15年戦争資料 @wiki

琉球新報:判決は来月31日 岩波訴訟控訴審2008年9月10日

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可

判決は来月31日 岩波訴訟控訴審

2008年9月10日

 【大阪】沖縄戦中、座間味・渡嘉敷両島で起きた「集団自決」(強制集団死)をめぐり、両島に駐留していた日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの記述は誤りだとして、座間味島元戦隊長の梅澤裕氏らが「沖縄ノート」著者の作家大江健三郎氏と版元の岩波書店に出版差し止めなどを求めた裁判の控訴審第2回口頭弁論が9日、大阪高裁(小田耕治裁判長)で行われた。双方が意見を陳述して結審した。判決は10月31日に言い渡される。

 一審判決は、多くの住民証言や過去の沖縄戦関連資料、これまでの沖縄戦研究の成果に基づき、隊長命令の真実相当性を認めた。原告側は控訴審で「梅澤隊長は自決を禁じた」などとする新たな証言を示し、一審判断を否定したが、証言の矛盾点を突く被告側の厳しい反論に遭い、新証言の信ぴょう性を明確にするまでには至っていない。

 わずか2回の弁論で終わったが、原告は3件、被告は5件の証拠書面を提出し、相手側の主張に反論するなど、密度の濃いやりとりが展開されたかにみえる。

 しかし、一審判断の是非に大きな影響を与えるほどの新たな証言、証拠は提示されたとは言えない。この訴訟における原告、被告の主張は出尽くしたとの判断から早期の結審に落ち着いたといえる。

 控訴審では「集団自決」(強制集団死)における「軍強制」に関する記述を削除し、その後の訂正申請への対応で再び判断を示した2007年度の教科書検定をめぐる文科省の姿勢が争点になるなど、検定と裁判のかかわりを深く印象づけた。

 原告は軍の強制を削除し、隊長命令の事実を否定した検定意見を「隊長命令がなかった最大の証拠」と強調した。

 それに対し、被告側の主張は「事実上、軍強制を否定した検定意見は撤回された」との立場だ。

 文科省判断をめぐっても真っ向から対立する双方の主張に下される司法判断は、今後の教科書検定のあり方に影響を与える可能性がある。(謝花史哲)


目安箱バナー