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琉球新報:「集団自決」住民記録 「内容に相当の誤り」

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「集団自決」住民記録 「内容に相当の誤り」



日本軍に関する記述について「誤り」「実際より誇張」などと所見が付された「住民の沖縄戦記」

 【東京】防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が沖縄戦関連史料に独自の所見を付けて公開していた件で、戦史編さん官が渡嘉敷・座間味両島の「集団自決」(強制集団死)に関する史料に「内容に誤り」「日本軍に対する相当の誹謗(ひぼう)が記述されているが、実際より誇張されている」との所見を付していたことが15日、新たに分かった。研究所は1966年2月に入手し、所見を記している。当時から両島の「集団自決」における「自決命令」の存在を疑問視していた可能性がある。「隊長命令」の存在を否定する証言を収めた別の史料に対して「集団自決が村役場の独断であるという貴重な証言」との所見を付していることも分かった。

 日本軍に関する記述について「誤り」などと所見で指摘された史料は「住民の沖縄戦記(伊江島、座間味、渡嘉敷、久米島)」。戦史編さん官を務めた伊藤常男氏が所見を記し「内容には相当の誤りがあるが、住民の気持ちの一端が知られる。日本軍に対する相当の誹謗が記述されているが、実際より誇張されていると思われる」と信ぴょう性に疑問を呈している。

 同史料のうち座間味村に関するものは50年代初めに村関係者が書いたとみられる「座間味戦記」。渡嘉敷島に関するものは53年に渡嘉敷村遺族会がまとめた「渡嘉敷島の戦闘概要」と同内容。座間味島の梅澤裕戦隊長、渡嘉敷島の赤松嘉次戦隊長の「自決命令」について記述している。

 所見を書いた伊藤氏は、68年に当時の防衛庁防衛研修所戦史室が刊行した『戦史叢書 沖縄方面陸軍作戦』(朝雲新聞社)の執筆者。同書は「集団自決」における「自決命令」の有無には触れず「非戦闘員といえども敵に降伏することを潔(いさぎよし)としない風潮が強かったことがその根本的理由」「崇高な犠牲的精神により自らの生命を絶つ者も生じた」と記述している。

 「集団自決」に関して「村役場の独断」と所見で指摘されたのは「渡嘉敷島及び座間味島における集団自決の真相」と題する史料で、渡嘉敷島の巡査だった安里喜順氏と座間味島の梅澤戦隊長の証言を収録。2000年10月に同研究所調査員が書いた所見は「軍命令による集団自決とされていた両島の事件が、村役場の独断であり、戦後補償のために軍命令とした経緯に関する当事者の貴重な証言である」との見解を示している。

 同資料に付された所見について、沖縄戦に詳しい林博史関東学院大学教授は「史料の解釈を確定、断定して史料に付けることはあってはいけない」と批判している。
(小那覇安剛)

(1/16 10:40)
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