秘密


奈緒子の股間から顔を離す。
もうそこもだいぶ濡れてきていた。
奈緒子はというと気だるげに少し息を荒くしている。
そっと指を入れて具合を確かめた。
「・・・おい、山田」
「なんですか?」
「力抜けよ」
最初は何のことか分からなかったようで、きょとんとしたが、
次の瞬間、奈緒子の顔が赤くなった。
「あ、あの、上田さん」
「なんだ」
「・・・やっぱり痛いのか?」
「俺に聞いてもわからんだろ。やってみなけりゃな」



入り口にそっとモノをあてがう。
奈緒子の身体が緊張したのが分かった。
「お前、だから力をぬけって」
「抜けるわけないじゃないですか、そんなの!」
まあ、当たり前と言えば当たり前の事だ。
「痛くても知らないからな」
上田は腰を進める。
「!ったいっ・・・!」
シーツを握る奈緒子の手が白い。
先端を入れただけなのに、もうこれ以上先には進めそうもない締め付けだ。
しまったと上田は思った。先に指で慣らしておくべきだったのに。
露骨に痛そうな顔の奈緒子を見て思わずうろたえてしまう。
だが今一度入れてしまったものを抜くのも、果たしていいのか悪いのか、
これが初体験の上田には分からない。
そういえば、と上田は思い出す。




今まで女性とそういう関係になりそうにはなっても、
なったことは一度もなかった。(立派過ぎるもののせいである)
ということは、山田と俺、どちらも初体験か。
「ちょっと、上田さんなにぼーっとしてるんですか」
奈緒子の呼びかけで上田ははっと我にかえった。
「いや、ちょっと考え事をな」
「それは別にいいんですけど、今すっごい痛いから動かないでくださいね」
「動くなっていったってお前・・・」
中途半端に入れているのでこのままの体制でいるほうが辛い。
「一応全部入れてからの方が助かるんだが」
「上田さんはいいですよ、入れるだけなんですから。
 こっちの身にもなってくださいよ」
「you、さっき自分で今日ここに何をしにきたか言ってなかったか」
「・・・」
「・・・わかった。なるべく痛くないようにするから、そう睨むな」



奈緒子もディープキスにもだいぶ慣れてきたようだ。
舌を絡ませ、吸い上げる。
膣の締め付けがきつくなるのは厄介だが、
それで挿入する痛みをちょっとは誤魔化せるらしい。

息ができないせいか、それとも別の原因かはわからないけど、
どうにもこのデーブキスっていうのは妙な気分になる。
なんていうんだろう、頭の芯がぼーっとなるというか、
それに、その、・・・入れられてる場所が
痛いだけじゃない、というか・・・。



ふと、先端に抵抗を感じる。
(これは・・・所謂処女膜というやつか)
奈緒子にも、どうやら分かるらしい。
視線が合った。
上気したさわり心地のいい肌も、潤んだ目も、いつもと違う。
「・・・山田」
奈緒子は何も言わずに上田を抱きしめる。
上田も奈緒子を抱きしめて、一気に腰を進めた。
「っ・・・!」
それこそ、めりめりと音がしそうだった。
膣の締め付けがいっそうきつくなる。
「大丈夫、大丈夫だ、もうこれ以上は痛くないはず・・・」
ふと、奈緒子がさっきよりもぎゅっと、自分を抱きしめているのに気づいた。
「?おい、痛いのか?」
「・・・なんでもないんです、なんでも・・・」

どうしてだろう、上田なのになぁ、
何で一緒にいたいんだろ。



ようやく奈緒子の最奥まで行き着いた。
先端があたった瞬間、奈緒子の体がびくんと跳ねる。
「ふあっ!?」
ただでさえ狭い内壁が急にモノを締め付けたので、上田も驚く。
「うおっ、どうした!?」
「い、いや、なんかピリッときたっていうか、じわっときたっていうか・・・」
内側に敏感な点があると聞いたことがあるが、
今のがそうなのだろうか。
痛みも少なそうだ。
上田はなるべくさっきの場所を突くようにゆっくりピストン運動をはじめた。
「ふ、あ、あっ!はっ、あっ、あああっ!!」
強い刺激に、奈緒子の内壁が上田の怒張を締め上げるようにうねる。
「!くっ・・・」
上田のそれが締め付けに反応して一層その大きさを増す。
意識しなくても、腰の動きが速くなってしまう。



結合部から濡れたぐちゅぐちゅと音がする。
肌と肌がぶつかり合う。
それがまた、上田の本能を駆り立てた。
小柄な体には、上田自慢の巨根と行為は激しすぎて、
奈緒子は半分呼吸困難だ。
「はっ、あっ!ちょっ、うえださ、ふっ、ちょっと待って・・・!」
何とか理性の端で踏みとどまって、上田は動きを止めた。
「何だ。どうした」
かくいう上田もかなり息が上がっている。
「息、させてくださいよ、くるしっ・・・」
呼吸を整えながら、頭の端で上田は少し冷静に考えていた。
もうそろそろ俺も出そうだ。だがよもや
できちゃった結婚になるのは気が引ける。
というかお義母さんに申し訳がたたない。
(あのお義母さんなら許してくれるかもしれないが)
いまさらだが、コンドームをつけるべきだったかもしれない。
なんだか後悔してばかりの自分に、上田は軽く自己嫌悪を覚える。



「うえださん・・・?」
上の空の上田に、まだ息の荒い奈緒子が声をかける。
我にかえって、上田は自分の下の奈緒子を見つめた。
妙に色気のある双眸が自分を見ている。
上気した肌はうっすらと桃色で少し汗をかいてしっとりとして。
綺麗だ、と素直にそう思う。
「いったん、外に出すからな」
「どうして?」
「どうしてってお前・・・その、まだできたらまずいだろ」
上田はそう言って体を離そうとしたが、
抱きついてきた奈緒子に阻まれた。
「おい、you・・・」
離れろ、と言おうとした上田の口はさっきと同じように
奈緒子の唇でふさがれた。
―――だめだ、もう止められない
上田が奈緒子の唇を割って舌を入れて、キスは
すぐに濡れた音を立て始めた。



「ああっ、んっ!ふっ、あんっ!!」
理性のたがが外れたように、上田は奈緒子に怒張を突き立てた。
奈緒子のほうも破瓜の痛みがなくなってきたらしく、
艶っぽい声が知らず知らずのうちに出てしまう。
少しでも快感を得ようと、細身な腰をくねらせる。
二人の結合部は激しい行為のせいでひどく濡れた音がする。
「くっ、山田、出るぞ、出すからなっ!」
「はあっ、あっ、上田さん、なんか、変な感じがっ、ああっ!!」
どうやら奈緒子も達しようとしているらしい。
膣の締め付けが一層きつくなる。
奈緒子の最奥―子宮の入り口にちょうど先端がぶつかったとき、
ついに限界がきた。
「・・・う、おっ!」
一滴も外に漏らさないように密着させて、白濁した液を
奈緒子の中に注ぎ込んだ。
「あっ!?ああああっ!!」
内側に熱い迸りを感じて、奈緒子もついに達した。
上田のモノから最後の一滴まで搾り取るように内壁が締め付ける。
長い、長い射精を終えて、疲労感からそのまま
奈緒子の上に覆い被さるようにして横になった。

最終更新:2006年09月12日 20:27