15年戦争資料 @wiki

パートI はじめに

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pipopipo555jp

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はじめに


 誰がシナリオを書いているのかわからない。しかし何か日本の国を弱体化するような大きな流れが少しずつ進行しているような気がしてならない。平成の初めまでは日本弱体化の流れは大きなものにはならなかった。バブル景気が国中を元気にし、日本人がみんな自信を持ちチャレンジ精神に溢れていたから、弱体化の流れもその陰に隠れていた。しかしバブル崩壊後の景気低迷が長引くにつれて日本人が自信を失い始め、また政治家や高級官僚の不祥事が明るみに出るにつけ国民の国家に対する信頼が揺らぎ始めた。一方では東京裁判史観すなわち日本悪玉論を信奉するグループなどは、これを機会に日本弱体化の動きを加速させつつあるような気がする。例えばわが国が近年推進している男女共同参画社会、夫婦別姓、情報公開、公務員倫理法等は、その有用性を否定するものではないが、他方これが日本弱体化のために利用されているのではないかという危惧を禁じえない。

 男女共同参画社会は、能力があるにも拘わらず女性というだけで差別を受けないためにはあるべき方向であるが、一方ではこれをエリートを廃し弱い者に全てを合わせる競争のない社会を造るために利用しようとする動きがあるような気がする。これらの動きは、学校における男女混合名簿の作成、男らしさ、女らしさの否定等に現れている。男女の差を認めないくらいだから当然同性の差は認めない。エリートを認めるはずがない。しかしながら人類の歴史を見れば社会を発展させてきたのは一部のエリートであるし、競争のない社会にどれほど活力がないかは言うまでもない。

 夫婦別姓は仕事の都合上、姓を変えたくない女性が救われる効果はあるが、日本の家族制度を崩壊に導きかねない恐れがある。何よりも田中さんの奥さんが佐藤さんで、佐藤さんの奥さんが田中さんだなどというのは私にとっては漫画に思える。社会が混乱するだけではないか。多くの女性は結婚をしたら相手の姓を名乗ることに喜びを感ずるはずである。うちのカミさんだって最初は喜んでいた。

 また情報公開は、民主主義国家において国民が政府の活動を理解する上では当然のことであるが、わが国においては本来これとペアであるべき機密保護に関する法律がない。情報公開に熱心な人たちが一方では、機密保護法がないことには頬かむりしているのが心配である。これら両法はペアであることが先進国の普通の姿である。自由民主主義の国では、国家は国民を守るものである。それにも拘らずわが国では国家を危殆に陥れるような重大な国家機密を漏洩しても軽微な犯罪として取り扱われる。国の安全保障上問題である。

 公務員倫理法は確かにこれまでの官民癒着、官僚の汚職など役人の行き過ぎを是正する効果はあるものの、一方では役人の行動を制約し士気を低下させる。また産官学の情報交換を局限し日本の産業の国際競争力をそぐというマイナス面があることも事実である。多くの役人がそれを認識しながらも、これに対する対策の必要性を口に出せないのは厳しい社会的批判を恐れているからだと思う。

 このような状況から日本の国全体が、そして役人が押しなべて縮み指向になり、自衛隊にもその傾向は現れている。何か新しいことや改革をやろうとして失敗するよりは恒常業務を淡々とこなすことが大事になりつつある。しかし自衛隊は本来行動する際にこそ真価が試される組織である。自衛隊は常に来るべき行動に備え、社会の状況や軍事情勢の変化を見逃さず常に自己変革が求められている。日本全体が縮み指向の今こそ元気を出す必要がある。元気がなければ各種変化を察知し、来るべき行動に備えることは困難である。そんな思いから、これまでの部隊および空幕における勤務を通じて感じていることを自衛隊が元気になるための10の提言として以下にまとめてみた。もちろん本提言は筆者の私見であり、中には同意できないような提言もあるかもしれない。読者の皆さんには大いなる批判精神をもって読んで頂きたいと思う。これから部隊長等に配置される後輩諸君の何らかの参考になれば幸いである。


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