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東京 出版差し止め訴訟 集団自決『一つの結論』 大江さん『戦争拒む精神訴える』

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出版差し止め訴訟 集団自決『一つの結論』 大江さん 『戦争拒む精神訴える』

2008年3月28日 14時03分

 軍は集団自決に関与した-。ノーベル賞作家・大江健三郎さんらの著作の記述が焦点になった沖縄集団自決訴訟。教科書検定にまで影響した史実論争に、大阪地裁は二十八日、一つの結論を出した。「新しい精神を信じ、訴え続けたい」。判決後、大江さんは語った。  「請求をいずれも棄却する」。午前十時すぎ、大阪地裁二〇二号法廷。原告、被告双方が見つめる中、深見敏正裁判長が主文を読み上げると、傍聴席は一瞬ざわめき、被告の支援者から「よっしゃ」との声も上がった。

 大江健三郎さん(73)は午前九時半、車で大阪地裁正面玄関に到着。紺のスーツに青のネクタイ姿で緊張した面持ちで、代理人らとともに入廷、被告席に並んだ。

 「集団自決には日本軍が深くかかわったものと認められる」「信じる相当の理由があった」。請求棄却にも笑顔を見せることはなく、十分ほど続いた裁判長の判決理由朗読を、表情を変えることなく耳を傾けた。終了後、一礼し法廷を後にした。

 一方の原告側。座間味島の元守備隊長梅沢裕さん(91)は終始みけんにしわを寄せ、厳しい表情。一列目に座った原告側代理人らも、悔しさを隠しきれない様子でメモを取っていた。

 「大江・岩波勝訴」。午前十時の判決言い渡し直後、法廷を飛び出してきた女性が幕を掲げると、「やった」「よかった」と外で待ち構えていた支援者らから拍手がわき起こった。

■『裁判長が正確に読んでくれた』

 「裁判長が正確に読んでくださった」。元守備隊長側の請求を棄却した二十八日の判決後、大江健三郎さんは代理人らとともに大阪市内で記者会見。判決への思いを語り「(戦争を拒む)戦後の新しい精神を信じて訴え続けたい」と決意を述べた。

 「個人名を挙げて、悪人、罪人とは言っていない。今日の判決はよく読み取っていただいたと考えております」

 法廷では終始表情を変えず落ち着いた様子だったが、会見では時折前に乗り出しながら熱弁を振るった。

 訴訟の背景には、二〇〇三年の有事法制、〇五年の提訴、〇七年の教科書検定意見での「軍の強制」削除の三つの動きがあるとし、「『戦争ができる国』は出来上がった。それを拒むことが、戦後の民主主義が生み出した新しい精神だ」と訴えた。

 また、教科書検定をめぐる動きに対して開かれた、昨年九月の沖縄県民大会については「二十代から沖縄にかかわり続けたが、最も感動した大会だった」と振り返った。

(東京新聞)
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