妄想ラスト by 689さん


続編の噂を聞いてラストシーンがこんなんだったらいいな~と妄想。


いつものように事件を解決した帰り道。
少しだけ前を歩く上田と不満そうに後に続く奈緒子。

「上田~どこまで歩くんだ?」
「家までに決まってるだろ。」
「家!?まだ5キロ以上あるじゃないか。」
「仕方ないだろ。この村は電車が通ってないしバスも御往復しかしてないんだ。」
「次郎号はどうしたんだよ。」
「あいつは持ち主に似てデリケートだからな、今日もメンテナンス中だ。」
「まったく…へっぽこ次郎号め。」

「おおぅ!」
「何だ!?急に大声出すな。」
「忘れていたがYouに渡すものがあったんだ。有難く受け取りたまえ。」
上田は奈緒子に白い封筒を手渡した。
「家賃か?食事券か??」
「いいから黙って開けろ。」
「……これ。」

中に入っていた紙に書かれたのは黒門島に伝わるあの文字。
思わず立ち止まった奈緒子に気付かず上田は先を急ぐ。

「ちょっと待て!お前またふざけてんのか。」
「どうしてYouの思考はそんなに貧しいんだ。1度ならずと2度までも俺のプロポーズを無碍にするつもりか。」
「2度って…いつ!?」
「何でだ!?しただろ!!あの無人島で。紙に書いて渡したじゃないか。」
「あれは…。」
「まぁいい、過去のことは気にしない。心の広~い上田次郎だ。とにかくもう1度封筒をよく見てみろ。」
「ゆっ…ゆっ……指輪!」
「まぁ当然のごとく給料の3ヶ月分だ。」
上田は至極、上機嫌な笑顔を浮かべた。
「焼肉何食分ですか?」
「You…。」
「とにかくこんな風に渡されても困ります。」
「うぅっ。」
先ほどの笑顔が一転。
「泣くな。」
「つき返すのか?この愛情溢れる手紙と指輪を!?」
「違いますよ。」
「んっ?」
「ちゃんとはめてください。上田さんの手で。」
そう言うと奈緒子は左手を差し出した。
「……。」
恐る恐る無言で指輪をはめる上田。
「何か言うことないのか?手が震えてるぞ。」
「けっ…結婚してやってもいいぞ。」
「私もしてやってもいいぞ。」
奈緒子は綺麗に微笑むと、見とれる上田を置いて歩き出した。

「ジュブゼーム!」
「叫ぶなうるさい。」
最終更新:2007年05月07日 00:06