覚悟 by 151さん



「悪かったな」
腫れた額を軽く撫で、そのまま髪を梳く。
「…や、やめて下さい、この馬鹿上……っ!!」
唇で、奈緒子の言葉を遮った。

逃げられないように頭を押さえ、軽く啄むように何度も口づける。
「んっ…上っ!…田さっ…!やっ…んっ!」
奈緒子が持っていたバッグを床に落とし、俺の体を必死に押し返そうとしてくる。
「奈緒子っ…!」
奈緒子の抵抗などお構いなしに、俺は久々の愛しい唇を貪る。
「やぁ!…や、だっ…んんっ」
隙間を舌でこじ開け、奈緒子の口内を蹂躙する。
奥に逃げる奈緒子の舌を追い、からめ取り、俺の方へ引き込む。
どこまでが自分のもので、どこからが奈緒子のものなのか分からなくなるほど、舌を絡ませる。
口の端からはどちらのものとも分からない唾液が零れ、ピチャピチャと音を立てる。
この場に相応しいその音が、否応にも俺の興奮を高めていった。
「んっ…ふあっ…」
俺を押し返そうとしていた奈緒子はすっかり力を無くし、反対に、俺の方へ体を預けてくる。
存分に奈緒子の舌を吸い尽くした後、唇と、体を支えていた両腕を離すと、奈緒子はガクリと後ろのベッドに倒れ込んだ。

「はぁ…はぁ…」
息を荒らげ、紅潮した顔で、それでも俺を睨み付ける。
そんな奈緒子見下ろし、軽く苦笑しながら、俺は自分のシャツのボタンに手をかけた。
その意味する所を察したのか、奈緒子は力の入らない体で、ベッドの奥の方へ後ずさっていく。
「やっ…やだっ…本当に、何考えて…」
「何って…」
脱いだ上着を床に置き、奈緒子が逃げられないようゆっくりと覆い被さり、その顔の横に両手をつく。
一気に近くなった奈緒子の顔を見ながら、俺は続きを口にした。
「君とSEXすること」

濡れて光る唇にもう一度口づけながら、奈緒子の服を脱がせにかかる。
奈緒子は懸命に首を横に振って俺から逃れようとする。




「上田、さんは!…んっ…結局、SEXが…したい、ふあっ…だけなんですか?!」
唇が離れた隙に懸命に訴える奈緒子から顔を離し、軽く口端を持ち上げる。
「……そう思いたいなら勝手にしろ」

どうやって説明できるだろう。何て言えば解ってもらえるだろう。
俺がこの数週間どれほど君に会いたかったか。どれほど君を抱きしめたかったか。
久しぶりに愛しい顔を見て、愛しい理由で泣く、愛しい女を見て抱きたくならない男がいたら是非ともお目にかかりたい。
俺の中で奈緒子は、いったいいつから、これほど大きな存在になってしまったのだろう。
この気持ちを少しでも伝えるすべを、俺は一つしか知らない。

「やっ!やだっ…やめっ!!」
俺の言葉をまともに受け、奈緒子はより強く抵抗してくる。
そんな彼女をいなしながら、その体を俺の目から覆い隠していたものを取り除く。
一枚一枚脱がす度に、俺の手からそれを取り戻そうと奈緒子の手が伸びてくるが、只でさえ体格差がある上に、彼女は寝転がり、
俺は彼女に覆い被さるように膝で立っている。取り戻せるわけがない。
からかうように脱がせた服を目の前で振りかざしてみると、奈緒子は真っ赤な顔で俺を睨んでくる。
その表情さえ愛しく思いながら、俺はあっという間に奈緒子の着ていた全てをはぎ取った。

明るい部屋に、白い肢体が煌めいて俺の目に映る。
細い両腕で胸を隠しながら、奈緒子は唸り声のようなものをあげて俺を見た。
「う~~!!もう、最悪!ばか!ばか上田!」
「…YOU、少し静かに出来ないのか?」
「できるか!この……やっ!やだっ…う~っ!!」
胸の上の邪魔な手を退かそうとしても奈緒子はきつく自分を抱きしめ離さない。
やれやれとため息を吐き、奈緒子の腕から手を離す。
俺が諦めたと思ったのか、すこし安堵したような奈緒子に、俺は意地悪く微笑んだ。
「そっちがそのつもりなら、俺にも考えがある」
一瞬意味が分からなかったのだろう、きょとんとした後、慌てて俺の体を突き飛ばそうとしてきた。
が、一足も二足も遅かった。
奈緒子の体の横に膝をついている俺に取って、その上半身を触るのも、下半身を触るのも、同じくらい容易いことだった。



「あっ…だ、だめっ!」
奈緒子が力無く上半身を起こしながら、自分の秘部に伸びて来る俺の手を見る。
変化を見逃すまいと、表情を見守りながら、俺はそっと奈緒子の秘部に触れた。
「っ!んっ…!」
軽く顎を引き、眉間に小さく皺を寄せ、奈緒子は熱い息を吐いた。
小さな肩が小刻みに揺れ、震える手で俺の体を押し返してくる様が、何とも可愛らしい。
「だっ…めっ!んんっ…!」
クチュリと響いた音に奈緒子が何度も首を横に振る。
「やっ!やぁ…」

…何時からこんなに。
俺でも驚いてしまうほどそこは濡れていた。
裸を見られて?それとも、あのキスで?もしかして、その前から…?
奈緒子が何時からこんなに厭らしい液を垂れ流していたか考えるだけで、俺の下半身は信じられないほど熱を帯びていく。

太股と言うには細すぎる足を持ち上げ、秘部を明るみに晒す。
真っ赤になり抵抗する奈緒子を意にも留めず、俺は奈緒子の足の間に体を割って入らせた。
「いやっ!お願…やめて下さっ…!」
奈緒子はとうとう、自分が今おかれている状況から目を逸らすように、顔を背けた。
恥ずかしがるのも無理はない。
こんなに明るい部屋で、秘毛まで濡らし、尻を伝う愛液や厭らしく収縮を繰り返す秘部を、食い入るように俺に見られているのだから。
右手で秘肉を広げ、溢れ出す源泉のようなそこを満足するまで見つめた。
ゴクリと自分の喉が鳴る音を聞きながら、左手でその存在を誇張するように腫れあがったクリトリスを軽く弾いてみる。
「ああぁっ!!」
抵抗を止め再びベッドに寝転がった奈緒子の体が数回跳ねる。
その反応を見て、俺は何回もクリトリスを弾く。
「きゃっ!あぁっ…んっ!あっ!やぁあっ!!」
楽器のように反応して鳴き声をあげ、快感を訴える奈緒子。
やがてゴプリと音を立て、大量の愛液が秘穴から噴きだしてきた。
もはやヌルヌルと滑り満足に皮肉を広げることの出来なかった右手を離し、その液を掬い取る。
左の指先でクリトリスを挟みあげながら、俺は愛液の絡みついた指を高く持ち上げた。



「…YOU、見ろよ」
奈緒子の視界に入るまでその指を上げると、秘部と指を繋いでいた粘液の糸が切れ、奈緒子の腹にポタポタと落ちていく。
奈緒子はクリトリスに与えられる快感に震えながら、いやいやと首を横に振り、決して目を開けようとしない。
俺は指に絡みついたそれをネバネバと伸ばしながら、奈緒子の顔の前まで持っていった。
「すごいな、こんなに濡れ…」
「いや!いやぁ!言わないでっ!!」
激しく首を振り、自分の状態を必死に否定しようとする奈緒子に、俺の加虐心が沸き上がってくるのをふつふつと感じる。
愛液のあまりついてない親指と薬指で奈緒子の顎を掴み、顔をの動きを止める。
クリトリスを弄る手も少し休め、まだきつく目を瞑ったままの奈緒子の唇に、俺は愛液で濡れた指でそっと触れた。
突然の違和感に奈緒子の体が強張る。
俺はそのまま、口紅を塗るように奈緒子の唇を彼女の愛液で染めていった。

キラキラと光るその唇を何もせず満足気に見つめていると、奈緒子が恐る恐るその瞳を開けた。
「な、何したん…」
唇の上のそれを拭い去ろうと伸ばした手を、掴んで遮る。
「上田さっ…!」
「舐めてみろ」
俺の言葉に少し困ったような顔をしながら、奈緒子は小さく舌を出し、唇に塗られた愛液をチロリと舐めた。
「やっ!何、これ…っ」
「君の愛液だよ」
その言葉に火がついたように赤くなる奈緒子。
俺は軽く喉をならして、まだ濡れて光る奈緒子の唇に舌を這わせる。
それと同時に、休めていた左手でクリトリスを摘み上げた。
「きゃぁあっ!!」
閉じられていた奈緒子の唇が大きく開かれ、熱い吐息が俺の舌にかかる。
俺の指はヌルヌルと滑り、クリトリスの周りを蠢き回る。

──グチュウ、クチュプチュ
俺の舌から伝った唾液が奈緒子の頬や顎を流れ、奈緒子の下半身は卑猥な水音を響かせる。
上も下もぐちゃぐちゃになった奈緒子は、小刻みな痙攣を繰り返した。
「はぁんっ!あっ…だめっ、もっ、もうっ…やだぁ!あっあっあっ」



「…イキそうか?」
奈緒子は顔をくしゃくしゃに歪め、何度も頷く。
俺はそんな奈緒子に満足しながらクリトリスを音を立てて擦りあげた。
「あぁあんっ!やっ…いくぅ…上田さっ…イクっ!イッちゃ…きゃぁんっ!!」

相変わらず、奈緒子の達した時の表情は俺にとてつもない興奮と満足感を与えてくれる。
こんな顔を俺しか知らないんだと思うだけで、独占欲が満たされる気がする。
奈緒子が落ち着くのを見守りながら、その頬を伝う汗を何度も拭った。

「はぁ…はぁ、も…やだっ…はずかしっ…」
自分だけが達し、その姿を俺に見られるのが奈緒子には相当な恥辱らしい。
苦笑しつつ、悪戯心から秘部の下に添えていた手に目を遣る。
「おおう!…すごいな」
俺の手のひらには奈緒子の溢れる愛液で水たまりが出来ていた。
俺が何をしているのか、何を見ているのかを察した奈緒子の目は、恥ずかしさのあまり涙で溢れた。
「もうっ!やだっ!やだやだっ!ばか!ばか上田!!」
真っ赤な顔で睨まれても怖くも何ともないのだが。
少しからかいすぎたかと思い、その手を隠す。
「…久しぶりだったからな、溜まってたんだろ」
「……上田さんじゃあるまいし。そんな言い方しないで下さい」
奈緒子はまだ前の会話を引きずっているらしい。
俺は軽くため息を吐いて、まだ着ていたズボンを脱ぎ始める。
奈緒子は慌てて俺から顔を背けた。
何時になったら慣れてくれるのかと苦笑しつつ、俺も奈緒子と同じ姿となる。

「確かに、俺は溜まってるな」
自分のペニスを見てぼそっと呟いた。
奈緒子も俺の方を見て、驚いたように顔を強張らせる。
「な、なんか上田さんまで大きくなってませんか?」
「"まで"??」
奈緒子の言葉が引っかかり尋ね返すと奈緒子は慌てて口を塞いだ。



「何言ってんだ君は。俺はもともと大きいだろ」
「い!言い間違っただけです」
狼狽する奈緒子を不審を込めた目で見返す。
奈緒子はそんな俺の視線から逃れようと体を起こし、挙動不審な行動を繰り返す。
「し、しつこいぞ!…そ、そんなことより、えっと…その、…」
奈緒子が話題を逸らそうとキョロキョロと辺りを見回す。
と言っても、裸の俺達くらいしかそこにはいないわけで。
自然と目に留まったペニスに顔を赤らめながら、奈緒子は座ったままゆっくりとそれに近づいた。
「……触って、いいですか?」
「あ…あぁ」
少し驚いたが、もちろん肯定する。
奈緒子の熱い指が、さらに熱い俺のペニスにそっと触れた。

久々の快感に、背筋を何かが猛スピードで走り抜けていく。
奈緒子が指でペニスを包みこみ、ゆっくりと上下させながら紅潮した顔で俺を見上げてきた。
「誤解しないでくださいね…別に私は上田さんとSEXしたいわけじゃありませんから」
「YOU、言ってることとやってることが…」
「う、うるさい!」
奈緒子が俺の顔からペニスに視線を戻し、続ける。
「…上田さんはSEXできないのが寂しかったのかもしれないけど、私は、上田さんに会えなかったのがすごく…その…」
本当に、俺を喜ばせることに対して天才的だな、こいつは。
「何て言うか、上田さんが喜んでくれれば…私も嬉しいから。だ、だから…しかたなく!してるんです」
思い切り抱きしめたくなったが、それよりも奈緒子が俺のペニスに口づける方が速かった。
俺は口をつきそうになる声を抑えながら、奈緒子の頭にそっと手を添えた。

奈緒子の舌が、ゆっくりと俺のペニスを舐め上げる。
チロチロと小刻みに先端を舐めたかと思うと、焦らすように裏スジを這っていく。
「はっ…うっ!」
俺の息が荒くなるとその時舐めていた箇所を集中的に舐めてくる。
──ピチャ、クチュッ
ペニスを幾筋も唾液と溢れた粘液が這い、ゾクゾクと背筋が震えるような快感に襲われた。



「んっ…ふぅんっ…」
ペニスに舌を這わせたまま上目遣いで俺の様子を伺う奈緒子と目が合い、生き物のように、奈緒子の手の中でペニスが跳ねた。
そんな俺を見て満足げに微笑み、奈緒子は小さな口を精一杯開け、ペニスの先端を口に含む。
「うっ!…あっ」
上下に動く奈緒子の頭をつい強く押さえてしまう。
細い髪の毛を指に絡めながら、俺は自分の股間で蠢く奈緒子を見下ろす。
グポッ、グポッと口とペニスの間から洩れた空気が淫猥な音を響かせる。
シュッ、シュッと根本を指で扱きながら、先端にチュウチュウ吸い付いてくる奈緒子が可愛さ余って憎らしくさえある。
「はっ…ゆ、YOU…わざと、っ!音立ててるだろっ」
その問いに奈緒子は俺を見上げ、唇を離し淫猥に微笑んだ。
「さっきのお返しです」
短くそう言うと再びペニスに吸い付く。
奈緒子の口と指にいいように踊らされる自分の分身がなんとも情けない。
精の溢れる小さな穴を舌でクリクリと刺激したかと思えば、亀頭全体を円でも描くかのように舐め回してくる。
「はぁっ…うっ!!」
やられっぱなしは性に合わない。
何とかこっちからも更なるお返しをしたいが、休む間もなく襲ってくる快感が、俺に思考の余地を与えてくれない。
──グポッ、グチュっ、グプッ
奈緒子が髪の毛を何度も耳にかけ直しながら、口の動きを速めてくる。
ついに後ろ手で体重を支えきれなくなり、俺はベッドに倒れ込んだ。

突然寝転がった俺を、粘液で汚れた顔で、心配そうに奈緒子が伺ってくる。
「上田さんっ!大丈夫ですか?」
俺は息を落ち着かせながら、奈緒子の顔がもう少し近づいてくるのを待った。
「上田さんってば…きゃあっ!!」
頃合いまで近づいた奈緒子の脇の下に手を入れ、その肢体を軽く浮き上がらせる。
「ちょっ、何して…えっ?!」
そのまま体を反転させ、奈緒子の顔が俺の下半身に、奈緒子の下半身が俺の顔に向かい合うように、奈緒子を俺の上に乗せた。
すぐさま自分の置かれた状態に気付き、俺の上から逃れようと奈緒子が藻掻く。
が、俺がその細腰に手を回し、少しの力で押さえつけることで、奈緒子の抵抗は徒労に終わる。


最終更新:2006年09月14日 03:26