15年戦争資料 @wiki

沖縄タイムス 元隊長の請求棄却/「集団自決」訴訟

最終更新:

pipopipo555jp

- view
メンバー限定 登録/ログイン
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803281700_01.html
2008年3月28日(金) 夕刊 1面

元隊長の請求棄却/「集団自決」訴訟


軍命に真実相当性/大阪地裁「深く関わった」


 沖縄戦時に座間味、渡嘉敷島で起きた「集団自決(強制集団死)」は戦隊長が命じたとする本の記述をめぐる「集団自決」訴訟の判決が二十八日午前、大阪地裁で言い渡された。深見敏正裁判長は、大江健三郎氏(73)の「沖縄ノート」について、座間味島の戦隊長だった梅澤裕氏(91)と渡嘉敷島の戦隊長だった故赤松嘉次氏への名誉棄損の成立を認めず、原告の請求を棄却した。梅澤氏が住民に「集団自決(強制集団死)」を命じたとする「太平洋戦争」(故家永三郎著)の記述にも真実相当性を認め、原告梅澤氏の訴えを退けた。原告側敗訴の判決で、梅澤氏らは控訴する。

 判決は、梅澤氏の自決命令について、「自決命令があった」などとする体験者の証言を「実体験に基づく話として具体性、迫真性を有するもの」と認め、自決に軍所有の貴重な武器だった手榴弾が使われたことなどを指摘。「各書籍の記述どおりの自決命令」をそのまま認めることには「伝達経路等が判然としないため、躊躇を禁じえない」としたものの、「梅澤氏が集団自決に関与したものと推認できる」とした。

 また、赤松氏の自決命令について、赤松氏がスパイ容疑で住民を処刑したことを指摘。米軍上陸後、北山陣地近くに集合した住民の元へ手榴弾を持った防衛隊員が現れた行動を「赤松氏が容認したとすれば、赤松氏が自決命令を発したことが一因ではないかと考えざるを得ない」とした。

 さらに、「集団自決」に関する学説状況や「集団自決」への日本軍による強制を示す記述を認めてきた二〇〇五年度までの教科書検定の対応、大江氏、家永氏の取材状況などから「真実であると信じるについて相当な理由がある」と両著の記述の正当性を認め、慶良間諸島での日本軍の駐留状況などからも「『集団自決』については日本軍が深く関わったものと認める」とした。

 一方、「『集団自決には軍命があった』という住民の話は、遺族年金をもらうための捏造」などとした、原告側証人の証言や文書は「証人の経歴や文書作成の経緯に照らして採用できない」とした。

 沖縄戦での「集団自決」に対する日本軍の強制を示す記述を、高校の日本史教科書から削除させた二〇〇六年度の教科書検定で、文部科学省が根拠の一つに挙げており、今後の同省の対応が注目される。


     ◇     ◇     ◇

知事、妥当と認識/「体験伝えていくべき」



 仲井真弘多知事は二十八日午前、「集団自決」訴訟判決で原告側の請求が棄却されたことについて、「正確には判決の中身を読ませていただきたい」とした上で、「やっぱりそういうものだったのか」と述べ、判決が妥当との認識を示した。

 「集団自決(強制集団死)」に関しては、「証言されている一人一人は大変な勇気を持って表現されている。痛恨の体験をされた人々の気持ち、その社会的背景を含めて、きちっと伝えていくべきだと思う」との見解を述べた。
目安箱バナー