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パートI 2 一勤務一善

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2 一勤務一善


 空幕に勤務している担当者は朝から夜まで忙しい。私も担当の頃に月曜日に出勤して土曜日に帰宅するような時期を過ごしたことがある。六本木の空幕の建物の中によく泊まったものだ。恐らく自宅で寝ているよりは空幕で寝ていた日の方が多かったに違いない。どんなに頑張っても次から次と仕事が流れてくる。いやになって自衛隊を止めて他の仕事を探そうかと思ったことも度々あった。当時はバブル景気の最盛期であった。今では懐かしい思い出である。

 あれから十数年の年月が流れたけれども、現在でも各担当の諸君は同じように仕事に追いまくられていることと思う。しかしどんなに忙しくともルーティンの仕事をこなしているだけで満足してはいけない。ルーティンをこなすと同時に、日本の国のために、空自の精強化のために、或いは後輩諸君のために何か一つ良いことを成し遂げなければならない。これは俺がやったと言えるような、あの人がこれをやってくれたと言われるような仕事を是非やって欲しい。前任者から申し送りを受け、ルーティンの仕事をこなして、全く変化のない状態で次の人に申し送ることは恥だと思わなければならない。

 新たな配置を命ぜられたならば、状況を分析して、できるだけ早く自己の職務に関し在任間に実施すべき目標を立てることだ。この目標を達成するには通常他の人の協力も必要だから、必要な場合周囲に対し公言しておく方がいい。もちろん目標はかなりの困難を伴うものであることが必要であるし、正義の旗が立つものでなければならない。正義の旗が立つとは、国家のため、自衛隊のため、あるいは後輩のためになる目標であるということである。自己満足のための目標であっては意味がない。

 自衛隊に勤務していると幹部であれば2~3年ごとの転勤は当たり前である。それぞれの人がそれぞれの勤務地で一つずつのいいことをしてくれれば空自はもっともっと強くなる。後輩諸君にも感謝される。日本の安全保障がより確固たるものになる。一日一善という言葉があるが一勤務一善の心構えを持とう。その心構えがない人は次の言葉を額に入れて飾っておけばよい。

 「こなせルーティンワーク!!」


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