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沖縄タイムス:史実確定へ全国で動き/「集団自決」控訴審開始

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史実確定へ全国で動き/「集団自決」控訴審開始



 沖縄戦時に慶良間諸島で相次いだ住民の「集団自決(強制集団死)」をめぐり、座間味島と渡嘉敷島に駐屯していた旧日本軍の元戦隊長やその遺族が、「沖縄ノート」の著者で作家の大江健三郎氏(73)と発行元の岩波書店に慰謝料や出版の差し止めなどを求めている訴訟の控訴審が25日午後、大阪高裁で始まる。県内外の歴史研究者や被告支援者たちは「高裁で真実を決定づけてほしい」と期待を込めた。

 一審の大阪地裁は元戦隊長が「集団自決」へ関与したことを「十分に推認できる」と認め、元戦隊長らの請求を退けた。

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず平和教育をすすめる会」の山口剛史琉球大学准教授は「私たちとしては、『軍命』の認定に向けて再び努力するだけだ」と決意を語る。「一審同様、反論すべきは丁寧に反論する。それを沖縄から発信していくことが大切であり、県民の声を法廷に届けるのが私たちの役目。油断せず、控訴審もしっかり支援したい」

 教科書執筆者の一人で歴史教育者協議会の石山久男事務局長は「一審で住民の声が丁寧に検証され、事実認定はもうけりがついている。原告は新しい論点を示せないだろう。高裁には歴史の真実をあらためて示してほしい」と期待を寄せた。

 大阪の支援団体「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」の小牧薫事務局長は「一審判決は『集団自決』の体験者の証言や文献を丁寧に受け止めた。支援団体としては、審理の過程で明らかになった『集団自決』の事実と背景を特に若者に広める努力を重ねていきたい」と話した。

 沖縄戦研究で知られる琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は「裁判官がまっとうなら、結論はひっくり返りようがない。むしろ高裁が司法の独立を守れるかがポイントであり、法廷審議をチェックしていきたい」という。

 一方で、「原告らが裁判を続けるおかげで、この問題への全国的な関心を維持できる。沖縄の人たちはそのぐらいのたくましさで見守ってもいい」とも語った。


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