず、先にあの先生が、私が立法府に対して挑戦をしているというふうにおっしゃいましたけれども、私はいわゆる村山談話なるものを、あの公然と批判したことはまったくありませんし、論文の中でもまったく触れておりません。従って、それは、あの、妥当ではないというふうに思います」

 「それから、航空幕僚副長が私にいってきたときに、私は私が書いたもの、それから、私が当然、自衛官も言論の自由が認められているはずだから、言論の自由が村山談話によって制約されると、いうことではないんではないかと思っておりましたので、この、岩崎副長に対しては、ぜひ、どこが私が悪かったのかを、あの、審理してもらった方が問題の所在がはっきりするという風に申し上げました」

 犬塚氏
「田母神氏の反応は当然だと思う。この当然の反応に対して、それを受けて懲戒手続きに入らなかった方が遙かに問題だと思うが、大臣、どう思うか」


 浜田靖一防衛相
「私は、そうは思っておりませんで、その懲戒手続きの最後まで審議ができるというものはですね、えー、その時点で私どもとしては、時間がかかってですね、その意味では途中で尻切れトンボになる可能性があるということを、これを私どもとすれば、判断したということでございまして、今、議員のおっしゃるように、その判断がといわれても、私どもとすれば、それが最善の判断だと思っております」

 犬塚氏
「懲戒手続きが尻切れトンボになるというのはどういう意味か」

 浜田防衛相
「先ほどから申し上げておりますように、要するに定年が来る、まあ、54日というのは平均日数でございますから、あのいろんなお話が、今こちらの方にヤジが来ましたけれども、基本的には、一番その懲戒免職にいたるまでの日数からすれば、これは10カ月くらいかかるというわけでございます」

 「そういったことを含め、また、先ほど田母神前空幕長がおっしゃっているように、ご自分の意見をですね、しっかりと自分の意見を述べ、なおかつそこで、自分の一つづつ、いろいろな違反などについても審議をして頂くということを勘案すれば、我々とすれば、決して短い期間で終わらないだろうということを思い、そして1月ということでございますので、われわれとすれば、われわれの判断として今回の決断をしたということであります」

 犬塚氏
「自分の意見を述べることは何か都合の悪いことがあるのか」

 浜田防衛相
「私どもとすれば、その、いろいろな隊員などに対する影響も勘案してと、先ほど申し上げた通りでございますので、そういった影響をわれわれとすれば一番いい形で、処分することが重要だということを考えて、今回決断に判断をしたところでございます。

 犬塚氏
「それが、非常に国民に対して不信感を与えている対応だと思う。総理の発言をみても、あまりにも今回の話を軽くとらえている。大臣、時間がないとかという話ではあまりにも軽すぎる。これは、総理も同じような見解か」

 浜田防衛相
「私とすれば、決して軽い判断とは思っておりませんので、その中で一番選びうる判断をしたということでございますので、決して軽い判断だとは思っておりません」

 犬塚氏
「時間がかかることが、どうしてそれは都合が悪いのか」

 浜田防衛相
「今回の、それこそ今、私はそのいった内容が極めて政府見解と異なって、それが問題であるということをお話申し上げました。これに関してわれわれとしては、毅然とした態度を示す必要があった。ですから、そういったものに対しては、一刻も早くおやめをいただきたいという思いでそういった形を取った訳であります」

 犬塚氏
「辞める形として、どうして懲戒手続きに入らなかったのかということを先程来聞いている」


 浜田防衛相
「ですから、われわれとすれば、それを長期化することによって、今回途中で審議が終わってしまうということに対する、これを防止するためにも、われわれとすれば、辞めて頂くというのが極めて重要だと思ったわけであります」

 犬塚氏
「長期化することがどうしてまずいのか」

 浜田防衛相
「長期化することによって、私は別に長期化してもそれはいいのでありますけど、しかし、それが1月でですよ、要するに定年退職が来るということが、これが一番の問題だと思います」

 犬塚氏
「長期化して1月に定年退職を迎えることがどうして問題か」

 浜田防衛相
「そこで審議が終わるということであります」

 犬塚氏
「1月で審議が終わってしまうから懲戒手続きに入らないというのは、あまりにも非合理な決断だと思うが」

 浜田防衛相
「私は決してそうは思いません」

 犬塚氏
「これは、懲戒手続きに入る事案だったのか、そうでなかったのか」

 浜田防衛相
「入ろうと検討いたしましたが、それを最後まで審議、そして結論を得るまでに至らないという判断をしたということであります」