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【琉球新報電子号外】元隊長ら請求、二審も棄却 岩波・大江訴訟

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【琉球新報電子号外】元隊長ら請求、二審も棄却 岩波・大江訴訟

2008年10月31日


 【大阪】沖縄戦中、座間味渡嘉敷両島で起きた「集団自決」(強制集団死)をめぐり、両島に駐留していた日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの記述は誤りだとして、座間味島元戦隊長の梅澤裕氏や渡嘉敷島戦隊長の故赤松嘉次氏の弟、秀一氏が「沖縄ノート」著者の作家大江健三郎氏と版元の岩波書店に出版差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が31日午後、大阪高裁であった。小田耕治裁判長は請求を全面的に棄却した一審・大阪地裁判決を支持し、梅澤氏側の訴えを退けた。原告は上告する。

 一審・大阪地裁判決は両島での「集団自決」について「梅澤、赤松大尉が関与したことは十分に推認できる」と判断。元戦隊長が自決命令を発したか断定できないとしながらも、大江氏らが両隊長の命令を信じるには相当の理由(真実相当性)があったとして、名誉棄損には当たらないとした。

 争点の隊長による自決命令の有無について、被告岩波側は自決命令の事実を証言する座間味村住民の陳述書を新たに提出。これまでの証言や関係資料と合わせ、戦隊長による自決命令があったのは明らかとした上で「真実と信じる相当の理由があれば名誉棄損に当たらない」と主張。書籍については軍の責任など事実や評価が公共的事項に関した内容で公益性があるとし、表現の自由の権利から「差し止めの要件が欠けている」と指摘した。

 原告の梅澤氏側は控訴審で一審判決が「合理的資料もしくは根拠がある」として隊長命令を推認したことについて「原判決が事実として認定したのは、軍・隊長の関与までで、これと同一性を有さない隊長命令を真実とするのは誤り」と反論。

 元戦隊長の梅澤氏が住民の自決を止めたとする座間味村住民の証言を新たに提示して隊長命令を否定し、一審判決の取り消しを求めた。その上で「沖縄ノート」について、隊長命令という真実性が証明されない不確かな事実を基に人格非難を行っているとして、名誉棄損を訴えていた。


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