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第4・5(5)ウ 原告梅澤の供述等について

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沖縄集団自決訴訟裁判大阪地裁判決
事実及び理由
第4 当裁判所の判断
第4・5 争点4および5(真実性及び真実相当性)について
第4・5(5) 知念証人及び皆本証人の各証言等日本軍関係者の供述、体験談について

第4・5(5)ウ 原告梅澤の供述等について





(ア)(信用性)*


原告梅澤作成の陳述書である甲B第33号証の信用性に問題のあることは,既に第4・5(3)オ(ウ)及ぴ (オ) , 第4・5(4)ア(カ), 第4・5(4)イ(イ)で指摘したとおりである。


(イ)(手榴弾関知せずについて)*


原告梅澤は,その本人尋問において,第一戦隊では手榴弾を防衛隊員に配ったことも,手榴弾を住民に渡すことも許可していなかったと供述する一方,木崎軍曹が初枝に手榴弾を交付したことについて,木崎軍曹が初枝の身の上を心配して行ったのではないかと供述する(原告梅澤本人調書3頁)。

しかしながら,防衛庁防衛研修所戦史室「沖縄方面陸軍作戦」(乙55)によれぼ,第一戦隊の装備は,「機関短銃九のほか,各人拳銃(弾薬数発),軍刀,手榴弾を携行」というものであることが認められ,原告梅澤自身,本人尋問において,「短機関銃,ピストル,軍刀,手榴弾しかない装備だった」と述ぺている。しかも,第4・5(1)ア(イ)aのとおり,慶良間列島は沖縄本島などと連絡が遮断されていたから,食糧や武器の補給が困難な状況にあったと認められ,装備品の殺傷能力を検討すると手榴弾は極めて貴重な武器であったと認められる。軍の装備が不十分で・補給路が断たれていたことについては,後記第4・5(7)ウ(ウ)正しくは→第4・5(8)ウ(ウ) のとおり,同じ慶良間列島の渡嘉敷島でも同様の状況であったところ,皆本証人は,手榴弾の交付について
「恐らく戦隊長の了解なしに勝手にやるようなばかな兵隊はいなかったと思います。」
と証言し,原告梅澤自身も。一方で村民に渡せる武器,弾薬はなかったと供述している。

そうした状況で,第一戦隊長である原告梅澤の了解なしに木崎軍曹が初枝の身の上を心配して手榴弾を交付したというのは,不自然である。しかも。第4・5(2)アに記載したとおり,宮里育江(乙50・61頁,62),宮原初子(乙9・746頁),宮川スミ子(乙62及ぴ98)も。初枝と同様に自決用に手榴弾を渡されたと体験談や陳述書等に記載しており,貧しい装備の戦隊長である原告梅澤が,そうした部下である兵士等の行動を知らなかったというのは,先に記載した事実に照らして考えると,極めて不自然であるというべきである。


(ウ)(まとめ)*


こうした事実に照らせば,原告梅澤作成の陳述書(甲B33)及ぴ原告梅澤本人尋問の結果は,信用性に疑問があるというほかない。



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