はじめてネタ by 名無しさん
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糸節村の事件から早2ヶ月が過ぎようとしていた。
そんなある日の晩、 日本科技大教授 上田次郎は、
書斎でデスクランプだけを灯し、パソコンに黙々と向かい合っていた。
12月某日
糸節村で起こった事件を解決した人物が、
私 日本科学技術大学教授 上田次郎、その人であることをついに実証し得た。
来年の今頃、きっと私は主任教授になっているだろう。
遅からず『ニュートン』も取材に来るに違いない。
そう確信している。
フッ 全ては順風満帆だ。
しかし、気がかりなことが一点だけある。
いつの間にか入り込んできた同居人、山田奈緒子のことである。
当初は、富める者が貧しい者に施すのは当然と思い気にもとめていなかったのだが、
最近、様子がおかしい。
あの大食らいの山田奈緒子が食事を残すようになったし、
なにより、私が声をかけても無視するようになった。
私が発する言葉は、その一言一言が金言であるのだ!
それを無視するとはヤツは何様のつもりなのだろう。
カチャ・・・。
ドアが開く音で、
もの凄い早さでキーボードをつついていた人差し指が止まる。
「ふぅ・・・
YOU!
何度言ったら分かるんだ!!
この部屋にはいるときは必ずノックしろとあれほど・・・ッ!?」
振り返りながら文句を言う上田。
しかし、そこに奈緒子が立っているのを見て言葉を飲んだ。
暗い室内でデスクランプに照らし出されたのは、
一糸まとわぬ奈緒子だった。
上田は慌てて背を向けた。
「Y..YOU!
な 何をしている!
とうとう頭がおかしくなったか?
何か悪い物でも食べたんじゃないのか!
あれほど拾い食いはするなと言っておいただろう!」
そんな上田の様子を見て奈緒子は微笑みながら言う。
「上田さん・・・」
「ハッ!!なるほど・・。
最近、食事を残すようになったのも外で拾い食いをしているせいだな。
ヤツのことだ。
飲食可能なものだけでなく、落ちている物はなんでも口にしてるに違いない。
はぁあっ!!!
最近、この辺りで野良猫を見かけなくなったのもヤツか・・・・」
上田の独り言は止まらない。
「上田!話を聞け!!」
奈緒子の一喝は実に良く効く。
上田は我を取り戻し、横目で後にいる奈緒子に意識を向ける。
奈緒子がそっと口を開く。
「上田さん こっちを向いて。
私を見て・・・。」
奈緒子が発する言葉に不思議な力があるのか、
先ほどの一瞬で上田の目に焼き付いた奈緒子の美しさか、
次郎は言われるがまま、奈緒子と向き合う。
奈緒子はやはり全裸であった。
長く美しい黒髪でその小さな胸の膨らみを隠し、
両の手で薄い茂みを覆っているものの、間違いなく全裸である。
背筋を真っ直ぐに伸ばし、澄んだ瞳で上田を見つめる。
「上田さん、私の言うことを良く聞いて下さい。
あなたに出逢えて良かった・・。
ずっと前から自分の気持ちに気付いていたんです。
でも、あなたに拒否されたら・・、
そして、あなたを受け入れられるかどうか・・・
怖くて自分に嘘をついてました。
でも、今日こそ勇気を持って素直に言います。
上田さん あなたが好きです!
愛してます!!」
つ づ く・・・
最終更新:2006年10月14日 22:35