第3・2(1) 原告らの主張
ア(「太平洋戦争」について)*
本件記述(1)は,不特定多数の読者に対し,座間味島の守備隊長であった原告梅澤が部隊の食糧を確保するため平然と住民の生命を犠牲にした冷酷鬼のような人物であるという印象を与え,原告梅澤個人の人格を非難し,その社会的評価としての名誉を毀損し,その名誉権と名誉感情を侵害するものである。
イ(「沖縄ノート」について)*
本件記述(2)は、渡嘉敷島の集団自決がその守備隊長であった赤松大尉から発せられた命令によって発生し,座間味島の集団自決がその守備隊長であった原告梅澤から発せられた命令によって発生したとの事実を摘示したものと読み取れる。
本件記述(3)ないし本件記述(5)は,本件記述(2)と同じく,渡嘉敷島の守備隊長であった赤松大尉が無慈悲な集団自決命令を出したという赤松命令説を間接的ないし黙示的に事実摘示する事実表現若しくは赤松命令説を前提とする意見論評で,「屠殺者」「戦争犯罪者」等の個人非難を向けるものである。
こうした沖縄ノートの各記述は,原告梅澤及ぴ赤松大尉の社会的評価を著しく低下させるものである。